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すぐに役立つ! おいしいさくらんぼの見分け方

2021/06/15 07:21 ウェザーニュース

店頭にルビーのように真っ赤なさくらんぼが並ぶ時季になりました。早いものではハウス栽培ものが4月から出荷されていますが、これからは日射しをいっぱいに浴びた露地栽培ものが出てきます。

ところで、みなさんにとってさくらんぼは買うものでしょうか? それとも、もらうものでしょうか? ウェザーニュースでアンケート調査を行ってみると、面白い結果になりました。
全国的には、やはり「買うもの」と答えた人が76%と圧倒的に多かったのですが、さくらんぼの生産量が国内で最も多い山形県では、約6割の人が「ご近所からもらうもの」だと回答しています。また、生産量が2番目に多い山梨県でも、「ご近所からもらうもの」の割合が41%と他のエリアと比べるとだいぶ高めです。

この結果について、山形県のさくらんぼ農家、後藤広美さんは、次のように話します。

「さくらんぼは旬の期間が短く、熟すときは一斉です。また非常に繊細な果物なので、収穫しているときに傷がついたり、割れたりすることがあります。こういうものは市場に出せません。

そのため、出荷できないものがたくさん出てきます。これもとてもおいしいので、さくらんぼ農家さんがご近所に差し上げる、ということもしばしばあり、こうしたことも影響しているのかもしれません」

とはいえ、一般的にはさくらんぼはやはり店で買うことが多いのではないでしょうか。そこで、おいしいさくらんぼの見分け方や食べ方を、後藤さんに伺いました。

「佐藤錦」が今まさに最盛期

山形はさくらんぼの出荷量では全国の8割を占めています。

「私のところでも5~6月が『紅さやか』、5月下旬~7月上旬は『佐藤錦(さとうにしき)』、6月下旬~7月上旬の『ナポレオン』、6月下旬~7月中旬の『紅秀峰(べにしゅうほう)』などですが、今まさに『佐藤錦』が最盛期で一番人気です。

『佐藤錦』は真っ赤な色づきと光沢があり、甘さの中に適度な酸味が加わったジューシーなおいしさで知られています。名前の由来は東根市の佐藤栄助さんによって品種改良されたので、のちに『佐藤さんがつくった』、『砂糖のように甘い』という2つの意味から名づけられたそうです。姿が美しくて味も良く、まさにさくらんぼの王者の風格がありますね」(後藤さん)

さくらんぼの基準はサイズと色付き

さくらんぼには大きく分けて2つの基準があるそうです。

「1つはサイズです。LL(25mm以上)、L(22mm以上)、M(19mm以上)、S(18mm以下)に分けられています。このうち、生食用に販売できるのはMサイズ以上です。さくらんぼは大きいほど甘くて果汁が多くなります。

もう1つは色です。さくらんぼの赤みの面積がどのくらいかを表す『色付き』という基準があります。品種や収穫地によって基準は異なりますが、佐藤錦だと着色面積が70%以上で『秀』、60%以上で『優』、50%以上で『良』になります。赤みが多い方が甘くておいしいのです。その他、実のそろい具合や光沢、傷などで最終的に『秀』、『優』、『良』が決まります」(後藤さん)

おいしいさくらんぼの見分け方

こうした基準がおいしいさくらんぼを選ぶときのポイントにもなると言います。

「さくらんぼは箱入りのものであれば、側面に品種、サイズ、ランクが入っています。これを見れば一目瞭然です。でも最近は箱入りは少なく、カップやプラケースに入っているものがほとんどです。その場合はケース越しに鮮度、サイズ、色づきを見てください。

まず鮮度ですが、軸の色が鮮やかな緑色で、実の表面がツヤツヤでみずみずしく張った感じのものが新鮮です。次にサイズですが、山形県の基準ではLサイズ以上のものを選ぶと甘みが強いと言われているので、なるべく大きなものを選んでください。

最後に色付きです。さくらんぼは追熟しないので、完熟した証である赤みが強いものがおすすめです。「紅さやか」など品種によっては、完熟したものは黒っぽく見えるほど赤みが強くなります。黒っぽく見えると過熟の心配をしてしまいますが、実は最も甘いのです。でも、国産のさくらんぼは選定の段階で取り除くので、一般の市場に出回るケースはあまりないようです」(後藤さん)

さくらんぼはカリウムを比較的多く含むので、利尿作用、むくみを抑える効能、高血圧の予防効果が期待できると言います。

旬が短いさくらんぼ、ぜひこの時季に上手に選んでみてください。

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参考資料など

取材協力:後藤広美氏(https://ameblo.jp/hirogoto123/)