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お茶の4つの天敵とは? プロに聞く正しい保存方法

2022/05/10 10:46 ウェザーニュース

立春から「八十八夜」目(2022年は5月2日)の前後は、お茶の産地で一番茶の摘み採りが行われます。この時期を待って、新茶を楽しみにしている人も多いのではないでしょうか。

お茶は乾燥しているので品質が安定していると思われがちですが、実は劣化させる天敵をいくつも持っています。どう保存すればおいしく飲めるのか、株式会社伊藤園の広報部に教えていただきました。

家庭での保存方法

「未開封の場合は、そのまま冷蔵庫か冷凍庫で保存してください。使うときは、必ず常温に戻す必要があります。冷たいまま開封すると、温度差で発生した水滴を吸収するため、お茶の鮮度が損なわれてしまうのです」(伊藤園広報部)

開封後は、どのように保存すれば良いのでしょうか。

「密封性と遮光性のある容器に移し、冷暗所で保存します。冷蔵庫で保存するのは、冷蔵庫内のにおいを茶葉が吸収したり、出し入れの際に湿気を帯びたりするので、避けたほうが賢明です。

家庭で使うのなら、なるべく少なめに購入し、2週間から1ヵ月程度で使い切るようにすると良いでしょう」(伊藤園広報部)

お茶の4つの天敵

お茶が変質したり品質低下したりする原因には、大きく分けて湿度、酸素、光、高温の4つがあるそうです。それぞれの原因と対策を伺いました。

(1)湿度
「茶葉の水分含有量が増加すると、成分の酸化が促進され、色沢(しきたく:色やツヤの状態)・水色(すいしょく:湯飲みなどに注がれたお茶の色)・香気のいずれにも極端な悪影響を与えます。

湿気を避けるには保存庫内を除湿するか、湿気を通さない袋もしくは容器に移して保存してください。開放した状態での保存は厳禁です」(伊藤園広報部)

(2)酸素
「酸素は葉緑素やカテキン、ビタミンCなどを酸化させ、味わい低下の原因になります。

包装茶の場合、真空包装、脱酸素剤封入、窒素ガス置換などの方法で酸素を除去しなければなりません。開封後は袋内の空気を追い出し、口部をしっかり閉じておきましょう」(伊藤園広報部)

(3)光
「光は葉緑素の分解を促進させるため、茶葉の色沢を褐変(かっぺん)化させたり、日光臭(ひなた臭)を発生させたりする原因になります。

光(日光・蛍光灯)が直接当たらない暗所で保存するか、光を透過しない袋または容器で保存してください」(伊藤園広報部)

(4)高温
「高温下では葉緑素やカテキンが酸化するため、色沢や水色の褐変化が進みます。特に色への悪影響が顕著です。

未開封の場合は冷蔵器で保存し、開封後に冷蔵庫や冷凍庫で保存する場合は、急激な温度変化による結露などを避けるため、常温に戻してから開封しましょう」(伊藤園広報部)

移り香にも注意が必要

4つの天敵以外にも気をつけたい存在があるといいます。

「茶葉には、においを吸着する強力な脱臭作用があるので、保存するときは移り香にも気をつけてください。密封されない状態で保存すると周囲のさまざまなにおいを吸収し、著しく品質を損ないます。必ず密封保存してください」(伊藤園広報部)

旬のものはどれもおいしく感じますが、今はまさに「お茶が旬」。保存方法を間違えないよう気をつけながら、今年の新茶を堪能してください。
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