空振で津波が起こるメカニズム
東北大学災害科学国際研究所の今村文彦教授によると、トンガで発生した大規模な火山の噴火に伴う気圧の変化が、日本を含む環太平洋各地での津波を大きくした可能性があるとのことです。
火山が爆発を起こすと「空振」と呼ばれる空気の振動(衝撃波)が発生することがあり、日本でも桜島の周辺などで窓ガラスが揺れることがよくあります。今回、トンガの火山島フンガトンガ・フンガハアパイで15日(土)に発生した噴火は、過去1000年間の地球上で最大級とも推定されていて、非常に大規模な空振が発生した可能性があります。
空振の進む最前面では圧力が高まり、海面は大気によって押し下げられます。最前面が通過した後は元に戻る反動で海面が上昇し、津波が形成されるといいます。
空振は海中を進む津波に比べて高速なので到達が早く、また後続の津波は長い距離を進む過程で重なり合い、大きくなった可能性があるとのことです。
火山が爆発を起こすと「空振」と呼ばれる空気の振動(衝撃波)が発生することがあり、日本でも桜島の周辺などで窓ガラスが揺れることがよくあります。今回、トンガの火山島フンガトンガ・フンガハアパイで15日(土)に発生した噴火は、過去1000年間の地球上で最大級とも推定されていて、非常に大規模な空振が発生した可能性があります。
空振の進む最前面では圧力が高まり、海面は大気によって押し下げられます。最前面が通過した後は元に戻る反動で海面が上昇し、津波が形成されるといいます。
空振は海中を進む津波に比べて高速なので到達が早く、また後続の津波は長い距離を進む過程で重なり合い、大きくなった可能性があるとのことです。
「通常の津波」と違うとみられる理由は
今回の津波には、海中を伝わる通常の津波にはみられない特徴がいくつかありました。
ひとつは到達の早さです。日本へは、通常の津波による到達予想時刻よりも3時間程度早く到達し始めていました。
また、海面の昇降の時間間隔も特徴的でした。通常、遠い外国からやってくる津波は、20分から1時間程度の周期でゆっくりと大きく昇降を繰り返します。今回の津波では数分から10分程度という短い周期で昇降を繰り返していて、遠地津波ではみられない特徴でした。
さらに、通常の津波が日本に向かう途中で通過する、ミクロネシアなどでの津波の観測値がかなり小さかったことも特徴でした。
これらの理由から今村教授は、海底地形の変化や山体崩壊の衝撃などで発生し、海中を伝わる津波とは考えにくいと指摘しています。
ひとつは到達の早さです。日本へは、通常の津波による到達予想時刻よりも3時間程度早く到達し始めていました。
また、海面の昇降の時間間隔も特徴的でした。通常、遠い外国からやってくる津波は、20分から1時間程度の周期でゆっくりと大きく昇降を繰り返します。今回の津波では数分から10分程度という短い周期で昇降を繰り返していて、遠地津波ではみられない特徴でした。
さらに、通常の津波が日本に向かう途中で通過する、ミクロネシアなどでの津波の観測値がかなり小さかったことも特徴でした。
これらの理由から今村教授は、海底地形の変化や山体崩壊の衝撃などで発生し、海中を伝わる津波とは考えにくいと指摘しています。
日本の南東側から気圧が変化
空振の最前面の通過に伴うとみられる顕著な気圧変化は、ウェザーニュースの独自観測機「ソラテナ」でも観測されていました。
全国約3000箇所に設置してあるソラテナの気圧変化を見ると、15日(土)20時台から21時台にかけて、関東や伊豆諸島など日本列島の南東側から同心円状に気圧の急上昇を示す赤色のマーカーが通過し、その後すぐに気圧の急降下を示す青色のマーカーが通過する様子がわかります。気圧変化の幅はおおむね2hPa程度と、低気圧や高気圧のような大きな変化ではないものの、30分程度の短時間に変化が起こっていたことが特徴的でした。
この気圧の急上昇の直後から、日本の沿岸では海面変動が観測され始めたため、今村教授の説との対応が大変良好です。
まだ噴火の全容も明かされておらず、今後の火山活動も不透明なため、このようなイレギュラーな津波が再び発生することも否定できません。
昨夜のように、津波が観測され始めてから気象庁が津波警報が発表するまでに3時間以上の時間がかかるようなケースもあるため、自分の身を自分で守るための情報入手を心がけるようにしてください。ウェザーニュースがTwitter等で発信している情報等もご活用ください。
参考資料など
解説画像監修:東北大学災害科学国際研究所 今村文彦教授