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ダンゴムシは昆虫じゃなく、甲殻類!?

2022/03/07 12:02 ウェザーニュース

家のまわりでよく目にすることができ、軽くつついて驚かせてもかみついたり逃げたりせず、じっと丸まる姿が愛らしいと、子どもに人気のダンゴムシ。名前に「ムシ」が付きますが、実は昆虫ではない生き物なんです。

春が近づくと動きが活発になり、さらに身近に接することができるようになるダンゴムシの知られざる生態や「ひみつ」について、栃木県立博物館学芸部自然課主任研究員の南谷幸雄(みなみや・ゆきお)さんに解説して頂きました。

エビやカニなどと同じ「甲殻類」

ダンゴムシの脚をよく見ると、昆虫のように6本ではなく、左右7対・14本です。昆虫でないなら、ダンゴムシはどんな生き物の“仲間”といえるのでしょうか。

「ダンゴムシは『甲殻類(こうかくるい)』といって、エビやカニ、ヤドカリなどと同じグループに含まれます。さらに細かい分け方だと『等脚目(とうきゃくもく)』で、ワラジムシやフナムシ、近頃人気のオオグソクムシなどがより近い仲間にあたります。

市街地の公園などでよく目にするのはオカダンゴムシですが、実はヨーロッパ原産の外来種です」(南谷さん)

ダンゴムシは冬場に見つけたとき、じっと丸まっていて、冬眠しているように見えますが。

「寒い時季のダンゴムシが丸まって動かないのは、哺乳類のクマなどの冬眠とは違って、基礎代謝を低下させたり生理活性化を抑えたりしているわけではありません。寒いからじっとしているだけで、冬場でも暖かい日には動き出します。

活動がより活発になるのは、一般的に気温が15℃を超える頃といいますので、もう少し先になります」(南谷さん)

オスとメスを見分けるには?

これから見かける機会も次第に増え始めるダンゴムシ。オスとメスを簡単に見分ける方法があるそうです。

「ぱっと見たときに、背中が黒っぽいのがオスで、黄色いまだらがあるのがメスです。腹の部分をよく見ると、オスには2本の生殖器の筋が張り出していますが、メスにはなく“つるん”としています」(南谷さん)

ダンゴムシは、やはり目にする機会が多いワラジムシともよく似ています。

「軽くつついたときに丸まるのがダンゴムシ、丸まらないのがワラジムシと判別してください。ダンゴムシとワラジムシは動物でいえばクジラとシャチ、鳥ならタカとワシくらいに“近い仲間”といえます」(南谷さん)

もうすぐダンゴムシが活発に動き出す時季がやってきます。ダンゴムシ観察のポイントは、昆虫との違い、市街地や森の中などどこでどんな暮らしをしているのかを知ることだそうです。

ダンゴムシの姿を見つけたらじっくり観察してみてはいかがでしょうか。
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参考資料など

取材協力:栃木県立博物館(宇都宮市睦町2-2)
※8月21日まで、テーマ展「ダンゴムシ」が開催されています