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週刊地震情報 2022.5.22
伊豆大島近海で深発地震 過去にはM6の地震発生も

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2022/05/22 10:08 ウェザーニュース

この1週間で国内で観測された有感地震の回数は前週とほぼ同じ水準です。

福島県沖から宮城県沖にかけて発生が多く、能登半島や京都府南部の地震活動も継続しています。震度3以上の地震は2回発生しました。(5月16日~5月22日10時の集計)

国内:伊豆大島近海で深さ100km以上の深発地震

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伊豆大島近海の地震
17日(火)22時46分頃、伊豆大島近海を震源とするマグニチュード4.1、深さ137kmと推定される地震が発生しました。

この地震で東京都千代田区で最大震度2、東京都中央区や港区、神奈川県横浜市、千葉県館山市や木更津市など関東南部を中心に震度1の揺れを観測しました。震央に近い伊豆大島では揺れを観測しておらず、異常震域とみられる震度分布です。

地震のメカニズムは北西ー南東方向に張力軸を持つ正断層型と解析され、深さやメカニズムなどから太平洋プレート内部で発生した地震と考えられます。

過去にはM6.0の地震が起きたことも

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伊豆大島近海の震源分布
伊豆大島や三宅島など伊豆諸島の地震というと、火山活動と関連した浅い地震がよく知られています。実際に伊豆諸島周辺で発生した地震の震源分布を見ると、発生が多いのは伊豆大島の北西から伊豆半島にかけての領域や、三宅島から神津島にかけての領域です。

東西断面による深さでも大部分の地震が深さ10km前後に集中しています。20kmよりも深い所は発生が少ないものの、100km以深はやや多くなっています。太平洋プレートとユーラシアプレートの境界付近や太平洋プレートの内部で起きる地震です。

深発地震は大部分がマグニチュード4前後ですが、2014年5月にはマグニチュード6.0という規模の大きな地震が発生しました。この地震では東京都千代田区で最大震度5弱、関東の広域で震度3~4の揺れを観測し、けが人が出るなどの被害が生じています。

世界:オーストラリア南東の海域でM6.9の地震

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世界のM4.5以上の地震(USGSホームページ引用/ウェザーニュース加工)
アメリカ地質調査所の解析によるマグニチュード6以上の地震は2回発生しています。最も大きな地震はオーストラリア南東海域で発生したマグニチュード6.9です。

日本時間の19日(木)夕方にオーストラリア領・マクオーリー島近海を震源とするマグニチュード6.9、深さ約10kmと推定される地震が発生しました。発生直後は地震の規模がマグニチュード7.3と推定されたため、津波の発生が懸念されました。ただ、その後の解析で規模が少し下方修正されたことや、メカニズムが横ずれ型であったことから、津波の影響はありませんでした。

今回の震源付近はオーストラリアプレートと太平洋プレートの境界に当たります。今回の震源の少し北側では、2004年にマグニチュード8.1という巨大地震が発生するなど、地震の多い領域です。

プレート境界ではあるものの、この周辺での地震は横ずれ型が多く、地震の規模の割には津波が発生しにくいと言えます。

ジブラルタル海峡近くでM5.5

日本時間の20日(金)夜にジブラルタル海峡近くのモロッコ沖でマグニチュード5.5、深さ約10kmと推定される地震が発生しました。地震のメカニズムは横ずれ型と解析されています。

ジブラルタル海峡はヨーロッパとアフリカを隔てる海峡で、同じようにユーラシアプレートとアフリカプレートの境界でもあります。沈み込み帯ではないため、横ずれ型の地震が多く、2016年に発生したマグニチュード6.3や2004年のマグニチュード6.4の地震も同じメカニズムです。

浅い所の地震が多いため、陸地に近い所もしくは陸域で発生した場合は震央付近で強い揺れとなります。

参考資料など

※日本国内の震源・震度の情報は特に記載が無ければ気象庁より。海外の震源情報は特に記載が無ければアメリカ地質調査所(USGS)より。発表機関により震源情報に差が生じることがあります。

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