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水をつけるのは絶対NG? ユリなどのやっかいな花粉の染み抜き方法

2022/05/09 05:00 ウェザーニュース

新型コロナウイルス感染症まん延防止措置が解除されて3年ぶりに“普段の春”が戻り、控えられがちだった冠婚葬祭の席も復活しつつあります。天候がよくなったことで、庭に植えた草花の手入れをする機会も増えました。そこで注意したいのが、花の花粉です。

ついうっかり、ユリなどの花粉を着衣に付着させてしまうことがありませんか。ウェザーニュースでは「服にユリなど花粉が付いた経験は?」というアンケート調査を行ったところ、8000人近い回答者のうち「ある」という回答が67%に上りました。
この花粉染みは思いのほかやっかいな存在で、処理を誤ると染みが簡単には落ちなくなり、せっかくの礼服や式服、着物などが台なしになってしまったというケースもよくあるようです。

衣類に花の花粉が付いてしまったときの注意点と、適切な染み抜きの方法などについて、クリーニング店の上手な利用法を消費者に伝えるNPO法人クリーニング・カスタマーズサポート(福島県須賀川市)の鈴木和幸代表に伺いました。

花粉には粘着力が強い脂質などが含まれている

花粉症の人にとって悩みの種だったスギ花粉が飛散する時季がようやく終わったと思ったのに、花の花粉に注意する必要が生じています。洋服や着物に付いてしまった花の花粉は、どうして取れにくいのでしょうか。

「植物の生態を解説するテレビの教育番組などでよく目にする機会があると思いますが、植物は受粉のために昆虫をいざない、花粉を体や脚に付けさせて、おしべからめしべへと運ばせます。そのため、花粉にはべたべたと粘着力の強い脂質やたんぱく質が多く含まれているのです。

特にユリの花粉は、草木染めの植物染料に多用されるほど粘着力が強いので、衣類に付着しやすいうえに付いてしまったら頑固な染みになりやすく、要注意です」(鈴木代表)

水洗いは絶対NG

花粉の染みが衣服に付いてしまったときは、どうすればいいのでしょうか。

「ついやってしまいがちですが、手で払ってはいけません。粘着力が強い花粉は払い落とすことができず、むしろ染みの原因を広げてしまうことになります。人の手にも脂質が付いていますから、花粉の定着をむしろ促進させてしまう可能性が生じます。

また、水洗いは絶対にNGです。水によって花粉が繊維の中に入り込み、染みとなって定着してしまうからです。濡れた布でこすることも、同様の理由から避けてください」(鈴木代表)

花粉を取り除くには?

それでは、花粉の除去と染み抜きはどのような方法、手順で行えばいいのでしょうか。

「衣類の表面に付いた花粉を取り除くには、まず花粉に触らずに乾燥させます。そのうえで、乾いたティッシュペーパーや柔らかいブラシで花粉を丁寧に払い落としてください。力を入れると花粉が繊維に入り込んでしまいます。

粘着テープに花粉を貼り付けるという方法もありますが、花粉が付いた状態で同じところを何度も触らないように気をつけてください。

手元に掃除機がある場合は、先端部分を取り外してからノズルの円形部分に輪ゴムなどでタオルか布をしっかり固定したうえで、設定を『弱』にしてからスイッチを入れ、軽く押し当てるようにして花粉を吸い取ります。

タオルは一重で大丈夫、掃除機の強度は様子を見ながら適宜調整してください。あまり強度を上げ過ぎると生地そのものを痛めてしまうので、注意が必要です。

表面の花粉が落ちたら、衣類を直射日光に当てて干してください。日光の紫外線には色素を吸収する力があり、直射日光に数時間当てることで残った染みを薄くすることができます。ただし、直射日光を衣類に当てすぎると色あせが生じる可能性がありますので、長い時間放置しておくことは避けてください。

それでも花粉が取れない場合は、信頼できるクリーニング店に持ち込むことをおすすめします。店員に花粉が付いたことを告げれば、専用の染み抜き機で対処してくれるはずです」(鈴木代表)

花粉、果汁や植物などの色素、実はクリーニングの専門家にとっても対処しにくいもののひとつだそうです。「自分では厳しい」と感じたら、すぐにクリーニング店へ持って行くのが賢明かもしれません。

いずれにしてもやっかいな花粉が衣類に付着しないよう心がけましょう。

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