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火山噴火の気圧の影響? 急な体調不良の報告も

2022/01/21 14:46 ウェザーニュース

トンガで火山の噴火があった15日(土)の夜に、全国で一時的な気圧変化がありました。ウェザーニュースでは、15、16日に体調の変化があったかどうかをユーザーに聞き取り調査を行いました。

その結果、気圧や天候の変化で、15日と16日の2日間にかけて合わせて約2割の方が急な体調変化やが何らかの影響を感じたと回答がありました。
(調査期間:1月17日夜~1月18日夜、人数:6887人)

15日(土)夜に気圧が大きく変化

ウェザーニュースが独自に全国3000箇所に設置している観測機、ソラテナによる15日(土)夜の気圧変化を見ると、一旦は気圧の上昇(赤色の表示)が起きた後、すぐに気圧の下降(青色の表示)が起こり、同心円状に伝搬している様子が現れています。概ね2hPa程度の変化です。
※ページ内で動画が再生が出来ない場合は、ウェザーニュースのアプリやWebサイトの「お天気ニュースCh.」からご覧ください。

これは衝撃波に特有の加圧(気圧上昇)→減圧(気圧下降)を捉えていると推定されます。
[関連]トンガでの火山噴火による衝撃波か 日本各地で急激な気圧変化

大きな気圧変化の前後で急な体調変化も

この大きな気圧変化やその後の海面変動なども続いたため、地域に大きな偏りなく、体調に変化を感じたという報告がありました。

女性の方が影響大きく、年代にも違い

男女比で詳しく見ると、女性のうち35%、男性が14%と比率が大きく異なり、女性の方が多い結果となりました。

年代別に見ると女性は年代を重ねるごとに影響があり、30代は約30%、40代~50代では、40%近い数字となっています。

一方で、男性は若い年代の方が影響があるようですが、女性に比べると大きく差異のないことが分かります。
[関連]【天気痛調査2020】

症状は「頭痛」や「耳鳴り」など

今回痛みを感じた症状や部位については「頭痛」という答えが多くなっています。

「耳鳴り」というコメントも多くありました。一瞬ですが、急な気圧変化により、トンネルの中に新幹線で入るような急な変化があったそうです。

天気痛は内耳とも大きく関係しているとも言われ、気圧センサーや自律神経が乱れることに影響があったと考えられます。

また、首や肩、腰や古傷だけでなく、「身体のだるさ」を感じられた方もいたようです。

気圧センサーは内耳が関与

ウェザーニューズ気象病顧問アドバイザーで愛知医科大学客員教授・中部大学教授の佐藤純先生に詳しい解説をいただきました。

「天気の影響を受ける疾患の代表は片頭痛ですが、このなかで、発作の前兆として、あるいは頭痛とともに耳の症状が現れる人が一定数います。

このような病態を『前庭性片頭痛』といい、メカニズムに内耳が関与しています。

『前庭性片頭痛』の人は天気の影響を受けやすい傾向があって、気圧が変化すると頭痛が出現するだけでなく耳の症状(耳鳴,耳閉感,めまい,浮遊感など)を訴えます。また、発作の程度が軽い場合は、頭痛が出現せずに耳の症状のみ現れる場合もあります。

さらに、特徴として、新幹線や飛行機、エレベータのように人工的に急激な気圧変化をおこす乗り物に乗ると、頭痛は出なくても耳の症状(めまい、耳鳴り、耳閉感)が出る人が多いようです。

今回の気圧変化は短時間にそこそこの気圧変化が起こっているので、人工的な変化に対する反応と同様の症状が現れたのではないかと推論されます。また、頭痛はなくて内耳が敏感な方(メニエール病など)もいますので、これらの方も、今回の気圧変化に反応した可能性も高いと思われます。」

急な天気痛に対して日頃の準備を

気圧や湿度・気温などの変化に影響されて起こる不調や痛みを「天気痛」と呼んでいます。影響を受けた時間帯が様々で、またその日の体調などによっても感じ方が異なるため直接的な因果関係についてはわかりませんが、気圧の大きな変化によって急な体調変化に悩まされた人もいらっしゃると思います。

日頃からご自身の体調変化などのパターンを知り、さらに予報をチェックすることで、対策を早めに行い、症状を軽くすることができます。