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“降り始め”と“雨上がり”で違う!? 「雨の匂い」の正体は?

2021/06/23 09:34 ウェザーニュース

梅雨どきに傘を差しながら歩く街の歩道や、雨宿りで立ち止まる店の軒先などで、「雨の匂い」を感じたことはありませんか。

ウェザーニュースでは「雨の匂い」についてアンケート調査を実施したところ、97%もの人が雨の匂いが感じていることが分かりました。

雨の匂いは好きですか?

「雨の匂いは好きですか?」という質問に対して、「好き」と回答した人が36%、「嫌い」が17%、「どちらでもない」は44%という結果になっています。

「好き」と回答した人のコメントをみると、「独特のアスファルト臭がなんか懐かしさを感じる」「降りたての埃っぽい匂いが好き」「土の香りなのか独特の匂いが自然の営みを感じる」と匂いの感じ方も色々あるようです。

本来、ほぼ100%が無味無臭であるはずの雨に、なぜ匂いを感じるのでしょうか。

匂いに詳しく、芳香剤をはじめとする化成品の研究開発・製造・販売に携わる京都リフレ新薬(京都府城陽市)に、「雨の匂いの正体」について伺いました。

降り始めに感じられる「石のエッセンス」ペトリコール

ひと口に「雨の匂い」といっても、その匂いの要因はいくつかあるそうです。

「まず一つ目は、雨が降っている際に、アスファルトから漂ってくる匂いです。これは、カビや排ガスなどを含むほこりが水と混ざり、アスファルトの熱によって匂いの成分が気体となったものです。

この匂いは『ペトリコール(Petrichor)』(ギリシャ語で『石のエッセンス』の意味)と呼ばれています。まず、雨粒が地面や植物の葉などに衝突したとき、微小な粒子を含んだ気泡(エアロゾル)が放出されます。次に、植物由来の油が付着したエアロゾルが乾燥した粘土質の土壌や岩石に当たった際に、それらがもつ成分がエアロゾルの中に取り込まれます。これが空気中に巻き上げられることにより独特の匂い、ペトリコールとなって、私たちが感じる『雨の匂い』になるのです」(京都リフレ新薬)

ペトリコールという言葉は、オーストラリアの鉱物学者イサベル・ジョイ・ベアーとR・G・トーマスが1964年、科学誌『ネイチャー』に発表した論文で初めて使われたようです。2015年にはアメリカのマサチューセッツ工科大学(MIT)の研究グループが、落下する雨粒をハイスピードカメラで観察し、ペトリコール発生のメカニズムを解明しています。

雨がまだ降っていない場所でも、不思議と雨を感じさせる匂いがすることがあります。

「これは、雨が降っているところで匂いを取り込んだエアロゾルが、風などによって運ばれてきたことが一因と考えられます」(京都リフレ新薬)

雨上がりに強まる「大地の匂い」ゲオスミン

雨の降り始めの匂いとは別に、雨上がりの匂いもあります。

「『ペトリコール』がいわゆる“雨の降り始めの匂い”であるのに対して、“雨上がりの匂い”といえるのが、『ゲオスミン(Geosmin)』と呼ばれる匂いです。こちらは土中のバクテリアなどによってつくり出される有機化合物のカビ臭いような匂いで、雨水によって拡散します。

ゲオスミンは雨水が蒸発し始める際に匂いが強まるので、雨上がりに特徴的な匂いとして感じられるのです。なお、ゲオスミンとはギリシャ語で『大地の匂い』を意味します」(京都リフレ新薬)

ペトリコールやゲオスミンのほかに、雨を感じさせる匂いの成分として、O3(オゾン)もあるそうです。

雨の匂いを感じながら、その語源となった『石のエッセンス』や『大地の匂い』の言葉を思い浮かべてはどうでしょうか。ジメジメした梅雨どきの雨も、違って感じられるかもしれませんね。
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