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乾燥する時期に注目! 唾液のパワーと分泌を促す4つのポイント

2021/11/17 09:26 ウェザーニュース

全国的にさわやかな秋晴れが続いていますが、同時に気温と湿度の低下も進み、肌や口腔(こうくう=口の中)の乾燥が気になる時季にもなってきました。とくにこの秋は新型コロナウイルス感染症予防のためのマスク着用が定着したこともあって、口腔の乾燥がより進みがちです。

口腔の乾燥を防ぐのに大きな役割を果たしているのが、唾液(だえき)です。恵比寿一丁目 小島デンタルクリニック(東京都渋谷区)の小島将太郎院長によると、唾液はさらに健康の維持・増進に役立つ、驚異ともいえる“パワー”を秘めているそうです。

唾液のもつパワーとはどのようなものか。そして唾液の分泌(ぶんぴつ)を増やすにはどうしたらいいのか、小島院長に伺いました。

唾液はどこでつくられる?

唾液は体内のどこでつくられるのでしょうか。

「唾液がつくられるのは『唾液腺』と呼ばれる部位で、大唾液腺と小唾液腺があります。大半は大唾液腺から分泌され、両耳の前に『耳下腺(じかせん)』、両あごの下に『顎下腺(がっかせん)』、あごの先端部に『舌下腺(ぜっかせん)』という三大唾液腺があり、唾液はそれぞれから口腔に分泌されています。

唾液はほとんどが水分で、ほかに消化酵素やたんぱく質に加えて、傷を修復するヒスタチンなどのさまざまな物質が含まれています。乾燥によって唾液が不足すると、口内炎や嚥下(えんげ=飲み込み)障害などの原因となる『ドライマウス』を引き起こす可能性が高まるのです」(小島院長)

唾液の“健康パワー”とは

唾液は健康の維持・増進のためにどんな働きをしているのでしょうか。

「まず、歯の健康に大きな効用を示します。飲食物には歯の表面を溶かす作用をもった酸性の物質が含まれていて、虫歯のリスクを高めます。唾液には溶かされたエナメル質を再び歯に戻して修復する作用があり、これを『再石灰化』といいます。

次に、口臭の原因にもなる歯や舌に付着した食べ物のカスなどの汚れや歯垢(しこう)、さらには細菌などを洗い流す自浄作用ももっています。

さらに、唾液に含まれる酵素はでんぷん質を糖に分解する効果をもっていますので、食物の消化を助ける役割も果たしています。

その他にも、唾液に含まれている『IgA』という抗菌物質は、口腔の粘膜の保護を促したり、ウイルスなど病原体の侵入を防いでくれたりしています。

これら歯の再石灰化、自浄、消化、粘膜保護、抗菌といった作用が、唾液がもつ“健康パワー”といえるものなのです。口腔の乾燥によって唾液が失われると大切な効果が発揮されにくくなり、体の不調、ひいては病気の原因になってしまうのです」(小島院長)

唾液を増やす4つのポイント

空気が乾燥するにつれて、口腔内も乾きがちな時季になります。そこで、唾液の分泌を促進し、口腔の乾燥を防ぐための方法を4つ教えてもらいました。

(1)水分補給はこまめに


「唾液がつくられるために最も必要なのが、成分の99%を占める水分の補給です。水やミネラルウォーターをこまめに飲むようにしてください。ただしコーヒーや緑茶、ウーロン茶には利尿作用があるので、飲みすぎると口腔の乾燥を招きます」(小島院長)

(2)よく噛んで食べる


「食べ物を『噛む』動作は唾液の分泌を促進してくれます。食事を摂るときは『1口30回』を目安によく噛んで食べることを心がけてください。キシリトール入りのガムを噛んだり、だし昆布を口に含んだりすることも唾液を多くするのに効果的ですが、睡眠の前は控えましょう」(小島院長)

(3)鼻呼吸を心がける


「口呼吸を多用すると口腔の乾燥が進みやすくなります。口を閉じて、鼻での呼吸をするよう務めてください。とくにマスク着用時は口呼吸をしがちになってしまうので、意識して鼻呼吸を心がけてください」(小島院長)

(4)舌を動かす


「舌を動かすと唾液腺が刺激されて唾液の分泌が促進されます。口を閉じて舌を上下に動かしたり、出したり引っ込めたりを繰り返すだけでも十分効果があります。舌の運動に合わせて発声することも唾液の分泌を促進し、副交感神経の活発化にも効果があります」(小島院長)


これらの口腔ケアに加えて、正しいブラッシングや舌磨き、また耳下腺・顎下腺・舌下腺のあたりを指でやさしくマッサージすることでも、唾液の分泌を活発化させてくれるそうです。

乾燥しがちな秋でも、唾液のパワーをよく理解して口腔の乾燥を防ぎたいものですね。

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