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加熱しても牡蠣(カキ)が縮みにくくなる裏ワザ

2022/03/18 08:33 ウェザーニュース

牡蠣は煮たり焼いたり、どんな調理法で食べてもおいしく栄養にあふれた食材です。日本では冬場の「牡蠣鍋」が代表的ですが、シーズンは英語表記で「R」が付く月(9~4月)。とくにMARCH=3月が一番の旬とされています。

ところが、牡蠣は熱を加えすぎると“こんなに小さかったっけ”とがっかりするほど、縮んでしまいます。そんな牡蠣の縮みを防ぎ、濃厚な旨(うま)みや栄養分の流出を軽減する裏ワザがあるそうです。発酵美容家のザイマリさんに、その手法を伺いました。

片栗粉をまぶして調理すると縮まない

鍋料理で入れておいた牡蠣をつい取り忘れ、鍋の底に小さく煮詰まって沈んでいたなどといった経験も少なくありません。

「水で洗った牡蠣は加熱しすぎると固くなり、旨みはもちろんさまざまな栄養素まで抜けてしまいます。牡蠣の旨みと栄養分を逃さない調理法として、下処理の際に片栗粉をまぶすことが有効です。

大ぶりのぷっくりと太った真牡蠣(マガキ)を、そのままのものと片栗粉をまぶしたもの、それぞれを実際に15分間煮てみました。すると、何も付けずにそのまま煮た牡蠣は縮んで固くなってしまいました。

けれども片栗粉をまぶしたものは煮ても大きさがほとんど生の状態と変わらず、味もジューシーで本来のおいしさが十分保たれていました」(ザイマリさん)
酒としょうゆ、本みりんで煮込んだ牡蠣の佃煮も、片栗粉をまぶすとふっくらとおいしくできあがったそうです。

「水で洗った牡蠣は身の中に多くの水分を含んでいます。加熱によって旨みや栄養素も水分と一緒に外へ逃げてしまうため、縮んでしまうのです。片栗粉を牡蠣の身にまぶすことで加熱の際に薄い膜が作られて水分が失われるのを防ぎ、同時に旨みや栄養分の流失を軽減する効果を発揮するのです」(ザイマリさん)

片栗粉をまぶす前に海水に近い濃度(3~4%)の食塩水で洗うことも縮みを防ぐためにおすすめだそうです。浸透圧の関係で牡蠣の身に余計な水分を吸わせることがなくなるためだといいます。

「そのうえでキッチンペーパーなどで水気を切って、片栗粉をまぶしてやさしく混ぜ、表面にまんべんなくいきわたらせてください」(ザイマリさん)

レモンやポン酢を付けると美肌効果がアップ?

牡蠣の特徴として、「海のミルク」とも称される濃厚な味わいに加えて、ビタミン類やミネラル、アミノ酸、タウリン、グリコーゲンなどの栄養成分が豊富に含まれていることが挙げられます。

「牡蠣に含まれるビタミンはA、B1、B2、C。ミネラルは亜鉛、鉄分、カルシウム。アミノ酸は18種類、グリコーゲン(ブドウ糖)、タウリン(アミノ酸の一種)なども摂取できます。栄養価が高いうえに低脂肪の食べ物でもあります。

とくに注目したいのが、美肌効果が高いとされる亜鉛です。食材の中で豚肉は亜鉛が豊富といわれていますが、牡蠣には豚肉の3~5倍(可食部分100gに対して)もの亜鉛が含まれているのです。

亜鉛は皮膚の再生を促し、ターンオーバー(細胞が一定周期で生まれ変わる仕組み)を正常化してくれる素材ですので、肌荒れやしみなどの改善やアンチエイジング効果が期待できます。

亜鉛の吸収をサポートしてくれる身近な食材として、レモンやポン酢があります。牡蠣にレモンを絞ったりポン酢につけたりして食べることは、味に変化を付けるだけでなく、実は牡蠣に豊富に含まれる亜鉛を吸収しやすくすることで、美肌効果を高める作用もあるのです」(ザイマリさん)

レモンやポン酢に含まれているクエン酸をはじめとする酸やビタミンCが、亜鉛の体内への吸収を助長してくれるのだそうです。

片栗粉をまぶすほんのひと手間を加えるだけで牡蠣の身はぷりぷりとした大きさを保ち、旨みと豊富な栄養分を残したままおいしく食べられます。さらにレモンやポン酢と一緒に食べることで、牡蠣に含まれた美肌効果の高い亜鉛も摂取できます。

牡蠣が最もおいしく食べられる3月。加熱する時は、片栗粉をまぶしてから味わってみてはいかがでしょうか。

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