炎のように真っ赤な姿
カエンタケは、どんな色や姿をしたきのこなのでしょうか。
「カエンタケはボタンタケ科のきのこで、見た目は鮮やかな赤色、日にちを経るにつれてくすんだ色合いに変化してきます。ぱっと見は土の中から突き出した指のようにも、炎のようにも見えることが名前の由来です。基部から分かれて束になったような姿もよくみかけます。
原産地はアジアで、1895年にチベットで発見された標本をもとにフランスの研究者が『新種』として報告したのが最初の発見例とされています。その後、1930年代には現在のインドネシアのジャワ島で、さらに戦後になって日本でも報告されました。
ただし、日本では江戸時代末期に完成した植物図鑑『本草図譜(ほんぞうずふ)』に、カエンタケと似た姿のきのこの図が『火焔(かえん)だけ』として記載されています。その解説文には『細条の珊瑚(サンゴ)の如く黄色紅赤火の炎々たるが如し(中略)大毒あるといへ(え)り』などとあります」(吹春さん)
「カエンタケはボタンタケ科のきのこで、見た目は鮮やかな赤色、日にちを経るにつれてくすんだ色合いに変化してきます。ぱっと見は土の中から突き出した指のようにも、炎のようにも見えることが名前の由来です。基部から分かれて束になったような姿もよくみかけます。
原産地はアジアで、1895年にチベットで発見された標本をもとにフランスの研究者が『新種』として報告したのが最初の発見例とされています。その後、1930年代には現在のインドネシアのジャワ島で、さらに戦後になって日本でも報告されました。
ただし、日本では江戸時代末期に完成した植物図鑑『本草図譜(ほんぞうずふ)』に、カエンタケと似た姿のきのこの図が『火焔(かえん)だけ』として記載されています。その解説文には『細条の珊瑚(サンゴ)の如く黄色紅赤火の炎々たるが如し(中略)大毒あるといへ(え)り』などとあります」(吹春さん)
カエンタケは、昔から日本でよく見られるきのこだったのですか。
「元来、原生林に近いような自然な林に見られるきのこで、相当に“稀(まれ)”な存在でした。私(吹春さん)も1970~80年代、学生時代に沖縄県の西表島で見たことがある程度で、当時は毒性も知られていませんでした。
カエンタケは、関東では梅雨明けの7~8月に発生し始め、11月頃まで発生し続けます」(吹春さん)
「元来、原生林に近いような自然な林に見られるきのこで、相当に“稀(まれ)”な存在でした。私(吹春さん)も1970~80年代、学生時代に沖縄県の西表島で見たことがある程度で、当時は毒性も知られていませんでした。
カエンタケは、関東では梅雨明けの7~8月に発生し始め、11月頃まで発生し続けます」(吹春さん)
食べると死に至ることも
カエンタケは毒性の強いキノコなのでしょうか。
「当初は毒性についての情報はなかったのですが、1991(平成3)年に山梨県で数センチのカエンタケを天ぷらにして食べた47歳の男性が、数日後に40度以上の発熱を起こし、その後に髪の毛が抜けたり運動機能に障害が出たりしたとの報告がありました。
医師の診断では『小脳が委縮している』とされ、1年後までに髪は伸びましたが、歩行・言語障害は残っていたといいます。
また、1999(平成11)年には新潟県で、旅館に置いてあったカエンタケを男性5人が食べ、うち1人が2日後に死亡しています。これらの事故により、カエンタケの毒性が明らかになったのです」(吹春さん)
具体的にはどんな成分を含んでいるのですか。
「トリコテセン類という猛毒成分です。カエンタケを食べると30分ほどで胃腸系や神経系に食中毒の症状が現れます。具体的には悪寒、腹痛、手足のしびれ、嘔吐(おうと)、下痢、のどの渇きなどです。
その後、腎臓・肝臓・呼吸器・循環器不全や脳障害などの症状が生じ、ときには死に至ります。顔面の脱皮、粘膜のびらん、脱毛などの『表面に出てくる症状』が特徴とされています」(吹春さん)
カエンタケは“触っただけでも危ない”との話も聞きますが。
「現在のところ、カエンタケを触ったことによる事故は報告されていません。ただし、カエンタケの毒成分は皮膚がただれてしまう成分を含んでいるので、絶対に汁を皮膚につけてはなりません。
また、専門の研究者は『絶対にかじるな』といいます。もし、カエンタケを食べてしまったら、すぐに病院へ行き、毒成分が体内に吸収されないうちに医師から胃の洗浄を受けてください」(吹春さん)
「当初は毒性についての情報はなかったのですが、1991(平成3)年に山梨県で数センチのカエンタケを天ぷらにして食べた47歳の男性が、数日後に40度以上の発熱を起こし、その後に髪の毛が抜けたり運動機能に障害が出たりしたとの報告がありました。
医師の診断では『小脳が委縮している』とされ、1年後までに髪は伸びましたが、歩行・言語障害は残っていたといいます。
