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異質だった2022年梅雨から夏 早い猛暑と梅雨明けの大幅な見直しに大雨も

2022/09/30 10:54 ウェザーニュース

今年は梅雨明けのタイミングが大幅に見直されたり、7月前から猛暑に見舞われるなど、梅雨から夏にかけての天候は異質なものとなりました。

例年では、台風や梅雨前線による大雨に見舞われることの少ない東北北部で、今年は長雨となり大雨に見舞われました。

今年の梅雨から夏にかけての天候の特徴を振り返ります。

6月下旬から7月はじめに記録的な猛暑

6月下旬は太平洋高気圧の北への張り出しが強まり、梅雨前線が北日本へ北上。東日本や西日本、沖縄や奄美などで晴れる日が多くなりました。

太平洋高気圧の強まりによって全国的に暖かい空気が流れ込みやすくなったため、強い日差しの届いた東日本や西日本を中心に猛烈な暑さが続きました。7月1日には40℃以上となった地点が6地点もあり、一日に40℃以上を観測した地点数の過去最多記録を更新。東京都心でも6月25日から7月3日まで9日連続で35℃以上の猛暑日を観測しました。これは、2015年に記録した8日連続を上回り、観測史上最長です。

梅雨期間は記録的な短さから一転、大幅見直し

九州から東北南部にかけては、平年では7月中旬から下旬にかけてが梅雨明けの時期となりますが、今年は梅雨明けが6月27日から29日となり、平年より大幅に早く、記録的に期間の短い梅雨として速報値では発表されていました。

しかし、9月1日に発表された確定値では、九州南部から関東甲信の梅雨明けは7月下旬と1か月近くも遅く修正され、北陸と東北(南部・北部ともに)では梅雨明けの時期を特定できないと見直されました。

速報の時点では、6月下旬から7月はじめの記録的な猛暑となった期間から夏の始まりとしたものの、7月上旬から西日本や東日本でも曇りや雨の日が多くなってしまいました。確定値の判断では、晴れて記録的な猛暑となった期間を「梅雨の中休み」と考えたことで、大幅な梅雨明け時期の変更がなされたというものです。

関東甲信の梅雨明けが1か月近くも変更された事例は過去になく、またこれだけ広範囲で大幅な修正が行われるのは、1997年以降では初めてのこととなります。
>>関連配信記事_梅雨の期間が大幅見直し 6月末〜7月はじめの晴天は「中休み」に

8月前半には東北北部や日本海側、北陸で大雨に

今年も夏に大雨に見舞われた地域がありました。特に顕著だったのが、8月前半の東北北部や東北日本海側、北陸です。

前線や湿った空気の影響で断続的に激しい雨が降り、線状降水帯が発生するなど記録的な大雨になりました。東北から北陸にかけての地域では河川氾濫も発生し、警戒レベル5の緊急安全確保が自治体から発令される事態がこの期間には相次ぎました。8月1日から30日までの降水量の平年比を見ると、東北や北陸などで平年の2倍以上の降水量が観測された地点があることがわかります。

また、関東南部や東海でも平年を上回る降水量が観測されています。これは8月中旬に伊豆半島に上陸し、関東を通過した台風8号の影響です。短い期間でしたが多くの雨が降りました。ちょうどお盆休みと台風通過が重なったため、帰省や旅行などの移動に大きな影響を与えました。

異質な夏でもウェザーニュースの予報精度は高水準を維持

このように今年は早い時期に猛暑が訪れ、エリアによっては雨の時期が偏ったものとなりました。また、この時期はゲリラ雷雨など局地的な激しい現象が発生が多い時期でもあります。

特に今年の7月から8月にかけては、過去10年間で見てもゲリラ雷雨の発生が多く、雨が降るかどうかの判断がとても難しい天気でした。このようなことから、気象庁の降水捕捉率による精度は1月から5月までと比較すると、あまり高くならなかったものと考えられます。

これに対し、ウェザーニュースの降水捕捉率による予報精度は、1月から5月までと大きくは変わっていません。気象庁の精度が低下してしまう期間中でも雨が降るかどうかについて、精度の高い天気予報を発表できていたことがわかります。これは、独自に開発したAIシステムにより、ゲリラ雷雨や梅雨前線などの天気パターンごとに予測ロジックを使い分け、さらに専門家のノウハウを織り交ぜ予報を作っているためです。
また、ウェザーニュースでは適中率という別の指標でも精度評価を行っています。適中率は、雨が降らない日には降らないと予報をしていた割合も加えた、トータルの予報精度を表すものです。降水捕捉率を高めるために雨に偏った天気予報を発表していないかを見る指標にもなります。

今年の6月から8月の期間中の結果を見ると、著しい適中率の低下は見られておらず、特にこの期間に雨に偏った予報をしていたわけではないということがわかります。また、気象庁の適中率の予報精度と比較をしても、同等またはやや上回る結果となっていました。


気象庁も記録的な猛暑を"異常気象"とコメントするほど、異質だった今年の梅雨から夏にかけての天候。例年よく言われる大雨への備えに加えて、猛暑への対応も上手に行わなければいけません。ウェザーニュースでは、少しでも災害を減らし、日々の生活に役立つように、天気予報をお伝えしていければと考えています。

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参考資料など

気象庁 報道発表資料 令和4年9月1日 夏(6~8月)の天候 https://www.jma.go.jp/jma/press/2209/01b/tenko220608.html
気象庁 天気予報検証結果 https://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/data/kensho/score_f.html