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七十二候「蚯蚓出」 良い土に欠かせない!驚きのミミズの働き

2022/05/10 12:01 ウェザーニュース

暖かくなり、新緑もだいぶ濃くなってきたこの時期は、ミミズも地上に這い出してくる頃。5月11日からは、七十二候「蚯蚓出(みみずいずる)」です。

その見た目から苦手な方もいるかもしれませんが、ミミズはとっても働き者。ミミズの印象が変わるお話をご紹介します。

※苦手な方も多いため、記事にミミズの画像は使用しておりません。

良い土作りには欠かせない存在

ミミズなんていなくてもいいんじゃないかな。そう思う方もいるかもしれませんが、実は土壌環境の改善に大きく貢献しているんです。

長い間放置され、固くなってしまった土を耕すのは、なかなか苦労するものです。しかし、ミミズの力を借りればふんわりと柔らかな土に仕上がります。というのも、ミミズが土の中を移動するだけで、土は自然に耕されるからです。

ミミズは土を掘りながら移動するので、動けば動くほど地中の土は掘り起こされます。さらに、ミミズの通り道は空気や水の通り道ともなるため、通気性が良く、地中深くまで水が行き渡るようになるのです。

ミミズにとっては、ごく普通に生活を送っているだけかもしれませんが、私たちにとっては、植物を植えるにはもってこいの良い土が着々と作られるわけです。

全てが土のためになる!?

ミミズというのは、土を食べて、その中に含まれる有機物や微生物を摂取しています。ミミズが1日に食べる土の量は、自分の体重と同じくらいと言われています。

「ミミズの体重くらいなんて、ほんの少しじゃん」と思うかもしれません。

私たちから見れば確かにそうなのですが、人間に置き換えて考えてみてください。例えば、体重50キロの人が、自分の体重と同じ分の食事をとるとなると、50キロ分の食事量ということになりますから、なかなかハードですよね。細い体なのに、案外食べる量は盛り沢山です。

食べた土はその後排泄されるのですが、ミミズは糞(ふん)も肥料の役割をします。さらに驚くことに、ミミズの体には「窒素」や「リン酸」など、植物の栄養になるものが含まれているので、死骸さえも肥料となります。

生きていても、死んでしまっても良い土作りに役立っていたなんて。毛嫌いしていたのがちょっと申し訳なくなりますね。

ミミズからのSOS

暑い季節になると、ミミズが地上で干からびてしまっている姿をよく見かけませんか?土の中にいればいいのに、なぜわざわざ出てくるのでしょう。

ミミズが地上に出てくる理由にはいくつかあるのですが、その中には大雨が原因という説も。

大量の雨が地面に降り注ぐと、普段は空気が入っている空間に水が入ってしまいます。そうすると、土の中の酸素量は減り、ミミズは苦しくなって地上に出てくるのです。

「地面も乾いてきたし、さて戻るか」と思ったら、表面が固くなってしまい土の中に戻れず、干からびてしまうそうです。

加えて、今は昔よりもアスファルトの面積が広くなっています。戻れるくらい柔らかな土を探し求めていたのにたどり着かず、アツアツなアスファルトで息絶えてしまうこともしばしば。なんとも切ないですね。固い土やアスファルトの上で助けを求めているミミズを見かけたら、そっと柔らかな土の中に戻してあげてください。
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参考資料など

【参照・参考元】
ベネッセ教育情報サイト「【いきものシリーズ】ミミズが自然界の中で果たしている大きな役割とは?」https://benesse.jp/kyouiku/201507/20150704-4.html
NHKテキストview「有機栽培に欠かせないミミズ その5つの働き」https://textview.jp/post/hobby/2829
コトバンク「湿害」https://kotobank.jp/word/%E6%B9%BF%E5%AE%B3-840115