漢字で書くとインパクト大
「普通、植物の名前はひらがなやカタカナで書くことが多いので、残念な名前だと気付かないことも少なくないのですが、漢字で書くとインパクト大なものが多くあります。その中からいくつかご紹介しましょう」(飯岡さん)
・オオイヌノフグリ
春に小さな青い花をつける野草で、道端でよく見かけられます。「漢字だと『大犬の陰嚢』と書きます。『フグリ』とは陰嚢(いんのう)のことで、実の形が似ていることから名づけられてしまいました。名前はとても残念ですが、今人気のネモフィラにも似て、とても可憐な花を咲かせます」
・ジゴクノカマノフタ
別名は『キランソウ』といいます。「この季節、美しい紫の花を咲かせます。道端や土手などでみられます。
『地獄の釜の蓋』と書きますが、名の由来は根や葉が地面に張り付くように放射状に広がる様子が地獄の釜の蓋のようだからとも、薬効があるため『医者がいらずに地獄に落ちないで済む』からとも言われています。
『医者殺し』という異名もありますが、これも残念な名前ですね」
・ヘクソカズラ
これからの時季に花をつけるツル性の野草です。「漢字だと『屁糞葛』で、屁に糞とはあまりな名前ですが、由来はその悪臭にあります。花をもむとくさい匂いを発します。
この花にちなんで『屁糞葛も花盛り』という諺(ことわざ)があります。臭くて好かれない屁糞葛でも、かわいい花をつける時があるように、不器量な娘でも年頃になればそれなりに魅力があるという意味だそうです」
・ママコノシリヌグイ
5月ぐらいから10個程度のツブツブしたピンク色の花をつけるトゲのあるツル性植物です。「日本全国、やや湿った林の縁や道端で見かけることができます。漢字では『継子の尻拭』ですが、トゲがある茎や葉で憎い継子の尻を拭くという大変意地悪な想像が由来とも言われています。韓国では『嫁の尻拭き草』と言われます。こちらも意地悪から来ているようです」
・ハキダメギク
6月から花をつけます。「庭や道端に生える野草です。漢字では『掃溜菊』ですが、これは植物学者の牧野富太郎博士が掃き溜め(ゴミ捨て場)で発見したことが由来です。花びらは小さいですが、集団で咲いている姿はとてもかわいらしいものです」
野山や道端で咲く野草に目を向けると、意外と美しくてかわいい花を咲かせるものがたくさんあります。ゴールデンウィークにはこれらの野草を見つけて、その美しさやかわいさを再発見してみませんか。
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