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「ツル割れ」「さび果」は食べても大丈夫? “訳ありりんご”の秘密

2022/02/12 20:45 ウェザーニュース

大きくて丸々とした立派なりんごが並ぶ時季です。ツヤツヤして色のよいりんごは、とてもおいしそうに見えます。

しかし、時々“訳あり品”としてお手軽な価格で売られているものも見かけます。例えば、ツルのつけ根に亀裂が入っているものや、皮の一部が茶色くなってカサカサしているように見えるものがあります。

ウェザーニュースでは、こうした“訳ありりんご”を普段買うか、アンケート調査したところ、「買う」が71%で「買わない」が29%という結果でした。
地域別では、りんごの産地が多い東北で「買う」割合が79%と他のどの地域よりも多くなっています。回答した方のコメントからは、「見た目は悪いかもしれないけど味は変わらないから」という内容が目立ちます。

実際に“訳ありりんご”は普通のりんごと味の違いはあるのでしょうか。青森県りんご対策協議会の里村桃子さんに伺いました。

「ツル割れ」りんごは健康優良児

代表的な“訳ありりんご”として、「ツル割れ」があります。どうしてこのような状態になるのでしょうか。

「りんごのツルのつけ根に亀裂が入る現象をいいますが、花の開花時期の気温、実が成長する時期である夏の雨量などが関係しているといわれています。

さらに、果肉部分の成長に表皮が追い付かず亀裂が入ってしまう、ということも原因になります。いわば、体の成長が早いあまり、服のサイズが小さくなって無理に着たら、裂けてしまった健康優良児のような感じです。ただ、皮に亀裂がはいっているため“訳あり品”となってしまいます」(里村さん)

「さび果」はりんごの凍傷

皮の一部が茶色く変色してしまう「さび果」と呼ばれる現象もあります。こちらも主に気象が原因で発生するといいます。

「りんごの皮の一部が茶色っぽくなって、カサカサしている部分を通称“さび”といい、この“さび”が入ったりんごを『さび果』といいます。

“さび”ができる原因はさまざまですが、多くは春先の遅霜(おそじも)によるものです。いま出回っているりんごが実をつけた令和3年は、日本各地のりんごの主産地でこの霜害が発生しました。そのため、『さび果』が例年より多くなっています。見た目が美しくないため、“訳あり品”として通常よりもお手頃価格で売られることが多くなります」(里村さん)

味は変わらないお買い得品

「ツル割れ」も「さび果」も敬遠されることが多いようですが、実際に味はどうなのでしょうか。

「見た目がイマイチなためにお手頃価格になるのは仕方がないことですが、味は普通のりんごに比べても少しも劣りません。

ただし、『ツル割れ』りんごは、ツルの根元を切る取る際には、亀裂の部分も取り除くように少し余分にカットすることをおすすめします。また、皮に亀裂が入っている分、普通のものより全般的に日持ちしない傾向があるので、早めに食べるのがコツです。

『さび果』の“さび”は皮だけに出る現象なので、皮をむけばまったく普通のりんごと変わりません。『ツル割れ』『さび果』のお買い得品を見つけたら、ぜひ買ってみてください」(里村さん)

こうした現象は、品種によっても出やすいものがあるそうです。「ツル割れ」が出やすいのは、「サンふじ」など、「さび果」が出やすいのは「つがる」「王林」「紅玉」などだそうです。もともと品種によって果皮が肌荒れしやすく、“さび”がスタンダードとして扱われるものもあります。

遅霜や雨量などの影響で見た目がイマイチになってしまったりんご。亀裂やさびは自然に抗って頑張った証です。味は変わらないので安心して、頑張ったりんごを買い求めてください。
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