facebook line twitter mail

関空浸水の猛台風から3年 今年も本格的な台風時期へ

2021/09/03 14:44 ウェザーニュース

3年前の2018年9月4日、台風21号が徳島県に上陸し、その後は近畿地方を縦断しました。

上陸時の中心気圧は950hPa、最大風速は45m/sと「非常に強い勢力」の台風で、この勢力で日本に台風が上陸するのは25年ぶりの事となりました。

台風21号による被害

台風21号により近畿、四国を中心に記録的暴風に見舞われ、最大瞬間風速は関西国際空港で58.1m/s、和歌山で57.4m/sなど全国100地点で従来の記録を上回りました。暴風による飛来物や転倒により14人が死亡したほか、約98,000棟の家屋が壊れました。

また、大阪港では4日14時18分に潮位329cmを観測し、1961年の第2室戸台風を上回る過去最高の値を記録しました。関西国際空港が高潮によって大規模に浸水し、滑走路が水に浸かる被害が出たほか、浸水で車のバッテリーがショートし、約100台が炎上するなど様々な被害もありました。

高潮の恐ろしさ

高潮の種類
台風21号で発生した高潮は大阪湾の各地で発生し、被害を及ぼしました。大阪湾のように南側に開けた地形では、過去から大きな高潮被害がいくつも発生しています。

高潮は、沖合から陸地に向かって吹く暴風による海水の「吹き寄せ効果」と台風による気圧低下が招く「吸い上げ効果」によって発生します。海面そのものが上昇するため、いったん堤防を越えると際限なく海水が流れ込む非常に危険な現象です。

台風の風向きの関係から、湾の西側を台風が通過したときが特に危険です。大阪湾では1934年の室戸台風、1961年の第2室戸台風、伊勢湾では1959年の伊勢湾台風、東京湾では1917年の台風、1949年のキティ台風で甚大な被害が出ています。

大潮(満月や新月の前後数日間)の満潮時に重なるとより潮位が高くなります。2018年台風21号の場合、大潮の時期ではありませんでしたが、大潮だった場合はより大きな被害を引き起こしていた可能性があります。

秋は強い台風が来やすい季節

1991年以降に「強い勢力」以上で上陸した台風の割合
秋は1年の中でも海水温が高く、台風の動きも早くなり衰えないまま日本にやってくることが多くなります。

気象庁が定義する「強い台風」以上(最大風速33m/s以上)の勢力で日本に上陸した台風の割合は図のとおりで、季節が進むごとに増え、9月や10月は半数以上が「強い勢力」以上となります(9月は31個中18個、10月は9個中8個。1991年~2020年)。

ウェザーニュースの予想では、9月下旬以降、フィリピンの東海上などの熱帯域で対流活動が活発化する見通しです。10月にかけて台風が発生しやすくなる可能性があるため、台風の動向には引き続き注意が必要です。
» 関連記事 9月下旬以降は台風発生増加か
» この先の天気や台風情報をアプリで見る