蛍の産卵から命を終えるまで
私たちが蛍(ゲンジボタル)を意識するのは5月末から6月中旬にかけて、発光しながら舞い飛ぶ様子に限られます。蛍はそれ以外の時季にはどんなふうに暮らしているのか。また、産卵から命を終えるまで、どんな一生を送るのでしょうか。
【産卵】
「日本の代表的な蛍であるゲンジボタルの場合、産卵時期は例年6月初旬から中旬にかけてです。卵の大きさは0.5mmほどで、川の水面に突き出た木や石のコケに産みつけます。
1匹のメスが産む卵の数には個体差があり、おおむね500~1500個で、産卵直後の卵は淡黄色をしていますが、次第に卵の中で幼虫の姿になり、幼虫の体色が透けて見えるようになります。卵は産卵直後から発光しますが、ふ化前日はあまり光らなくなります」(川野さん)
【ふ化】
「ゲンジボタルは産卵から約20日後にふ化します。生まれたばかりの幼虫の体長は1.5mmほど。ふ化した幼虫は、すぐに水面に落下して、水中で生活を始めます」(川野さん)
【幼虫】
「ゲンジボタルの幼虫は、餌になる淡水貝類のカワニナが棲(す)む場所に生息します。カワニナの体に噛みついて、麻酔で眠らせてから肉を溶かしながら食べます。
幼虫は約6回脱皮を繰り返して成長していきます。脱皮直後は真っ白い体をしていますが、時間とともに次第に体が黒っぽくなります。幼虫はソメイヨシノが咲く頃の雨が降る夜に、水中から陸上に上陸して、蛹化するために土に潜ります。上陸の時は幼虫はお尻にある1対の発光器を光らせます」(川野さん)
【さなぎ】
「土に潜った幼虫は、幼虫の姿のまま(前蛹/ぜんよう)で3週間ほど過ごし、幼虫の皮を脱いで(蛹化/ようか)さなぎになります。最近の研究では、蛍のさなぎは尻だけでなく頭も光り、尻と頭では発光の仕組みが違っていることが知られています」(川野さん)
【羽化】
「約1週間さなぎの姿で過ごし、さなぎの皮を脱いで(羽化/うか)成虫になります。5月末から6月中旬にかけて、成虫となったゲンジボタルは発光しながら飛び回るようになります。
成虫としての寿命はゲンジボタルの場合、野外で1週間程度。その間に交尾します。交尾から数日後にメスは産卵し、死んでしまいます。
水中と地中で合わせて約10ヵ月間(個体によっては幼虫期間が1年以上の個体もいる)暮らしたのち、野外で光り輝きながら飛び回れるのは1週間限り。これが蛍の一生です。けれど、まだまだ蛍が光るしくみや役割には、多くの謎が残されています」(川野さん)
「日本の代表的な蛍であるゲンジボタルの場合、産卵時期は例年6月初旬から中旬にかけてです。卵の大きさは0.5mmほどで、川の水面に突き出た木や石のコケに産みつけます。
1匹のメスが産む卵の数には個体差があり、おおむね500~1500個で、産卵直後の卵は淡黄色をしていますが、次第に卵の中で幼虫の姿になり、幼虫の体色が透けて見えるようになります。卵は産卵直後から発光しますが、ふ化前日はあまり光らなくなります」(川野さん)
【ふ化】
「ゲンジボタルは産卵から約20日後にふ化します。生まれたばかりの幼虫の体長は1.5mmほど。ふ化した幼虫は、すぐに水面に落下して、水中で生活を始めます」(川野さん)
【幼虫】
「ゲンジボタルの幼虫は、餌になる淡水貝類のカワニナが棲(す)む場所に生息します。カワニナの体に噛みついて、麻酔で眠らせてから肉を溶かしながら食べます。
幼虫は約6回脱皮を繰り返して成長していきます。脱皮直後は真っ白い体をしていますが、時間とともに次第に体が黒っぽくなります。幼虫はソメイヨシノが咲く頃の雨が降る夜に、水中から陸上に上陸して、蛹化するために土に潜ります。上陸の時は幼虫はお尻にある1対の発光器を光らせます」(川野さん)
【さなぎ】
「土に潜った幼虫は、幼虫の姿のまま(前蛹/ぜんよう)で3週間ほど過ごし、幼虫の皮を脱いで(蛹化/ようか)さなぎになります。最近の研究では、蛍のさなぎは尻だけでなく頭も光り、尻と頭では発光の仕組みが違っていることが知られています」(川野さん)
【羽化】
「約1週間さなぎの姿で過ごし、さなぎの皮を脱いで(羽化/うか)成虫になります。5月末から6月中旬にかけて、成虫となったゲンジボタルは発光しながら飛び回るようになります。
成虫としての寿命はゲンジボタルの場合、野外で1週間程度。その間に交尾します。交尾から数日後にメスは産卵し、死んでしまいます。
水中と地中で合わせて約10ヵ月間(個体によっては幼虫期間が1年以上の個体もいる)暮らしたのち、野外で光り輝きながら飛び回れるのは1週間限り。これが蛍の一生です。けれど、まだまだ蛍が光るしくみや役割には、多くの謎が残されています」(川野さん)
蛍が生息できる環境とは
蛍が生きていくためには、どのような「条件」が挙げられますか。
「カワニナが生息するようなやや富栄養(ふえいよう)な水質を好み、水がきれい過ぎても、汚すぎてもよくありません。餌のカワニナが多く生息している必要があります。
夜間、川に直接光が当たる環境では、幼虫の上陸が阻害されたり、成虫が活発に活動しないことがあるので、街灯などがない環境がいいようです」(川野さん)
蛍が生育しているのは自然豊かな水辺です。それは私たち人間にとっても大切な場所です。これからも、蛍が生息できるようにそのような環境を守り、育てていくことが必要でしょう。
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「カワニナが生息するようなやや富栄養(ふえいよう)な水質を好み、水がきれい過ぎても、汚すぎてもよくありません。餌のカワニナが多く生息している必要があります。
夜間、川に直接光が当たる環境では、幼虫の上陸が阻害されたり、成虫が活発に活動しないことがあるので、街灯などがない環境がいいようです」(川野さん)
蛍が生育しているのは自然豊かな水辺です。それは私たち人間にとっても大切な場所です。これからも、蛍が生息できるようにそのような環境を守り、育てていくことが必要でしょう。
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