皆既食は20時11分~26分のわずか15分間
「今回の月食は日本国内ではどの地域でも月がかなり低く、皆既食の最中は約15度、月食終了時で25度ほどです。月が出る南東方向の空の開け具合や建物の様子などを事前に確認しておきましょう。
18時45分に満月が地球の影(本影)に入って月が欠け始めます。これを『部分食の開始』。といいます。その後、だんだん高くなっていく月が地球の影に潜入し、暗い部分が次第に広がっていきます。部分食の開始から約1時間30分後の20時11分に月全体が地球の影に入り、皆既食の状態となります。
この皆既状態は20時26分までしか続かないので、皆既月食のハイライトである『赤みを帯びた満月』が見られるのはわずか15分弱しかありません。20時26分に皆既食が終了すると、月は明るさを取り戻していきます。そして約1時間30分後の21時52分に部分食も終了し、再び白く丸い満月が南東の空に輝くようになります。
今回の月食は継続時間が記録的に短く、楽しめる時間も短くなりますので、いつも以上に集中して眺めてみてください」(大熊さん)
18時45分に満月が地球の影(本影)に入って月が欠け始めます。これを『部分食の開始』。といいます。その後、だんだん高くなっていく月が地球の影に潜入し、暗い部分が次第に広がっていきます。部分食の開始から約1時間30分後の20時11分に月全体が地球の影に入り、皆既食の状態となります。
この皆既状態は20時26分までしか続かないので、皆既月食のハイライトである『赤みを帯びた満月』が見られるのはわずか15分弱しかありません。20時26分に皆既食が終了すると、月は明るさを取り戻していきます。そして約1時間30分後の21時52分に部分食も終了し、再び白く丸い満月が南東の空に輝くようになります。
今回の月食は継続時間が記録的に短く、楽しめる時間も短くなりますので、いつも以上に集中して眺めてみてください」(大熊さん)
月の色合いの変化が楽しみ
月の色にも注目だそうですが。
「皆既月食の際には満月が赤っぽくなり、『赤銅色』と形容されます。月が赤銅色になるのは、地球の大気を通った太陽光のうち赤い成分のほうが月に届きやすいためです。大気の状態によって届く光が変化するため、月の色は月食ごと異なり、明るいオレンジ色や暗い茶色のように見えることがあります。
地球の影には濃淡があり、今回は影の端のほうを月が通るため、全体としては明るい月食になりそうです。この濃淡があることで、部分食の時だけでなく皆既中も月の色や明るさは変化します。皆既になる前後の大きく欠けた状態で、暗い側が赤銅色に見える可能性もあります。皆既時間は15分と短いですが、注目してみましょう。
さらに月の高度がかなり低いため、月から地球に届く光も地球の大気の影響を大きく受けます。月食ではないふだんの月でも昇りたての時に、大気の影響により暗く赤っぽく見えることがあります。月食と低空という2つの要因により月がどのような色合いになるか楽しみです。
今回は日本では小笠原諸島を除いて、薄明終了よりも前に皆既食が終わります。そのためとくに月食の前半では、青さが残る空の中で欠けた月を見ることになります。月の色の印象は背景となる空の色にも影響されるので、意識してみましょう。5月26日の月は、赤く輝くさそり座の1等星アンタレスと並んでいます。赤い天体の共演という観点からも楽しみです」(大熊さん)
「皆既月食の際には満月が赤っぽくなり、『赤銅色』と形容されます。月が赤銅色になるのは、地球の大気を通った太陽光のうち赤い成分のほうが月に届きやすいためです。大気の状態によって届く光が変化するため、月の色は月食ごと異なり、明るいオレンジ色や暗い茶色のように見えることがあります。
地球の影には濃淡があり、今回は影の端のほうを月が通るため、全体としては明るい月食になりそうです。この濃淡があることで、部分食の時だけでなく皆既中も月の色や明るさは変化します。皆既になる前後の大きく欠けた状態で、暗い側が赤銅色に見える可能性もあります。皆既時間は15分と短いですが、注目してみましょう。
