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コロナ禍のマスク生活やストレスで急増? 顎関節症の原因と対処法

2022/02/25 09:53 ウェザーニュース

新型コロナウイルスオミクロン株のまん延による感染症が衰えをみせず、ストレスの多い生活が続いている状況です。また、マスクの着用はもはや生活習慣のひとつとなっています。これから本格的に花粉症シーズンに入ると、ますますマスクが手放せなくなります。

こうしたコロナ禍のストレスやマスク着用が原因となって増えているとみられるのが顎(がく)関節症です。口が開きにくくなったりあごが痛くなったりなどの症状が生じるといいます。

顎関節症の原因や対処法などについて、恵比寿一丁目 小島デンタルクリニック(東京都渋谷区)の小島将太郎院長に伺いました。

顎関節症の症状とは?

あごには筋肉・関節・神経が集中し、複雑に入り組んだ形で食事や会話などの複雑な機能を支えています。顎関節症はあごの関節や周囲の筋肉などが何らかの原因により、動きにくくなったり痛んだりする症状のことをいいます。

顎関節症の代表的な症状として、次のような状態が挙げられます。

・口が開けにくくなったり開閉がスムーズにできなくなったりする
・口が左右にうまく動かなくなる
・口を開閉した時に顎関節が「カキン、コキン」と音を立てる
・食事の際にあごにだるさを感じる
・食べ物を噛んだ時に違和感があったり顎関節に痛みを感じたりする

「顎関節症の症状は多岐にわたっていて、症状の重い軽いに個人差が大きいことが特徴です。これらの症状がひとつでも現れた時には、顎関節症の可能性があります。

症状はよくなったり悪くなったりを繰り返しますが、重い症状を放置したままだと、あごの機能が完全に破壊されてしまう可能性もありますので、注意が必要です。

顎関節症の一般的な原因としては、クレンチング(食いしばり)、TCH(上下の歯を持続的に接触させる癖)、歯ぎしりなどが挙げられます。また、上下の歯の噛み合わせの異常や、左右どちらか一方ばかりで噛むことも顎関節症を誘発します」(小島院長)

無意識にしている仕草が原因に?

コロナ禍が続くことによるストレスやマスク着用なども、顎関節症多発化につながっているようです。

「顎関節症の主原因である食いしばりや歯ぎしりなどは、ストレスが原因になっていることが多いのです。また、テレワークの普及によってPCやスマホ画面に集中する機会が増えました。一般的に何かに集中するときは無意識のうちに奥歯に力が入って、あごの筋肉が緊張しやすくなるので、顎関節症を誘発しやすい環境になったといえます」(小島院長)

さらに、マスク生活では口を大きく開く動きが減りがちですが、それも悪影響を及ぼしているそうです。

「口を動かす機会が減ると、顎関節症の初期症状である口の開きにくさやあごの痛みなどの違和感を感じにくくなり、重症化して初めて気づいたというケースが増えています」(小島院長)

予防のためのセルフケア方法

顎関節症の予防には、日頃からの生活習慣にも注意が必要です。

「まず、正しい姿勢を保持するのが基本です。テレワーク時のこたつでのパソコン作業といった同じ姿勢を長時間続けることは避け、時々ストレッチをして心身をリラックスさせましょう。

猫背気味の人は意識して姿勢を正しく、首を無理に引っ張ったり頬づえをついたりもしないように。うつ伏せ寝も厳禁です。低い枕でのあおむけ寝を心がけてください」(小島院長)

さらに、マスク生活で口を動かす機会が減っているので、意識的にあごの筋肉を動かすマッサージなどもオススメだと言います。

「あごの付け根の筋肉である咬筋(こうきん)や、こめかみ付近にある側頭筋をマッサージで、筋肉の血流を良くしてあげると良いでしょう。どちらも1日2回、10秒ほどでかまいません。

また、口を大きく開けるストレッチも効果的です。口を大きく5秒開けたら閉じるというストレッチを1日5回ほどやってみましょう。筋肉をほぐして、あごの緊張を取ることで予防につながります。ただし、開口時に痛みや違和感がある場合は控えてください」(小島院長)

顎関節症にはあごの周辺だけでなく、頭や肩、背中の痛み、めまいや耳鳴り、目の疲れや涙が出るなどの副症状が現れることもあります。すべてが顎関節症によるものとは限りませんが、あごに違和感をおぼえたり痛みを感じたりしたときは、早めに歯科・口腔外科の専門医の診断を受けるようにしましょう。

マスクの着用は、新型コロナウイルスはもちろん、インフルエンザや花粉症対策にも今後も必須の状況です。顎関節症にも注意を払いながら、安全で快適な生活を続けていきましょう。
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