facebook line twitter mail

洗い方と干し方で変わる? プロが教える洗濯物のシワを防ぐテクニック

2022/05/29 14:06 ウェザーニュース

立夏が過ぎて暦の上では「夏」を迎え、2022年全国初の猛暑日や東京でも真夏日を観測するなど暑い日が多くなってきています。

薄手のシャツやブラウスなどの出番も増えてきましたが、これらの夏物衣料は洗濯の後にどうしてもシワが目立ちやすいという難点があります。

梅雨前線も北上しつつあり、洗濯はなるべく効率的に済ませたいもの。シワが少なければアイロンがけの手間も省けます。洗濯物にシワができにくくするにはどうすればいいのか、NPO法人クリーニング・カスタマーズサポート(福島県須賀川市)の鈴木和幸代表に、洗い方や干し方のコツについて伺いました。

シワの原因とシワになりやすい素材

YシャツやTシャツなどは洗濯するとどうしてもシワができてしまいます。シワの原因はどのようなところにあるのでしょうか。

「洗濯機の中で洗濯物同士が絡み合ったりこすれ合ったりしてしまうことが原因です。洗濯機内の水量に対して洗濯物の量が多すぎたり少なすぎたりした場合、絡み合いやこすれ合いが起きやすくなり、シワの原因となります。

また、脱水の時間が長すぎることもシワの原因になります。洗濯機の『脱水』とは、洗濯槽を強く回転させることによって生じる遠心力で水分を飛ばす機能です。この遠心力が洗濯物にかかることにより、シワが生じてしまうのです」(鈴木代表)

シワができやすい素材にはどんなものがありますか。

「夏物衣料に比較的よく使われる麻や綿、レーヨンなど『植物由来』の天然繊維は、ポリエステルなどの人工繊維に比べてシワができやすい性質をもっています。

天然繊維は人工繊維に比べて柔らかく肌ざわりがいいのが特徴ですが、その特質は『元の形を保持したり元の形に戻ろうとしたりする力が弱い』ことに起因しています。そのため、シワやヨレができやすいのです。

洗濯の前に衣類に付いているタグの『洗濯表示』をチェックしてみてください。麻や綿はもちろんですが、天然繊維が100%でない素材でも『手絞り不可』の表示があるものは、シワができやすいという目安になります」(鈴木代表)

シワになりにくい洗い方の基本

具体的にシワになりにくい洗い方とはどのような方法でしょうか。

「まず、洗濯ネットを使用してください。衣類を洗濯ネットに入れると、ほかの洗濯物と絡み合ったりこすれ合ったりすることが防止できます。1つの洗濯ネットに入れる衣類は1枚が原則で、シワになりやすい部分が外側になるように入れてください。

衣類に合わせたちょうど良いサイズを選ぶなど、洗濯ネットの大きさにも注意が必要です。大きすぎると洗濯ネットの中で衣類が動いて繊維同士がこすれ合ってしまい、シワ防止の意味がなくなってしまいます。また、小さすぎると洗剤が衣類に行き渡りにくくなり、汚れ落ちの効果が失われてしまいます」(鈴木代表)

脱水時の注意点を教えてください。

「脱水時間は短くしてください。洗濯機の脱水時間の初期設定は5~8分とされていますが、夏物のシャツの場合は最短時間に設定するなど脱水を短めにしましょう。

脱水後はすぐに洗濯機から取り出してください。固まりのまままとめてかごに入れず、1枚ずつ取り出して大きく振り払ってシワを伸ばしてから、広げてかごに重ねるように置くのがコツです。衣類同士の重みでシワが伸びる効果があり、干しやすくもなります」(鈴木代表)

シワは干し方で変わる?

夏場に洗濯の機会が増えるYシャツやTシャツの干し方のコツは。

「ハンガーなどに掛ける前に、たたんだ状態で軽くたたいて、細かいシワを伸ばしておきます。

Yシャツなら襟部分、Tシャツなら首から肩にかけての部分を持って、上から下へ音がするくらい強めに振っておきます。これで全体の大きなシワを伸ばすことができます。ハンガーに掛けた後で残った小ジワが目につくようでしたら、それも軽くたたいて伸ばしてください。

Yシャツの場合、厚みがあるハンガーを用いたほうが、型崩れしにくくなります。襟を立てて、第1ボタンから第3ボタンまでを留めておきます。第4ボタンから下と、袖口のボタンは外したままにしておきます。ポロシャツの場合は、ボタンを全部留めておいてください。

Tシャツのシワ防止には、物干しざおに直接掛ける『さお干し』が有効です。Tシャツをハンガーに掛けると、すそに重みがかかって下側に引っ張られ、縦ジワが生じやすくなるからです。

さお干しは、Tシャツを横に二つ折りにして、前後の重さが均等になるように物干しざおに掛けます。横方向に引っ張って、縦ジワを伸ばしておいてください。ハンガー干しに比べて首まわりに力がかからなくなるので、ヨレの防止にもなります。

なお、ズボンやスカートは重いウエスト部分を下にして干すと、シワが伸びます。裏返しにしてポケットを出しておくと乾きやすく、シワが定着するのを防止する効果が高まります」(鈴木代表)

この時季は天候が不安定でにわか雨が降る日も多く、梅雨に入ればなおさら「洗濯日和」は少なくなってきます。シワを防止する洗い方や干し方を参考にしてアイロンがけの手間を省き、シワの目立たないさわやかな夏物衣類ですごしたいものです。
» お天気ニュースをアプリで見る