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座ったまま1分で簡単に 睡魔に襲われたら「椅子ヨガ」で一発解消

2022/04/11 05:58 ウェザーニュース

春は生活パターンが変わりやすい季節で、通勤・通学時間が延びたり新たな環境下で緊張を強いられたりなどして、これまでのように十分な睡眠時間が取れなくなったという人も少なくありません。

睡眠不足の影響で、新社会人なら大事な会議、新入生なら必修の講義の際などに急な睡魔が襲ってくる可能性もありますが、それは避けたいところです。

『毎朝、目覚めるのが楽しみになる 大人女子のための睡眠パーフェクトブック』の著者で、睡眠コンサルタントの友野なお先生は、睡魔が襲ってきたときの手軽で解消効果が高い方法として、「椅子ヨガ」をすすめています。

睡眠の大切さと「椅子ヨガ」の方法・効果などについて、友野先生に解説して頂きました。

5時間未満の睡眠が続くと…

睡眠不足の翌日は、仕事でも勉強でも集中できず、時間をかけた割に進行が遅くなったりでき上がりに満足できなかったりしがちです。睡眠不足が体に与える影響は解明されているのでしょうか。

「睡眠時間が減ると作業の効率が下がってしまうことは、科学的に証明されています。起床後17時間を経過すると、課題に対応できる能力が『血中アルコール濃度0.05%』と同じ程度のレベルにまで下がってしまうことが報告されています。

この状態は自動車のドライバーでいえば『酒気帯び運転』に相当します」(友野先生)

起床後17時間というと、午前6時に起きた人が午後11時まで起きていることになります。とくに社会人にとっては珍しくないケースと思われます。

「夜の11時まで残業を続けたとすると、それは“お酒を飲みながら仕事をしている”ことに近い状態になってしまうと考えてください。ほろ酔い状態で仕事をすれば、思考力や判断力が低下してしまうのは当然のことです。

簡単な作業でもミスをしてしまう可能性が高くなります。仕事で自動車を運転しなければいけなかったり、自動車通勤で帰宅したりしている人にとっては、酒気帯び運転と同様の状況が生じているとさえいえるのです。

さらに、睡眠時間が5時間未満という日が続くと、脳の機能が『チューハイ2~3杯(1000~1500ml)を飲んだとき』と同じぐらいのレベルまで低下してしまうという報告もあります。睡眠時間を削ってまで働いた結果が、お酒を飲みながら働いているのと同じぐらい効率が悪いのでは、意味がありません」(友野先生)

アルコール度数5%のチューハイ500ml缶1本の分解には、男性の場合で3時間(個人差あり)かかるとされています。睡眠不足が脳に大きな悪影響を与えることがわかります。

「生産性が下がって思ったとおりの成果が出せないばかりでなく、ミスをしてしまったらリカバリーに無駄な時間が費やされてしまいます。だるさや頭痛はもとより、イライラによる人間関係の悪化も考えられますので、睡眠不足は“百害あって一利なし”といえるでしょう」(友野先生)

手軽な「椅子ヨガ」で頭と体をリフレッシュ

仕事中に睡魔に襲われたり、睡眠不足でぼぉーっとしてしまう時に効果的という「椅子ヨガ」とは、どのようなものなのでしょうか。

「本来は眠ることで心身を休めることがベストといえますが、実際にはなかなかそうはできない場合もあります。そんなとき、オフィスなどの椅子に座ったままでできる2種類の『椅子ヨガ』がおすすめです」(友野先生)

【椅子ヨガ(1)】
背筋を伸ばし、椅子には深めに座ります。肋骨のあたりに両手を置き軽く目をつむって、4秒かけて息を吸いながら胸を大きく開きます。次に5秒かけて吐きながら胸をゆっくり閉じていきます。

「これを3〜5回繰り返すと、デスクワークなどによる前かがみの姿勢で浅くなっている呼吸をリセットしてくれます」(友野先生)

【椅子ヨガ(2)】
椅子に浅めに座ります。ひじを軽く曲げ、両手を後ろに回して椅子の座面の角を持つようにします。こちらでも4秒かけて息を吸いながら胸を大きく開き、次に5秒かけて吐きながら胸をゆっくり閉じていきます。

「同じく3〜5回繰り返します。緊張した背中から腰にかけての筋肉を伸び縮みさせてほぐすことで、気分転換が図れます」(友野先生)

場所と時間をとらないので、手軽に取り組めそうですね。

「ふだん意識していないと使うことがない筋肉や機能の活用と、新鮮な刺激によるリフレッシュ効果が期待できると同時に、眠気で停止しがちだった思考回路のスイッチも『オン』にすることができます」(友野先生)

新生活が始まった春。「仕事ができる」といわれる人は、きちんと眠ることを大切にしているそうです。できるだけ十分な睡眠時間を確保し、それでも眠気が襲ってきたら「椅子ヨガ」で心と身体をリフレッシュさせてモチベーションを上げ、新たな仕事や学業に取り組んでいきましょう。

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