石川能登の地震
収まる兆し見えず、今後も要注意
2021/11/03 11:01 ウェザーニュース
昨日2日(火)19時6分頃、石川県能登地方を震源とするマグニチュード(M)3.9の地震があり、石川県珠洲市で震度3を観測しました。
能登地方の北部では今年に入って体に感じる地震が頻発していて、地震活動が活発化しています。地震活動はしばらく続く可能性があり、注意が必要です。
今年に入って50回の有感地震
能登半島北部では、体に感じない小さな地震が2020年12月から徐々に増え始め、今年1月には最初の有感地震となるM2.8(最大震度2)の地震が発生。その後も今年の5月以降、さらに有感地震が増加し、8月には13回に達しました。
これまでで最も大きかったのは9月16日に起きたM5.1(最大震度5弱)の地震で、11月2日までの有感地震の回数は、計50回に達しています。
規模は大きくなる傾向 能登沖では過去に大きな地震
能登半島の北部では、地震の増加とともに、地震の規模そのものを示すマグニチュード(M)も大きくなっています。今年5月ころまでは大きい地震でもM3前後でしたが、6月以降はM4前後、9月にはM5.1となり、10月には最大でM4.3の地震が起きています。
現在、地震が多発している能登半島北部には、これまでに知られている活断層はありません。ただ、活断層が発見されていない状況の中でも大きな地震が起きた事例はあり、最近では2008年の岩手・宮城内陸地震(M7.2)によって死者行方不明23人などの被害が出ています。
また、今回地震が多発している能登半島北部のすぐ沖合では1993年2月にM6.6の地震が発生し、負傷者30人の被害のほか小規模ながら津波もありました。
現在の地震活動の原因はよくわかっていませんが、今後も地震活動に要注意といえます。日ごろからの備えをしっかりと行ってください。
しばしば起きる異常震域
震源が深い深発地震では地震波が伝わりやすい太平洋プレートに沿って遠方の地域に揺れが伝わる「異常震域」と呼ばれる震度分布となることがあります。
「異常震域」は大きな深発地震が起きた時、ごく普通に見られます。頻度が高い震源が浅い地震と違った震度分布であるため、「異常」という用語が使われており、現象そのものは異常ではありません。
今年に入り最大震度が3以上の深発地震は5回目です。いずれの地震でも異常震域は現れており、それほど珍しい現象ではないことはわかります。
深発地震特有の異常震域が見られる
今回の地震は震源が日本海でしたが、強く揺れたのは太平洋側がほとんどです。
震源の浅い地震では震央から同心円状に揺れの強い地域が分布することが多いものの、深発地震では地震波が伝わりやすい太平洋プレートに沿って遠方の地域に揺れが伝わる「異常震域」と呼ばれる震度分布となることがあります。
「異常震域」は大きな深発地震が起きた時、ごく普通に見られます。頻度が高い震源が浅い地震と違った震度分布であるため、「異常」という用語が使われており、現象そのものは異常ではありません。
太平洋プレートが深く沈み込んでいるオホーツク海、三重県南東沖から東海道南方沖、鳥島近海などでは同様の深発地震が発生することがしばしばあり、マグニチュード7以上の規模の地震も発生します。
2015年5月には小笠原諸島西方沖でマグニチュード8.1の地震が起きて、遠く離れた神奈川県二宮町で震度5強を観測しています。
世界:オホーツク海北部でM5.4の地震
アメリカ地質調査所の解析によるマグニチュード6以上の地震は発生していません。最も大きなものは26日(火)にサウスサンドウィッチ諸島近海で発生した地震と、30日(土)に南東インド洋海嶺付近で発生した地震のマグニチュード5.9です。
今回注目する地震は日本時間の27日(水)昼頃にロシア沿岸で発生した地震です。オホーツク海北部が震源でマグニチュードは5.4、深さは10kmと推定されています。地震の揺れは市街地がある所までほとんど到達せず、影響は出ていません。
オホーツク海は北米プレートと太平洋プレートの境界にあたる南部では地震がしばしば発生する一方で、北部では地震が少ない傾向にあります。今回のような震源が浅くマグニチュード5を超えるような地震は去年の9月以来です。
ギリシャ・クレタ島でM6.0の地震
日本時間の27日(月)の午後、ギリシャのクレタ島付近を震源とする、マグニチュード6.0、深さ約9kmの地震が発生しました。地震のメカニズムは北西ー南東方向に張力軸を持つ正断層型と解析されています。
震源が10km未満と浅く、陸域の地震だったため震央周辺では改正メルカリ震度階級のⅦ程度の揺れがあったと見られます。厳密な比較はできないものの、日本の気象庁震度階級に換算すると震度5弱程度に相当する揺れです。震央の近くでは建物の倒壊が発生し、現地当局によると亡くなった方もいるとのことです。
ギリシャ周辺はユーラシアプレートとアフリカプレートに挟まれており、その間にはアナトリアプレートと呼ばれるマイクロプレートがあるとされています。これらのプレートの運動により、幾度となく大きな地震の被害に見舞われています。
クレタ島周辺でもマグニチュード6を上回るような地震が時々発生し、最近では1994年にクレタ島北岸でマグニチュード6.1、1959年には今回と同じように島の陸域を震源とするマグニチュード6.1の地震が起きました。