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「五月」がつく言葉から分かる、かつての日本の5月とは?

2021/05/08 10:54 ウェザーニュース

5月といえば新緑が輝く清々しい時期ですが、旧暦の5月は現在の梅雨の時期にあたります。つまり、旧暦が使われていたころの5月は雨の季節だったのです。

「五月晴れ」という言葉は、現在はすっきりとした5月の晴れ模様に使われますが、旧暦が使われていたころは梅雨の晴れ間を表す言葉でした。この言葉からも、昔の人々の5月のイメージが今とは違っていたことがわかると思います。

“五月”がつく言葉は多数

辞書で「五月」のつく言葉を探してみると、その数は他の月に比べて多めです。

五月人形(ごがつにんぎょう)、五月幟(ごがつのぼり)、五月鯉(ごがつごい)のように端午の節句にからんだ言葉のほかにも、旧暦5月の印象を残す五月雨(さみだれ)、五月躑躅(さつきつつじ)、五月蠅い(うるさい)などがあります。

五月晴れがもともと梅雨の晴れ間をさしていたように、五月雨は旧暦5月に降る長雨、つまり梅雨のことをさしています。

現在の5月下旬から7月に咲く花にはサツキがあります。サツキはツツジの仲間で、旧暦5月ころに咲くことから五月躑躅(さつきつつじ)と呼ばれるようになりました。

“うるさい”はなぜ5月のハエと書く?

「うるさい」という形容詞には、五月の蠅(ハエ)という漢字があてられることがあります。

今の5月にはハエの姿を見ることはあまりありませんが、梅雨のころになると次第にハエがうるさくなってきます。

あの清少納言もハエについて、にくいもの、かわいげのないものと述べていて、ハエは古代からうるさい、さわがしいものの代表としてとらえられていたようです。
とくに活動を始め出す梅雨のころ、旧暦5月のハエのうるささはこの上なく、やがて「うるさい」に「五月蠅い」という文字をあてるようになりました。

このように、五月雨、五月躑躅、五月蠅い、に使われている「五月」は、梅雨のころの印象をふくんだことばとして今も残っているのです。

今年の5月は、古くから伝わる日本語から季節を感じ取ってみるのはいかがでしょうか。

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