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週刊地震情報 2022.7.3
宗谷海峡の地震で異常震域 600km離れた所で震度3

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2022/07/03 11:09 ウェザーニュース

この1週間で国内で観測された有感地震の回数は前週よりも少ない水準です。

九州の太平洋沿岸や熊本周辺での地震が目立ちました。震度3以上の地震は2回発生しています。(6月27日~7月3日10時の集計)

国内:宗谷海峡の深さ320kmでM5.9

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宗谷海峡の地震
7月2日(土)11時00分頃、北海道の宗谷海峡を震源とするマグニチュード5.9、深さ約320kmと推定される地震が発生し、北海道猿払村と青森県階上町で最大震度3、北海道から東北の太平洋側で震度1~2の揺れを観測しました。

地震のメカニズムは西南西ー東北東方向に圧力軸を持つ逆断層型とみられます。

この地震では震央に比較的近い北海道の上川地方や網走地方などで揺れを観測しなかった一方で、東北の太平洋側の広い範囲で揺れており、深発地震の際に良くみられる「異常震域」と呼ばれる分布です。震度3を観測した青森県階上町は震央から600kmほど離れています。

深発地震に特有の震度分布

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異常震域の仕組み
多くの地震では震央から同心円状に揺れの強い地域が分布しますが、深発地震では沈み込んだプレートに沿って強い揺れが伝わり、プレート境界に近い遠方で揺れが大きくなる現象がみられることがあり、これを「異常震域」といいます。震央の近傍では揺れが小さくても、遠方に強い揺れが伝わることがあるため注意が必要です。

今回の地震では地震波が伝わりやすい太平洋プレートに沿って、北日本の太平洋沿岸に揺れが伝播したものと考えられます。

深発地震では津波の可能性は小さく、一般的に震源が100kmより深い地震ではほぼ津波の心配はないと考えられます。

オホーツク海や日本海、三重県南東沖から東海道南方沖、鳥島近海などでは同様の深発地震が発生することがしばしばあり、数年に一度マグニチュード6以上の規模の地震も発生します。一方、一度の地震での余震がほとんどないことも特徴です。

今回の震源の少し北では2020年12月にマグニチュード6.7の規模の大きな深発地震が発生しています。

国内:有明海で震度3

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有明海の地震
6月29日(水)9時20分頃、有明海を震源とするマグニチュード3.9、深さ10kmと推定される地震が発生しました。この地震で熊本県熊本市と上天草市で最大震度3を観測しています。有明海を震源とする震度3以上の地震は2020年3月以来、約2年ぶりで、地震のメカニズムは横ずれ型と解析されています。

今回の震源の周辺では2016年の熊本地震の活動以降に地震が増加し、マグニチュード4クラスの地震が時々発生しています。

熊本地震で活動に関連している布田川断層帯は一部が海域まで伸びていると考えられています。今回の震源は断層帯に比べると少し北に位置しているため、直接的な断層の活動かははっきりしません。

ただ、先月26日(日)には熊本地震の活動域で最大震度5弱の地震が起きたばかりです。活動の活発化は特段みられてはいないものの、少し注意が必要です。

世界:イラン南部でM6クラスの地震が相次ぐ

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世界のM4.5以上の地震(USGSホームページ引用/ウェザーニュース加工)
アメリカ地質調査所の解析によるマグニチュード6以上の地震は3回発生しています。いずれの地震も規模はマグチュード6.0です。

日本時間の7月2日(土)朝にイラン南部を震源とするマグニチュード6.0の地震が相次いで2回発生しました。深さ約10kmと約16kmでいずれも浅く、メカニズムは南北方向に圧力軸を持つ逆断層型と解析されています。

震源近傍では最新の解析で、改正メルカリ震度階級VIIの揺れが襲ったとみられ、厳密な比較はできないものの、日本の気象庁震度階級に換算すると震度4から5弱程度に相当します。揺れが強かった地域では建物が倒壊などの被害が起きました。

イランはアラビアプレートとユーラシアプレートの境界に位置しており、今回の震源はプレート境界のやや南側です。この領域ではマグニチュード7を超えるような地震はあまりないものの、6クラスの地震は多発していて、去年11月にはマグニチュード6.4の地震も起きています。

参考資料など

※日本国内の震源・震度の情報は特に記載が無ければ気象庁より。海外の震源情報は特に記載が無ければアメリカ地質調査所(USGS)より。発表機関により震源情報に差が生じることがあります。

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