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週刊地震情報 2022.5.8 ゴールデンウィークに地震多発 震度3以上が8回発生

2022/05/08 10:39 ウェザーニュース

この1週間で国内で観測された有感地震の回数は前週とほぼ同じ水準です。

本州の陸域を震源とした地震が多く、沖縄の近海でも地震が目立ちました。震度3以上の地震は前週より大きく増えて、8回発生しています。(5月2日~5月8日10時の集計)

国内:東京都多摩東部でM4.6 関東広域で揺れを観測

東京都多摩東部の地震
3日(火)19時40分頃、東京都多摩東部を震源とするマグニチュード4.6、深さ130kmと推定される地震が発生しました。この地震で東京都練馬区、神奈川県横浜市、川崎市、群馬県桐生市、栃木県宇都宮市などで最大震度3、関東平野のほぼ全域で震度2の揺れを観測しました。

地震のメカニズムは北北東ー南南西方向に圧力軸をもつ逆断層型と解析されています。震源が比較的深い地震であったため、最大震度は3に留まりましたが、震央から少し離れた所も含む広い範囲で揺れたのが特徴です。

東京の地下の深い領域で発生

東京周辺の震源分布
東京の地下には地震の多い深さがいくつかあります。2010年2月にマグニチュード3.3が起きた深さ20~30km前後の比較的浅い所が最も多い領域です。

深さ80~90km前後も比較的地震が多く、この付近では去年11月にマグニチュード4.6が発生。今回の地震が起きた120km前後にも地震の集中している領域があります。それ以外でも地震は発生し、1931年に起きたマグニチュード6.3の地震は深さ57kmでした。

関東の地下ではユーラシアプレート、フィリピン海プレート、太平洋プレートがひしめき合っており、非常に複雑な構造です。それぞれのプレートが影響しあっている領域で地震が多く発生しているとみられ、いくつもの「地震の巣」が存在しています。

5日(木)にはその地震の巣の一つである茨城県南部でマグニチュード4.8、最大震度4の地震が発生しました。内閣府が首都直下地震の被害想定を行っているように、関東ではいつ強い地震が起きてもおかしくありません。定期的に対策や避難経路のチェックなどを行うようにしてください。

国内:地震活動が活発なエリアで強い揺れ

石川県能登半島の地震
2日(月)14時52分頃、石川県能登地方を震源とするマグニチュード4.1、深さ12kmと推定される地震が発生しました。この地震で石川県珠洲市で最大震度3を観測しています。

また、2日(月)22時21分頃、京都府南部を震源とするマグニチュード4.4、深さ13kmと推定される地震が発生しました。この地震で京都府亀岡市で最大震度4、京都市や長岡京市、大阪府高槻市、能勢町などで震度3を観測しています。

石川県能登地方は昨年から地震活動が続いていて、震度3以上の地震は今年だけもこれで10回目です。依然として収まる兆候はなく、引き続き注意が必要になります。

京都府南部は3月31日の地震以降、活動が活発です。現時点ではマグニチュード4クラスの地震にとどまっていますが、震源が浅いため少し規模が大きくなるだけで、揺れも大きくなりますので、油断はできません。

世界:フィリピン南部近海で地震活動が活発

世界のM4.5以上の地震(USGSホームページ引用/ウェザーニュース加工)
アメリカ地質調査所の解析によるマグニチュード6以上の地震は1回発生しています。最も大きな地震はフィリピン近海で発生したマグニチュード6.0です。

日本時間の5日(木)夕方にフィリピン南部ミンダナオ島の南東海域を震源とするマグニチュード6.0、深さ約22kmと推定される地震が発生しました。この地震で陸域では強い揺れを観測していません。地震のメカニズムは西北西ー東南東方向に圧力軸を持つ、逆断層型と解析されています。

今回の震源近くでは日本時間の5日(木)早朝にマグニチュード5.1の地震が発生し、6日(金)の朝にかけて前述のマグニチュード6.0の地震を含む6回のマグニチュード5以上の地震が起きました。

ミンダナオ島の沖合はユーラシアプレートにフィリピン海プレートが沈み込んでいる境界に辺ります。震源が東西に分布していることや、少しずつ深さに変化が見えていることなどから、プレート境界もしくはその周辺で起きた地震とみられます。

この領域はマグニチュード7以上の地震も頻発していて、去年だけでも8月にマグニチュード7.1、1月にマグニチュード7.0と2回発生。2001年には陸地に近い所でマグニチュード7.5の地震も起きました。1972年に発生したマグニチュード8.0の地震では、日本国内でも数10cmの津波を観測しています。

参考資料など

※日本国内の震源・震度の情報は特に記載が無ければ気象庁より。海外の震源情報は特に記載が無ければアメリカ地質調査所(USGS)より。発表機関により震源情報に差が生じることがあります。