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嫌われがちだが益虫?
大量発生するヤスデの対処法

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2021/07/22 08:59 ウェザーニュース

家の壁にわいて出たヤスデに、ギョッとしたことはないでしょうか。“虫のプロ”、アース製薬研究部にヤスデの生態や避ける方法を教えていただきます。

ヤスデは益虫? それとも害虫?

ヤスデは、多数の足があるグロテスクな姿なので、見つけると気味悪く感じる人が多い虫の1つです。「毒を持っていそう」「ヤスデってムカデの幼虫?」という誤解もあるようです。

「ヤスデはムカデと形は似ていますが、生物の分類上はヤスデ綱(こう)とムカデ綱という別の仲間。ヤスデは、刺したり咬んだりして人に危害を加えることはありません。

見た目には、胴部の1節あたりの脚の数がヤスデは2対、ムカデは1対。触ると体を丸めるのがヤスデ、丸まらないのはムカデです(ムカデには触らないようにしましょう)。そして、触ると体から臭いニオイを出すのも、ヤスデの大きな特徴です」(研究部・野村拓志さん)

ヤスデは、本来家の中に好んで入ってくる生き物ではないといいます。

「ヤスデは、森林周辺の落葉、朽木や倒木、石の隙間など、湿気が多い環境に生息します。そのため元々雑木林や畑だったところに建てられた家などは、ヤスデが発生しやすい環境といえます。ヤスデの幼虫は土中で腐植質を食べて成長し、5月末~7月中旬で特に梅雨明けの季節に成虫になって地上に多く発生します」(野村さん)

つまり、土中や地上のジメジメしたところで、朽ちかけの落ち葉などを食べる“掃除屋”。人に危害を加えることもないので、益虫と言えるのです。ただ、見た目や臭いなど嫌がられることから、クモやアリのように“不快害虫”とも呼ばれます。

ヤスデ“大量発生”の理由

なぜ、ヤスデは家に侵入してきたり、大量発生したりするのでしょうか。

「ヤスデが生息しているところに雨が溜まって水没すると、地上に出てくることがあります。過度の湿気などへの逃避行動のようです。また、繁殖期や越冬前にも集団を形成することがあります。

大量発生の例では、電車を止めてニュースになることもある『キシャヤスデ』があります。キシャヤスデは周期的に大量発生しますが、これはキシャヤスデが卵から成虫になるのに7年もかかるためです。8年目に成虫が交尾相手を探すために地表へ出現するため、ときには列車を停めてしまうほどの大群になってしまうのです」(野村さん)

ヤスデの侵入を防ぐには

特に人に危害を与えるものではないとわかっていても、ヤスデに出会うのは避けたいものです。できるだけ家の周囲でヤスデが増えないよう、枯葉を掃除したり不用品など片付けて、ヤスデの好むジメジメした環境を減らします。ヤスデは、玄関や窓のほか、ちょっとした隙間から家の中に入ることがあります。

「家の周りに、『粉剤』を撒いておくと家の中には侵入しなくなります。撥水性パウダー配合のものは、雨や湿気で効果が落ちにくいためオススメです。

薬剤を撒きたくない場合など、毒餌を置くのも効果があります。容器タイプなら、お子さまやペットのいる家庭でも安心して使えます。

屋内などでヤスデを見つけた場合は、速効性のあるエアゾールタイプの駆除剤が使えます。くん煙タイプの駆除剤ならば、物陰に隠れたヤスデまで部屋ごと駆除できます」(研究部・浅井一秀さん)

ヤスデの産卵期は8月〜9月。今の間に家の周囲で対策をしておくことで、遭遇機会を減らす効果が期待できます。意外に知らなかったヤスデのこと、上手に対処したいものです。

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