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乾燥するこの時期は加湿器肺炎に注意 原因や対処法は?

2022/01/19 10:12 ウェザーニュース

冬型の気圧配置が強まると太平洋側では空気の乾燥が心配となります。また、日本海側でも大雪に加えて気温の低い日が続いており、暖房の使用によって室内は乾燥しがちです。どの家庭でも部屋の湿度を保つための加湿器は、いまや必需品となっています。

ところが、使用法によっては「加湿器肺炎」を引き起こすことがあるといいます。原因や対処法などについて、横浜鶴見リハビリテーション病院(横浜市鶴見区)の吉田勝明院長にお尋ねしました。

菌によるアレルギー反応が原因

「加湿器肺炎は加湿器の中に発育したカビや、場合によってはレジオネラ菌などを吸い込むことで起こります。カビ自体は病原性が弱く肺に直接炎症を起こさせることはありませんが、肺や気管支がカビによるアレルギー反応を起こすことが加湿器肺炎の原因となっています。

専門的には、加湿器肺炎は過敏性肺臓炎というアレルギー性肺炎の一種なので、通常の肺炎の治療薬である抗菌薬(抗生物質)は効果がありません。症状は発熱、せき、息苦しさなど通常の肺炎と同じです。重症の場合には呼吸状態が悪化して、入院が必要になるケースもあります」(吉田院長)

症状が通常の肺炎と変わらない加湿器肺炎を、医師はどのようにして見極め、治療にあたるのでしょうか。また、予防はどのようにすればいいのでしょうか。

「加湿器肺炎の診断は確かに難しく、患者さんからの聞き取りにより、加湿器を使うと具合が悪くなる、抗生物質で治療しても効かなかったなどの情報が手がかりになります。加湿器肺炎が疑われた場合、入院などで加湿器のカビから隔離させれば症状が良くなるか、環境誘発試験といって再度同じ加湿器を使用して症状が出るかなどで診断します。

専門的には血液検査で白血球分画の中の好酸球(アレルギーや寄生虫疾患で上昇する)が増えてくることなども参考にします。

軽症の例では加湿器の使用をやめれば、加湿器肺炎は自然に改善します。重症の場合にはステロイドでアレルギー反応を抑える場合もあります」(吉田院長)

特に注意が必要な加湿器は?

加湿器肺炎に注意が必要な人、ケースはあるのでしょうか。また、予防はどのようにすればいいのでしょうか。

「高齢者や新生児、持病などによって抵抗力は弱っている人は、要注意です。汚れた水を使った加湿器が原因でレジオネラ肺炎を起こして死亡した60歳代の男性や、複数の病院で新生児室の給湯設備の湯や加湿器などから放出されたレジオネラ属菌により、新生児が肺炎や気管支炎の集団感染を起こした事例が報告されています。

加湿器を利用することには、何ら問題はありません。むしろ、適切な湿度を保つことは必要なことです。ただし、水道水にレジオネラや非結核性抗酸菌などが混入していたり、管理が悪いタンクの水には緑膿菌が繁殖したりしていることがあります。水を沸騰させて蒸気を作るスチームファン式やスチーム式の加湿器では、カビや細菌が空気中に散布される心配はほぼありません。

しかし、超音波式や気化式加湿器では、タンクの水がそのままエアロゾル(微粒子)となって室内の空気中を漂うことになります。水は毎日交換し、タンクの内側も洗浄する習慣を守ってください」(吉田院長)

抵抗力が正常な人は、どのタイプでも加湿器が原因で肺炎を引き起こすことはないそうです。それでも不適切な管理の加湿器は、抵抗力の弱い人に重篤な感染症を引き起こす病原体の感染源となります。加湿器の日々の清掃、メンテナンスに注意を払って厳しい冬を乗り切りましょう。
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