また、1999(平成11)年には新潟県で、旅館に置いてあったカエンタケを男性5人が食べ、うち1人が2日後に死亡しています。これらの事故により、カエンタケの毒性が明らかになったのです」(吹春さん)
具体的にはどんな成分を含んでいるのですか。
「トリコテセン類という猛毒成分です。カエンタケを食べると30分ほどで胃腸系や神経系に食中毒の症状が現れます。具体的には悪寒、腹痛、手足のしびれ、嘔吐(おうと)、下痢、のどの渇きなどです。
その後、腎臓・肝臓・呼吸器・循環器不全や脳障害などの症状が生じ、ときには死に至ります。顔面の脱皮、粘膜のびらん、脱毛などの『表面に出てくる症状』が特徴とされています」(吹春さん)
カエンタケは“触っただけでも危ない”との話も聞きますが。
「現在のところ、カエンタケを触ったことによる事故は報告されていません。ただし、カエンタケの毒成分は皮膚がただれてしまう成分を含んでいるので、絶対に汁を皮膚につけてはなりません。
また、専門の研究者は『絶対にかじるな』といいます。もし、カエンタケを食べてしまったら、すぐに病院へ行き、毒成分が体内に吸収されないうちに医師から胃の洗浄を受けてください」(吹春さん)
ナラ枯れとともにカエンタケ発生も拡大
なぜカエンタケが都市部でも発生するようになったのでしょうか。
「都市部へのカエンタケ発生の先行地域である関西では、ナラ枯れ(ブナ科樹木萎凋病〈いちょうびょう〉)とカエンタケの発生地が一致していることから、互いの深い関連性が指摘されています。
学問的な証明はなされていませんが、カエンタケの仲間であるトリコデルマ属には菌を溶かす性質をもった菌寄生性のものがあります。“うわさ”レベルですが、『ナラ枯れによる枯れ死材へ木材腐朽(ふきゅう)菌が入り、それをねらう菌寄生菌としてカエンタケがやってきた』との見方は、注目に値するかもしれません」(吹春さん)
関東の都市部へはどれほど拡大していますか?
「千葉県の場合、2005(平成17)年に君津市で採集されたカエンタケの標本が県立中央博物館に送られてきたのが最初でした。
この最初の記録はナラ枯れとの関係は不明でしたが、その後、2017(平成29)年に県内で初めて発生したナラ枯れの拡大と期を一にして、2019~20(令和元~2)年には県南部の君津市や鴨川市の森林地帯から届けられる標本が増え出します。
2021(令和3)年に茂原市の茂原公園や木更津市の太田山公園といった都市部で、カエンタケの発生が相次ぎ話題になりました。ナラ枯れは県内全域に広がってきていますので、カエンタケの発生も増えていくとみられます。東京都や神奈川県などでも同様の報告が寄せられています」(吹春さん)
カエンタケは「いちばん強い毒性をもったきのこ」ともいわれているそうです。これからきのこ採りのシーズンを迎えますが、都会の公園でカエンタケに出合うことも増えています。
真っ赤なカエンタケを見つけても触ったりせず、けっして食べたりしないよう、注意しましょう。
» お天気ニュースをアプリで読む» お天気ニュース記事一覧
「都市部へのカエンタケ発生の先行地域である関西では、ナラ枯れ(ブナ科樹木萎凋病〈いちょうびょう〉)とカエンタケの発生地が一致していることから、互いの深い関連性が指摘されています。
学問的な証明はなされていませんが、カエンタケの仲間であるトリコデルマ属には菌を溶かす性質をもった菌寄生性のものがあります。“うわさ”レベルですが、『ナラ枯れによる枯れ死材へ木材腐朽(ふきゅう)菌が入り、それをねらう菌寄生菌としてカエンタケがやってきた』との見方は、注目に値するかもしれません」(吹春さん)
関東の都市部へはどれほど拡大していますか?
「千葉県の場合、2005(平成17)年に君津市で採集されたカエンタケの標本が県立中央博物館に送られてきたのが最初でした。
この最初の記録はナラ枯れとの関係は不明でしたが、その後、2017(平成29)年に県内で初めて発生したナラ枯れの拡大と期を一にして、2019~20(令和元~2)年には県南部の君津市や鴨川市の森林地帯から届けられる標本が増え出します。
2021(令和3)年に茂原市の茂原公園や木更津市の太田山公園といった都市部で、カエンタケの発生が相次ぎ話題になりました。ナラ枯れは県内全域に広がってきていますので、カエンタケの発生も増えていくとみられます。東京都や神奈川県などでも同様の報告が寄せられています」(吹春さん)
カエンタケは「いちばん強い毒性をもったきのこ」ともいわれているそうです。これからきのこ採りのシーズンを迎えますが、都会の公園でカエンタケに出合うことも増えています。
真っ赤なカエンタケを見つけても触ったりせず、けっして食べたりしないよう、注意しましょう。
» お天気ニュースをアプリで読む» お天気ニュース記事一覧