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関東で4年ぶりの大雪 隠れた局地低気圧の発達が鍵に

2022/01/07 21:44 ウェザーニュース

昨日1月6日(木)は関東南部を中心に雪が降り、東京都心の積雪深(積もった雪の厚み)は最大10cmに達し、4年ぶりの大雪となりました。

今回の大雪は、南岸低気圧に加えて、もう一つの隠れた小さな低気圧の発達が鍵だったと考えられます。

関東の沖合に小さな低気圧が発生

気象庁の天気図
東京などで雪が強まっていた昨日15時の気象庁の天気図をみると、南岸低気圧は紀伊半島の南のかなり離れた沖合を進んでいました。

南岸低気圧型といわれる気圧配置の際には、陸地からどの程度低気圧が離れて通るかによって天気が変わり、近いと雨に、中程度だと雪に、遠いと曇りになるという傾向があります。
» 参考 南岸低気圧とは
南岸低気圧の進路と影響
低気圧のコースだけで見た場合、沖合をかなり離れて通っていたため、関東で大雪になるパターンではありません。

ただ昨日は、朝の時点で静岡~関東のすぐ沖合に、向きの違う風がぶつかり合う「シアーライン」が形成され、周辺で雲が発達しはじめました。この影響で、関東南部の早い所では9時頃から雪が降り出しました。

上空の気圧の谷が近づいた午後は、シアーライン付近で局地低気圧が発生し、首都圏の広範囲に活発な雪雲が広がってきました。海上からの湿った空気の影響もあり雪雲が発達し、断続的に強い雪が降りました。(記事トップの画像を参照。6日15時の上空の寒気、風、降水と低気圧の位置を示す。)

このシアーライン・局地低気圧の存在は予測通りではあったものの、発達の程度が当初の予測よりも強かったことや、発生のタイミングが早かったことが、後述する積雪の増加に繋がったと考えられます。

想定以上の降水により気温が低下 積雪増加に影響か

関東付近は上空1500m付近で-3℃以下という、雪を降らせるには十分な強さの寒気に覆われ続けました。

また、雪や雨が降ってくると、その水分が蒸発するときに周囲の熱を奪う働きをするため、地上付近の気温が下がることに繋がります。このため、東京都心など広い範囲で気温が0℃前後の寒さになり、積雪がなかなか融けない状況となりました。

つまり、想定以上の降水があったことが、積雪の増加という結果をもたらしたといえそうです。

関東の雪は予測の難しい現象

上空に強い寒気が流れ込んでいることも想定通りであったため、降水があれば雨ではなく雪になる可能性は高い状況でした。しかし、シアーラインやそこから発生する局地低気圧の振る舞いは予測が難しい現象です。

ウェザーニュースではアプリ利用者からの天気や積雪などの報告を参考に予測の向上に努めています。今回の大雪についても、解析を進めている所です。
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