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道路脇の凍結防止剤(融雪剤) 使用の注意点は

2021/12/26 17:25 ウェザーニュース

「凍結防止剤(融雪剤)」をご存知ですか? 雪を溶かすために用いられるその正体は、主に「塩化カルシウム」や「塩化ナトリウム」などの塩化物系です。気象状況を考慮して道路管理者が専用の散布車で散布し、路面の凍結に備えます。

降雪地帯では必須アイテム

路面の凍結を防いでくれる凍結防止剤
降雪地帯ではよく坂道や道路端に袋詰めされた凍結防止剤が置かれているので、目にした人は多いと思います。ウェザーニュースで凍結防止剤についてアンケート調査を実施したところ、やはり地域性が顕著に出ました。

関東や四国・九州・沖縄エリアでは見たことがない人も20%以上いるのに対し、北海道や東北・北陸・甲信エリアではほとんどの人が凍結防止剤の存在を知っていました。北海道では2人に1人は実際に使ったこともあるようです。

即効性に優れた塩化カルシウム

白い粒状の塩化カルシウムは略して「塩カル」と呼ばれ、積雪量の多い地域にとっては、冬の必須アイテム。融雪(氷)効果に優れ、即効性があるため、凍結しやすい橋のたもとや急な坂道などに設置されています。またホームセンターなどでも袋入りで売られていて、自宅周辺の融雪に使う人もいます。

塩化カルシウムを取り扱う大手製造販売会社によると、「塩化カルシウムは、ガラスや粉末洗剤の原料となるソーダ灰を製造する際にできる副産物です。カルシウムと塩素の化合物で、水に溶けやすく、多量の溶解熱を発生し、水の凍結温度を下げます。1m2あたり50~200gが散布の基準ですが、気温や氷雪の厚み、道路状況などによって散布量の加減が必要です」と話しています。

安価な塩化ナトリウム

一方の塩化ナトリウム(原塩)は、安価で持続性に優れ、凍結防止効果が高いため、1m2あたり20gを散布基準とし、高速道路や一般道路に用いられています。国土交通省国土技術製作総合研究所の調査によると、凍結防止剤の全使用量の約70%は塩化ナトリウムです。

自分で撒いても良い?注意点は

基本的には凍結が予想される場合などに道路管理者が散布するものですが、必要な状況があれば、誰でも散布することができるのです。

塩化カルシウムは直接素手で触れないように注意してください。

また、交通安全確保のために必要不可欠な凍結防止剤ですが、そこを走る自動車には悪影響もあります。金属類に錆をもたらす可能性があるため、雪道を走行した車は小まめに洗車を行うようにしてください。
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参考資料など

国土交通省国土技術製作総合研究所資料 No.412 July 2007 凍結防止剤散布と沿道環境