さらに月の高度がかなり低いため、月から地球に届く光も地球の大気の影響を大きく受けます。月食ではないふだんの月でも昇りたての時に、大気の影響により暗く赤っぽく見えることがあります。月食と低空という2つの要因により月がどのような色合いになるか楽しみです。
今回は日本では小笠原諸島を除いて、薄明終了よりも前に皆既食が終わります。そのためとくに月食の前半では、青さが残る空の中で欠けた月を見ることになります。月の色の印象は背景となる空の色にも影響されるので、意識してみましょう。5月26日の月は、赤く輝くさそり座の1等星アンタレスと並んでいます。赤い天体の共演という観点からも楽しみです」(大熊さん)
今回の皆既月食時の満月は2021年で最も大きい
「1年に12~13回見える満月のうちで最も大きく見える満月のことを『スーパームーン』と呼ぶことがあります。今回の皆既月食の満月は2021年で最大なので、『スーパームーンの皆既月食』といえます。
今年最も小さい12月19日の満月と比べると直径は14%、面積では30%大きいのですが、実際にはその差はわかりにくいでしょう。低いところにある月はもともと大きく感じられるので、月食中の満月を見て『なるほど、スーパームーンだ』と思うかもしれませんが、これは錯覚です。
スーパームーンと月食のタイミングが重なることは比較的珍しく、前回は2015年9月28日(皆既月食、日本からは見えない)でしたが、次回は2033年10月8日(皆既月食)まで起こりません。月食の満月が近く大きいからといって特別なことが起こるわけでも見えるわけでもありませんが、少し意識して観察してみると面白いかもしれません。
月の色や形が変化していく様子は肉眼でもよく見えるので、月食観察に特別な機材はいりません。ふだん月を見ているのと同じように、空を見上げるだけで月食を楽しめます。
ただし、『月の模様や変化をじっくり眺めたい』という場合には、やはり双眼鏡や天体望遠鏡があるといいですね」(大熊さん)
大熊さんによると、月食観察時の注意点は次のようになります。
・車の往来や足元をよく確認するなど、安全に十分注意する。
・子どもだけで観察したり、少人数で暗いところに行ったりしない。
・私有地に立ち入ったり大騒ぎしたりせず、ルールやマナーを守る。
とくに今回の皆既月食時は、新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言が発令中の地域も少なくありません。観察者同士の間隔を空ける、機材をこまめに消毒するなどの対策もしっかりと行い、スーパームーンの皆既月食を楽しみましょう。
今年最も小さい12月19日の満月と比べると直径は14%、面積では30%大きいのですが、実際にはその差はわかりにくいでしょう。低いところにある月はもともと大きく感じられるので、月食中の満月を見て『なるほど、スーパームーンだ』と思うかもしれませんが、これは錯覚です。
スーパームーンと月食のタイミングが重なることは比較的珍しく、前回は2015年9月28日(皆既月食、日本からは見えない)でしたが、次回は2033年10月8日(皆既月食)まで起こりません。月食の満月が近く大きいからといって特別なことが起こるわけでも見えるわけでもありませんが、少し意識して観察してみると面白いかもしれません。
月の色や形が変化していく様子は肉眼でもよく見えるので、月食観察に特別な機材はいりません。ふだん月を見ているのと同じように、空を見上げるだけで月食を楽しめます。
ただし、『月の模様や変化をじっくり眺めたい』という場合には、やはり双眼鏡や天体望遠鏡があるといいですね」(大熊さん)
大熊さんによると、月食観察時の注意点は次のようになります。
・車の往来や足元をよく確認するなど、安全に十分注意する。
・子どもだけで観察したり、少人数で暗いところに行ったりしない。
・私有地に立ち入ったり大騒ぎしたりせず、ルールやマナーを守る。
とくに今回の皆既月食時は、新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言が発令中の地域も少なくありません。観察者同士の間隔を空ける、機材をこまめに消毒するなどの対策もしっかりと行い、スーパームーンの皆既月食を楽しみましょう。
参考資料など
取材協力/株式会社アストロアーツ