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熱中症リスクが高まる今、私たちが実践できる「COOL CHOICE」

2021/08/25 10:50 ウェザーニュース

今年も35℃以上の猛暑日が全国各地で観測され、熱中症など暑さによる体調不良が心配されます。

近年、気候変動の影響により、猛暑日が増加し、熱中症のリスクが高まりつつあります。こうした気候変動や地球温暖化への対策として、私たち一人ひとりができることは何でしょうか。

まず熱中症についてですが、予防のために活用したいのが「暑さ指数(WBGT)」です。

暑さ指数とはどのようなものか、どう活用すべきかなどについて、ウェザーニューズ気象病顧問アドバイザー・愛知医科大学客員教授・中部大学教授、佐藤純先生に伺いました。

熱中症と密接に関係

「熱中症は、私たちの体の熱の産生と放出のバランスが崩れて体温が上がり、めまいや頭痛、けいれんなどの症状を起こす障害です。

暑さ指数とは、熱中症を予防することを目的として1954年にアメリカで開発された指標です。気温だけでなく、湿度、直射日光などの輻射熱も取り入れた数値になっています。暑さ指数は、温度や湿度、日差しの強さなど、人体と外気の熱のやりとり(熱収支)に着目した値なのです」(佐藤先生)

環境省の「熱中症環境保健マニュアル2018(外部リンク)」によると、暑さ指数はさまざまな気象条件などを総合的にとらえた値であることから、気温の上昇そのものよりも熱中症の発生状況との相関関係が強いとされています。
総務省消防庁のデータから熱中症による救急搬送人員数をみると、「日最高気温」が高い日が必ずしも多かったとは限りませんが、「日最高暑さ指数」が上昇するにつれて搬送人数が増えていくという相関関係がはっきり現れてくるそうです。特に日最高暑さ指数が28(北海道では26)を超えるあたりから急激に増加するという、密接な関係性を読み取ることができるといいます。

「暑さ指数の算出法からもわかるように、熱中症対策には気温だけでなく、汗の蒸発具合に影響する湿度、輻射熱が重要です。特に、今の地面は土ではなくコンクリート舗装が多いため、より輻射熱を受けやすくなります。また、ベビーカーに乗った赤ちゃんやペットは大人よりも地面に近いため、さらに注意が必要です」(佐藤先生)

暑さ指数はどう使う?

環境省の「日常生活に関する指針(外部リンク)」では、「暑さ指数に応じた注意事項等」が示されています。28~31では外出時には炎天下を避け、室内では室温の上昇に注意すること。31以上では高齢者は安静状態でも熱中症が発生する危険性が大きいため、外出はなるべく避けて涼しい室内に移動するといった注意事項が呼びかけられています。

「運動するときや職場で体を使った作業をするときなどは、暑さ指数に応じた注意が必要です。『熱中症予防運動指針(外部リンク)』『身体作業強度等に応じたWBGT基準値(外部リンク)』などが参考になります。

熱中症の発症には、気温や湿度などの環境だけでなく、服装や体調など個人の条件も大きく影響します。この時期は、直射日光を防ぐ、重度の活動を避ける、水分補給をする、十分な休息を取ることなどを心がけてください」(佐藤先生)

熱中症は、油断すると命にもかかわる危険なものです。日々の最高気温を気にするだけでなく、“暑さ指数”にも注目して、猛暑の夏を安全に過ごして乗り切っていきましょう。

近年、気候変動の影響により、熱中症のリスクが高まりつつあります。こうした影響を及ぼす気候変動や地球温暖化に対し、私たちにできる行動として、環境省では「COOL CHOICE」を推進しています。

「COOL CHOICE」は、CO2などの温室効果ガスの排出量を削減する「製品への買換え」、「サービスの利用」、「ライフスタイルの選択」などのあらゆる「賢い選択」によって、持続可能で豊かな暮らし、脱炭素社会を実現していこうという取組です。

詳しくはこちらをご覧ください。
環境省COOL CHOICEサイト(外部リンク)
http://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/

私たち一人ひとりが実践できることから取り組んでいきましょう。

参考資料など

環境省「熱中症環境保健マニュアル 2018」
環境省「夏季のイベントにおける熱中症対策ガイドライン2020」
環境省「熱中症予防情報サイト/暑さ指数(WBGT)について」