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ゴキブリ退治で「叩く」、「掃除機で吸う」、「お湯をかける」はOK?

2021/07/02 11:10 ウェザーニュース

夏に向けてゴキブリが活発になり、発見する可能性も高くなります。あわてすぎて、してしまいがちな行動が新たな「悲劇」とならないために、害虫のプロにゴキブリ退治の正解を教えていただきました。

叩くのはOK?

ゴキブリを新聞やスリッパで叩くというとっさの行為は、「叩くと菌を撒き散らして危険」「卵が飛び散るから嫌」と気になる人もいるでしょう。もしかして、今までの退治法は間違っていたのでしょうか。

ゴキブリの生態に詳しいアース製薬研究部に訊ねると、「叩いたゴキブリを直接手で触れたりしなければ大丈夫」だといいます。

「ゴキブリの卵は卵鞘(らんしょう)という鞘(さや)に収められているので、叩いても卵が飛び散ることはないでしょう。ゴキブリが卵鞘を抱えて移動していた場合に、身体から離れる可能性はありますが、硬い殻に覆われているので簡単に除去できます」(アース製薬研究部・有吉立さん)

掃除機で吸うのがNGの理由

掃除機で吸うのはどうでしょうか。

「これは、やめた方がいいです。掃除機の中でゴキブリがバラバラになってしまいますし、掃除機内部が汚れたり、臭いがついてしまいます」(有吉さん)

「掃除機で吸われた成虫や幼虫は死んでも、卵は生き残ることがあります。見た目にはわかりにくいのですが、ゴキブリは卵鞘を持っていることがあります。以前に、掃除機に吸った30個中4個が生き残っていたという報告がありました。卵から孵った幼虫が、掃除機から出てくる可能性があるので、むやみに掃除機で吸うのはやめた方が良いでしょう」(同・野村拓志さん)

もし、浴室に出たら、お湯or洗剤?

服を脱いで浴室に入ったらゴキブリがいた、という経験はありませんか? その場合はお湯などをかけて、退治することができるのでしょうか。

「ゴキブリは60℃程度のお湯で死ぬので、理論的には可能です。ただ、ある程度の量をかけなければならないので、すぐには仕留められません。また、何よりも人が火傷する危険もあるので、お湯はお勧めできません。

他にはボディソープやシャンプーなどもありますが、こちらもきちんとかかるとゴキブリに対して効き目はありますが、よくあるポンプ式などの場合は狙うのが大変なので、退治には向きません。

バスルームにあるもので効果的に使えるのは、浴室用洗剤です。ゴキブリにかけると、気門という呼吸する穴が塞がって窒息死します(滑らないように注意してください)」(有吉さん)

洗剤やシャンプーに含まれる「界面活性剤」がゴキブリに効くといいます。

「昆虫は体が油(ワックス)でおおわれています。特にゴキブリは『あぶらむし』と呼ばれる地域もあるくらいテカテカとしています。油は水をはじきますので、水をかけただけでは死ぬことはありませんし、溺れることもないです。

シャンプーやボディソープ、洗剤などは『界面活性剤』が入っています。界面活性剤というのは界面(水と油の境界面)を活性化(なじむようにする)もので、それにより油汚れや皮脂を落としてくれます。はじいていたものがまとわりつくようになり、体の周りにある気門を塞いでしまいます。そのためゴキブリは窒息してしまうのです」(有吉さん)

逃がさないコツ

ここまで「叩く」「洗剤をかける」が有効な方法になりますが、退治する際のコツも教えていただきましょう。

「新聞で叩く場合は、少し緩めに巻くと接触面が大きくなり仕留めやすいです。ただ、柔らか過ぎても力が伝わらないので、ある程度は固くしましょう。

狙うのは頭です。ゴキブリは、お尻の部分にある尾毛(びもう)で空気の動きを感知するので、後ろからでは素早く逃げられてしまいます。しかし後方に進むことはできないので、頭を狙えば当たりやすいのです。これは洗剤やスプレータイプのゴキブリ駆除剤を使用するときも同様です」(有吉さん)

ゴキブリの始末もやっかいです。

「動かなくなっても、気絶しているだけのことがあります。また、ゴキブリ自体に毒などはありませんが、病原菌が付着していたり、フンや死骸がアレルゲンとなる可能性があります。仕留めたらすみやかに始末しましょう。

ティッシュ越しでも触るのは嫌だという方も多いですが、ガムテープなどでくっつけてビニール袋に入れるのが簡単です」(有吉さん)

これからの季節、害虫対策は正しい情報を生かして上手に駆除したいものです。

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