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重いと軽いどっちが良い? 快眠を促す掛け布団選びのポイント

2022/01/26 06:01 ウェザーニュース

この季節は、なかなか熟睡できないという声をよく聞きます。「手足が冷えて、布団に入っても寝付けない」「夜中に手洗いに起きると、寒さで中途覚醒してしまう」など、冬ならではの睡眠の悩みがあるようです。

そこで『毎朝、目覚めるのが楽しみになる 大人女子のための睡眠パーフェクトブック』(大和書房)の著者で睡眠コンサルタントの友野なお先生に、快眠を促すポイントを伺いました。

快眠のためには「寝床内気候」が大切

快眠のためには「寝床内気候」を整える必要がある、と友野先生は語ります。

「『寝床内気候』とは、布団の中の温度や湿度のことです。眠るときに私たちのもっとも身近にある気候が快適でないと、快眠を得ることはできません」(友野先生)

布団に入ったらすぐに深い眠りに入り、朝はスッキリ目覚めるためには、寝床内をどんな気候に保てば良いのでしょうか。

「布団の中の温度は、33℃前後が最適です。体温より少し低めなので、体から出る放射熱が布団に移り、眠りやすい状態になります。布団の中が寒すぎても暖かすぎても、熟睡の妨げになるのです。

布団の中の湿度は、50%前後を保つようにしてください。睡眠中にかく汗の量は『コップ一杯』と言われるほど多いのです。これがそのまま布団に移ると、湿気が多すぎて寝苦しくなります。一方、エアコンやストーブで暖房した冬の室内は、湿度が低すぎます。布団の中は、多すぎず少なすぎない湿気を保たなければなりません」(友野先生)

最適な「寝床内気候」をつくる掛け布団は?

快眠に最適な温度と湿度を保つには、掛け布団選びが大切になります。友野先生はどんな掛け布団を推奨しているのでしょうか。

「保温性や吸放湿性はもちろんですが、その他に最適な『寝床内気候』をつくる掛け布団の条件は、『軽い』『柔らかい』『ドレープ性がある(体のラインにフィットする)』の3点です。これらの条件がそろえば、体と掛け布団の隙間が少なくなり、『寝床内気候』を良好に保てるようになります。

具体的にいえば、羽毛布団が最適でしょう。羽毛には優れた温度調節機能や吸放湿性があり、多くはキルティング加工されているので抜群のフィット感が得られます。

1年中使えますが、夏は羽毛の量が少なめのもの、冬は羽毛の量が多めのもの、と使い分ければ理想的です。体に良く馴染み、首元から肩にかけてもしっかりカバーしてくれます」(友野先生)

もう一つのキーワードは「寝返り」

「寝床内気候」と並ぶ、掛け布団選びのもう一つのキーワードは「寝返り」です。

「私たちは、一晩平均20~30回は寝返りを打ちます。寝返りは眠りが浅いから行うのではなく、就寝中の体を健康に保ち、質のいい睡眠を確保するために行うのです。

血液や体液の循環を促し、特定の箇所に重力がかかることを防ぎ、寝床内の温度調節を行うためには、寝返りが欠かせません。睡眠中に寝返りをちゃんと打つためには、『寝返り力』を高める掛け布団を選ぶ必要があります。

中身の素材がダウン80%以上の羽毛掛け布団を選ぶと理想的です。冬は寒いからと必要以上に掛け布団を重ねる人がいますが、重いと寝返りが打てず、熱がこもって寝苦しくなります。重ねるなら、羽毛の掛け布団の上に毛布を1枚乗せてください」(友野先生)

掛け布団は重いのと軽いの、どっちが正解?

掛け布団は羽毛がベストという友野先生ですが、冬でも掛け布団は軽い方が良いのでしょうか?

「そのとおりです。掛け布団が重いと寝返りが打ちにくく、睡眠中に手足への血流が滞り、血圧が高くなって快眠が妨げられます。人によっては重みが邪魔になり、夜中に呼吸しづらくなることもあります。

また、重くて固い掛け布団は体のラインにフィットしにくいので、肩口に隙間ができてしまいます。ただでさえ就寝中は体温が下がるので、肩口から入る室内の寒い空気で『寝床内気候』を乱すことは避けなければなりません。掛け布団は、冬でも軽いものを選ぶのが正解です」(友野先生)

羽毛以外の素材では、軽くて保温性や吸湿性の良いオーガニックコットンの薄めのものを何枚か用意し、冬は重ねて掛けるのもお勧めだそうです。

「冬は熟睡できない」という人は、掛け布団を見直してみてはいかがでしょうか。

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