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“気象情報会社考証”を通して、『おかえりモネ』に込めた想いとは?

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2021/10/28 08:13 ウェザーニュース

気象予報士・モネ(永浦百音)の成長を描いたNHK連続テレビ小説『おかえりモネ』は10月29日(金)、いよいよフィナーレを迎えます。

最終回を前に、「気象情報会社考証」を務めた株式会社ウェザーニューズ 総合演出プロデューサーの村田泰謁(むらた・ひろゆき)さんに、『おかえりモネ』に込めた思いや、ドラマ制作の裏側などについて聞きました。

気象ビジネスのサービス内容をアドバイス

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ウェザーニューズ 総合演出プロデューサーの村田泰謁さん
――『おかえりモネ』に携わるきっかけは?

「実は、最初はドラマ制作の参考にと、取材を受けただけでした。気象情報会社がどういう仕事をしているのか詳しく知りたいということだったのです。

取材を重ねる中で、こちらからの成功体験や失敗談などのエピソードに興味を持っていただき、物語にも反映していただくことになり、『気象情報会社考証』の形でご協力することになったのです」(村田さん)

――具体的な仕事内容を教えてください。

「主人公のモネが所属する気象情報会社ウェザーエキスパーツ社の気象ビジネスに関するアドバイスや、出来上がった台本チェックが主な仕事内容です。

たとえば、当社のサービスにもありますが、交通気象・スポーツ気象などの事業内容についてアドバイスをしています。

放送開始直後からモネが上京する前は、打ち合わせの頻度も少なかったのですが、モネが上京してウェザーエキスパーツ社に勤めて以降は、週に何度もやり取りをしなければならないほど、忙しくなりました(笑)。

また、気象情報会社のオフィスや人工衛星の模型など、撮影セットの製作協力にも関わっています。ウェザーニューズの超小型衛星などの独自観測インフラや、予報センターでモニタリングしている予測モデルなどを参考資料として提供しました」(村田さん)

――どのような形で物語に反映されましたか?

「例えば、物語にも登場する車いすマラソンの選手・鮫島祐希をウェザーエキスパーツ社が支援する場面では、設定や内容について、当社のスポーツ気象チームがアドバイスしました。

暑熱対策の重要性や風のデータをレースプランに取り入れる戦略など、当社がこれまで関わってきた選手やチームへのサポート経験が、ドラマ作りに取り入れられました。

また、第7週の物語では、登米(とめ)の森林内で花粉対策アプリの研究のために花粉観測機が登場しますが、これは当社が独自開発した花粉観測機を提供しました」(村田さん)

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『おかえりモネ』の撮影風景

創業からの理念が込められている

――苦労したことはありますか?

シナリオに合わせて天気や気象現象を想定していくことが難しかったです。本来の“未来を予測する”とは逆の発想だったので。例えば、第18~19週でモネの故郷・気仙沼が台風に襲われたときのエピソードでは、台風通過後でも起こりうる災害の気象現象を考える必要がありました。

こちらでも様々な現象を検討した結果、物語では台風が過ぎた後にモネの実家が竜巻のような突風に遭遇し、牡蠣棚(かきだな)に被害をもたらしました。

こうした台風や竜巻などの気象現象も、過去の記録から気圧配置や風の強さ、発生した時間などを詳細に分析し、矛盾がないよう“完璧なデータづくり”を心がけました」(村田さん)

――「気象情報会社考証」から込めた想いとは?

「多くの人は“晴れ”や“雨”などの天気マークを通して気象情報を受け取ることが多いと思いますが、一見シンプルに見えるそのマークには、『人の命を守りたい』『人の役に立ちたい』という気象従事者たちの想いが込められています。

特に大型台風や豪雨、夏の酷暑といった異常気象が頻発化している昨今、いつ起きるか分からない気象災害で命を落とす人も少なくありません。

ウェザーニューズには『いざというときに人の役に立ちたい』という創業からの理念があり、毎日の天気予報などの気象サービスは、そういった使命感をもって仕事をしている人たちによって作られています。

そうした私たちの想いを、ドラマでもうまく脚本化して下さったなと感じました。ドラマで描かれたモネや朝岡キャスターなどウェザーエキスパーツ社で働く人たちの『天気』にとことん向き合う姿勢がすごく重なって、セリフの一つひとつに、私も含めてみんなが共感していました」(村田さん)


気象に携わるたくさんの人たちの想いが込められた『おかえりモネ』のフィナーレは間もなくです。モネと気象予報士・気象情報会社の将来にも期待しながら、楽しみに待つことにしましょう。

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