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知らない人も多い? 自転車の交通ルール

2021/10/02 13:53 ウェザーニュース

新型コロナウイルスの影響で自宅で過ごす時間が増えるなか、近所への買物などに自転車を利用する機会も多くなっています。けれど意外と知られていないのが、「自転車の交通ルール」です。

自転車関連事故の件数自体は減少傾向にありますが、全交通事故に占める構成比は2016年以降増加傾向にあります。これに対して政府の中央交通安全対策会議は「自転車安全利用五則」を定め、安全な道路通行ルールの徹底を呼びかけています。

秋に増える交通事故、薄暮の時間帯に注意

警察庁のまとめによると、交通死亡事故が起こりやすい時間帯は17~19時台が突出しており、とくに日没前後の「薄暮時間帯」が昼間の約4倍と、最も多くなっているといいます。

また、薄暮時間帯の死亡事故は例年7月以降に増加し、10~12月の秋から初冬にかけてが最も多くなっています。秋の夕暮れ時の自転車は周りから見えにくいこともあり、とくに注意が必要です。それでは「自転車安全利用五則」について、具体的に確認していきましょう。

(1) 自転車は、車道が原則、歩道は例外

道路交通法上、自転車は「車両」と位置付けられていますので、歩道と車道の区別があるところでは車道を通行するのが原則です。ウェザーニュースで「自転車はどちらを走るのが正解?」というアンケート調査を実施したところ、95%が「車道」と回答しました。ほとんどの人が自転車の交通ルールを理解していることが分かります。

ところが、内閣府調査(2010年度)によると、自転車運転者の72.6%が歩道を通行しているというのです。つまり、自転車を利用する人の多くは、ルールを理解していながらもあえて歩道を走っているということになります。

自転車が歩道を通行できる「例外」を考えても、通行するべき場所が守られていないケースが多いことがうかがえます。例外として自転車が歩道を通行できるのは、主に次のような場合です。

(1)道路標識や道路標示で指定された場合
(2)運転者が13歳未満の子ども、70歳以上の高齢者、身体の不自由な人の場合
(3)車道や交通の状況からみてもやむを得ない場合(道路工事、連続駐車などで車道の左側部分が通行困難な場合/著しく自動車などの交通量が多く車道の幅が狭いなどのため、接触事故の危険がある場合など)

また、自転車道が設けられている道路では「やむを得ない場合」を除き、自転車道を通行しなければなりません。

(2) 車道は左側を通行

自転車の右側通行は禁止されており、車道の左側に寄って通行しなければなりません。

自転車が通行することができる路側帯は道路の左側部分に設けられたものに限られます。

(3)歩道は歩行者優先で、車道寄りを徐行

内閣府調査では、自転車が歩道のどの部分を通行するかについては「とくに気にしていない」「真ん中あたり」「わからない」が、合わせて45.5%に達しています。

自転車が歩道を通行するときは、車道寄りの部分を徐行しなければなりません。徐行とは「すぐに止まれる速度で通行すること」です。また、歩行者の通行を妨げるような場合は、一時停止しなければなりません。自転車のベルを鳴らして歩行者に道を空けさせたり、スピードを落とさずに歩行者を追い越したりするのは規則違反です。

13歳未満の子どもは歩道を自転車で通行することができますが、歩道では歩行者優先です。保護者はそのことを子どもにしっかり教えておく必要があります。

(4)安全ルールを守る

自転車を利用するときには、安全に関するルールを守らなければなりません。「自転車安全利用五則」には、「飲酒運転・二人乗り・並進禁止」「夜間はライトを点灯」「交差点での信号遵守と一時停止」といったルールが記載されています。

ライトについては、秋から初冬にかけて日没時間の早まりとともに交通事故が増えています。早めの点灯を心がけましょう。

(5)子どもはヘルメットを着用

自転車同乗中幼児の約3割が頭部損傷です。13歳未満の子どもが自転車を運転するときや、幼児を幼児用座席に乗せて運転するときは、確実に乗車用ヘルメットを子どもに着用させましょう。

ヘルメットを選ぶ際は、実際に子どもにかぶらせて、子どもの頭のサイズに合ったものを選んでください。頭部を守るためには、ヘルメットを正しく着用することが重要です。眉毛のすぐ上まで深くかぶらせ、あごひもをしっかり締めましょう。

「ながら運転」には罰則も!?

「自転車安全利用五則」には含まれていませんが、次のような運転の仕方も厳禁です。

・スマートフォン・携帯電話を使いながらの運転
片手運転でふらつきやすいうえ、周囲を見ていないため、事故に遭ったり歩行者にぶつかってけがをさせたりする恐れがあります。

・傘さし運転
バランスを崩しやすくする原因となるほか、傘によって前方の視界が遮られ、前方不確認となる恐れがあります。

・イヤホンやヘッドホンで音楽などを聴きながらの運転
音楽に気をとられて注意散漫になったり、後ろから近づいてくる自動車の音が聞こえなかったりして事故に遭う危険性が高まります。

自転車による交通事故でも自転車の運転者に多額の損害賠償が生じ、数千万円の損害賠償を求める裁判例もあります。対歩行者では24歳以下の若い自転車運転者が当事者となる場合が多いので、家族全員が損害賠償責任保険などに加入するようにしましょう。

2020年中における自転車乗用中の乗車用ヘルメット非着用時の致死率は、着用時に比べて約3倍高くなっています。自転車乗用中の死者のうち、頭部が致命傷となった人の割合は約5割となっています。子どもに限らず、すべての世代で乗車用ヘルメットを着用しましょう。

「自転車安全利用五則」を守らなかった場合、運転者には罰金や懲役刑が科されます。自転車は手軽な乗り物とみなされがちですが、ひとたび事故を起こせば自分はもちろん相手に対して重大な過失を犯すことになります。

そのことを忘れず、秋の夕暮れ時の運転には十分な安全・安心を心がけましょう。

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