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ハナミズキの「花」は花じゃなかった?

2022/04/13 06:05 ウェザーニュース

4月から5月へと向かう新緑の季節に、みずみずしい花を咲かせる樹木がハナミズキです。特にピンクのハナミズキは、同名の歌の中で「薄紅色」と歌われたこともあって人気があります。

しかし、私たちが「花」だと思っているものは、実は花ではないのです。これから見頃を迎えるハナミズキの秘密を、日本花の会研究員の小山徹さんに伺いました。

ハナミズキとはどのような花なのか?

「ハナミズキはミズキ科ミズキ属の落葉高木で、アメリカヤマボウシという別名があります。この別名からわかるように原産地はアメリカで、おもに北米東部からメキシコ北東部に分布しています。

開花時期は、桜(ソメイヨシノ)が散った後。4月中旬から5月中旬にかけて、白、赤、ピンクの花を咲かせます。樹高は5~10m。樹木としては、耐寒性、耐暑性ともにやや弱いという特徴があります」(小山さん)

これから白、赤、ピンクの花を咲かせるハナミズキですが、これらが「花ではない」というのは、どういう訳なのでしょうか?

ハナミズキの花弁に見えるものは葉っぱだった?

「ハナミズキが大きく咲いたように見せている“花”は本来の花弁ではなく、総苞片(そうほうへん)と呼ばれる花のつけ根の葉です。

ハナミズキの鑑賞期間が他の樹木の花に比べてかなり長いのは、それが“葉っぱだから”ということになります。ハナミズキは自然に樹形が整う木であるために、街路樹、公園木、個人庭園など幅広い用途で楽しめます」(小山さん)

ハナミズキの本当の「花」はどこにあるのか?

では、ハナミズキの本当の花は、いったいどこにあるのでしょうか?

「本当の花は、総苞片に囲まれた中央部に、小さな花が寄り集まったようにいくつも咲きます」(小山さん)

つまり、「私たちが花びらだと思っているものの中に小さく咲いている」ことになります。確認するにはハナミズキに近づいて、“花びらの中”をのぞいて見るといいでしょう。

離れていては見えないくらい小さな花が、中心部にあるのがわかります。未開花のときは緑色の粒々の集まりですが、それらが黄色に変わると開花した状態です。

そのほかにも知っておきたいハナミズキの豆知識

「ハナミズキが日本に来たのは、1912年に当時東京市長だった尾崎行雄氏がワシントンD.C.に贈ったソメイヨシノ3,000本の返礼として送られてきたからです。ワシントンD.C.より贈られたハナミズキは、今も都立園芸高校に残っています。

ハナミズキの花言葉は、色によって異なりますが総じて“返礼” “私の思いを受けてください” “永続性”です」(小山さん)

花言葉の「返礼」「私の思いを受けてください」は、日米交流のエピソードから来ていると言われます。日米共通の花言葉である「永続性」は、ハナミズキが時間をかけてゆっくり育つ樹木であることからつけられたようです。

「ハナミズキの英語名は、ドッグウッドといいます。直訳すると“犬の木”です。名前の由来には諸説ありますが、樹皮を犬の皮膚病の薬として利用したことからきたという説があります」(小山さん)

こんな豆知識を身につけてハナミズキを見ると、今年はいっそう親しみが感じられることでしょう。

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