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ペットボトルや鏡が原因? 収れん火災に注意

2022/01/24 06:05 ウェザーニュース

冬型の気圧配置によって太平洋側では特に空気の乾燥した日が続いています。火災への十分な備えが必要とされる中、近年「収れん火災」の発生件数が増え、総務省消防庁や東京消防庁、各地域の消防署などでは注意を呼び掛けています。

冬場に発生しやすいとされる収れん火災とはどのようなものなのか、どのように予防すればいいのかなどについてまとめてみました。

太陽光が一点に集まり熱が蓄積

「収れん」とは「光を一点に集める」という意味の言葉で、小学校の理科の実験のときに経験した、“虫めがねで太陽光を一点に集めたら新聞紙が焦げた”という現象がその一例です。また、太陽光が凹(おう)面鏡に当たり反射して一点に集まるのも収れん現象のひとつです。

この収れん現象によって起きる火災を、「収れん火災」と呼んでいます。

太陽光は自然エネルギーのひとつとして活用され、家庭1戸分の電力を十分にまかなえるほどのパワーをもっています。太陽光が収れん現象を引き起こすと、火災を引き起こす大きな原因になるのです。

冬場に収れん火災が起きやすい理由は、太陽の高度が低くなって太陽光が部屋の奥まで差し込むようになるからです。もちろん日差しが強くなる夏場にも発生する可能性があります。

東京消防庁管内では、2006年から2015年までの10年間に、収れん火災は44件で、出火時間帯は10時台から15時台が多く、日が傾いている10時台と日差しの強い13時台がそれぞれ6件と、最も多く発生しているそうです。

車のホイールが原因の発火も

収れん火災は、太陽光が何かの物体によって反射、屈折して一点に集まった場所に可燃物があったとき、熱が蓄積して発火に至った場合に生じます。凹面鏡などによって反射光が集まったケースと、虫めがねのような凸(とつ)レンズなどによって透過光が屈折して集まったケース、2つの原因があります。
収れん火災のイメージ
消費者庁に報告された収れん火災の実例として、次のようなケースがありました。

▼バルコニーに鳥よけの鏡を3か所に付けていて、そこに干してあった下着が燃えて隣に干していたランチョンマットも焦げていた。
▼隣に駐車していた車のホイールがメタリックだったために反射を受け、自分の車のタイヤが燃えてパンクした。
▼車の窓に取り付けていた「シルバーマーク」の吸盤が透明で光を集め、後部座席のシートカバーが燃えた。
▼木製ベンチの上に置いていたガラス玉が収れん現象を起こしてベンチが燃えた。

鏡やレンズ、ペットボトルも要注意

収れん現象を引き起こす物体は、鏡やルーペなどレンズ状のものばかりではありません。ガラス玉や風水ボール(水晶玉)、スノードームといった透明球や置時計、照明器具、除菌剤など多岐にわたります。

そのほか、ステンレスボウルやガラス瓶、ステンレス製のごみ箱や金魚鉢など、家庭内に普通に置かれているものも発火源となっていました。

「猫よけ」のために庭先や路上などに置かれた、水を入れたペットボトルも要注意です。ミネラルウォーターが入ったままのペットボトルを自動車の車内に放置して、収れん火災に至った例も報告されています。

収れん火災は太陽の位置や気象条件、物体の向きや可燃物の位置などの条件がすべて重なったとき、思いもよらないカタチで発生してしまいます。

収れん火災を防ぐには?

収れん火災を防ぐために、室内の太陽光が差し込む場所には凹面鏡やルーペなどのほか、レンズの役割を果たす可能性がある球体などを置かないよう、注意が必要です。

また、昼間に長時間外出する場合は必ずカーテンを閉めるようにするなど、太陽光を直接室内に入れないことも大切です。カーテンの隙間から太陽光が差し込むこともありますので、鏡などには使用時以外、布を被せておきましょう。

さらに室外では、建物や可燃物の近くにペットボトルや光を反射するホイールキャップなどを置かないよう、注意してください。

特に空気が乾燥する冬場は、いったん可燃物が発火すると、火元が小さくても一気に燃え広がる危険性が高まります。家の内外にある収れん火災の原因になりそうなものなどの置き場所に気を配り、火災の予防に努めましょう。

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参考資料など

東京消防庁「収れん火災にご注意を!」、消費者庁「鏡やガラス玉で起こる収れん火災に注意!」、尾三消防組合「収れん火災に注意」