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やる気が出ない日が続けば「9月病」かも? 今できる対策は?

2021/09/07 05:55 ウェザーニュース

9月に入り仕事や学業への取組が本格化する時期ですが、やる気が出ない日が続くことはありませんか。もしかしたら、それは「9月病」の兆候かもしれません。

9月病とはどんな状態でどんな対策をとればいいのか、横浜鶴見リハビリテーション病院(横浜市鶴見区)の吉田勝明院長に伺いました。

なぜ9月に心身の不調が起こるのか

「日本では、ゴールデンウィーク明けに新入学生や新入社員に心身の不調が出る5月病が有名です。9月病は元々、夏に長期のバカンスを取るヨーロッパで生まれました。長い休みが続いたあと、なかなか仕事モードに戻れない人が心身の不調に陥ることから9月病と呼ばれるようになったのです」(吉田院長)

日本でも近年、9月病が増えていると吉田院長は語ります。そこにはどんな原因があるのでしょうか。

「生活面での原因と、気候面での原因があります。生活面では、夏バテからくる不規則な睡眠や食生活の乱れが元凶で、それにここ2年はコロナ禍で帰省もままならない不自由さがストレスを高めています。

気候面では、9月が台風やゲリラ豪雨など気象の変動が大きい時期であるのに、そうした季節の変わり目に体がついていかないと不調に陥ります。毎年秋が深まり日照時間が短くなると季節性うつ病を発症する人が出ますが、近年は四季が曖昧になって春秋がはっきりしないために、晩秋の季節性うつ病が早まっているのかもしれません」(吉田院長)

これがあれば9月病のサイン

では、9月病になるとどんな症状が出るのでしょうか。吉田院長によると、ほぼ5月病の症状と類似しているそうです。以下におもな症状を挙げてもらいました。
「この中で4つ以上当てはまる項目があり、それが何日も続いていたら9月病の可能性があります。また、午前より午後にそれらの症状が軽くなるようだと、さらに確率が高まります」(吉田院長)

今からできる9月病対策

該当する人は、どのように対応すれば良いのでしょうか。吉田院長に、気づいてからでも間に合う対策を教えてもらいました。

「太陽光を浴びると、幸せホルモンと呼ばれる脳内物質のセロトニンが増えて気分が高揚します。毎朝戸外を散歩できればいちばんいいのですが、外出がままならない場合には、家の中でも窓際の日の当たる場所でおおむね2時間過ごすように努めてください。

また、治療用の照射装置も市販されています。5000~1万ルクス(照度の単位)を毎朝30分~1時間浴びれば、2週間ほどで効果が出ます」(吉田院長)

もう一つの方法は、トリプトファンが多い食材を摂ることだそうです。

「トリプトファンはセロトニンの原料になる必須アミノ酸です。トリプトファンが不足すると、いくら太陽光を浴びてもセロトニンは合成されません。トリプトファンを多く含む食材は、牛・豚・鶏などの肉類、カツオ・マグロなどの魚類、ヨーグルト・チーズなどの乳製品、豆腐・納豆などの大豆食品です。9月病の予防や治療には、こうした食材を食べて太陽光を浴びてください」(吉田院長)

9月病は、重症化するとうつ病につながるそうです。早めに対策すれば自力で回復することもできるので、心当たりのある人はぜひ試してください。

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