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新緑の季節、東京都に一番多い街路樹を知っていますか?

2021/05/03 07:43 ウェザーニュース

新緑が鮮やかな季節になりました。この時季、特に目を引くのが街路樹の緑です。ビルや住宅が密集する東京都にも約101万本の街路樹があり、都会の中で四季を感じさせてくれます。今回は、そんな街路樹にまつわる話をご紹介しましょう。

街路樹にはそもそもどんな役割があるのか

街路樹は、公共の道路に並木状に植えられた樹木のことです。

東京都(建設局公園緑地部)の資料によると、都内には約101万本の街路樹と、約475万平方メートルの道路内緑地があります。そのうち街路樹の約6割と道路内緑地の約5割を東京都が管理し、その他を国や区市町村が管理しています。

では、街路樹や道路内緑地(中央分離帯や大きな交差点内にある交通島など)にはなぜ樹木が植栽され、常に手入れされているのでしょうか。

街路樹や道路内緑地には、次のような役割があります。

▼運転者の視線を導き、不要な視界をほどよく遮断する
▼夏の日差しをさえぎり、排気ガスや騒音を和らげる
▼街や通りの目印となり、運転者に安心感を与える
▼災害時に火災の延焼を遅らせ、人々や建物を守る
▼野鳥や昆虫を呼び、住民や通行者に安らぎをもたらす

こうしてみると、機能的な役割が多いことに気づかされます。それでも今の時季なら、「新緑の美しさが四季の移り変わりを知らせてくれる」が筆頭に来るのではないでしょうか。

都内第2位はイチョウ、では第1位は何?

ところで皆さんは、東京都内の街路樹でどの種類が一番多いと思いますか? おそらくイチョウという声がたくさん挙がるのではないでしょうか。


実はイチョウの数は第2位。国道や都道では1位を占めていますが、区道、市町村道となるとぐっと順位が下がってしまいます。

街路樹の本数を数えるときは、村道のような細い道も含まれるので、ベスト5はこんな順位になります(平成31年4月1日現在)。
第1位:ハナミズキ(約6万3000本)
第2位:イチョウ(約6万本)
第3位:サクラ類(約4万4000本)
第4位:トウカエデ(約3万6000本)
第5位:ケヤキ(約3万本)

1位のハナミズキは、国道こそ5位と少ないものの、市町村道で1位、区道と都道で2位を占めています。

それにしても、ベスト5を合計しても全体の3割に届きません。その他が約78万本もあるのですから、街路樹の種類はとても多いことがわかります。

都内街路樹ベスト5~それぞれの特徴と名所〜

では、それぞれの種類の特徴と名所を見ていきましょう。

▼第1位・ハナミズキ:
北米・メキシコ原産の落葉高木で、高さは10mほどになります。4月下旬ごろ白、紅色、赤色などの淡い花を咲かせ、秋には赤い実もつける美しい樹木です。都内では小平市内の新小金井街道、あきる野市睦橋通りなどに名所があります。

▼第2位・イチョウ:
高さが30mにもなる中国原産の落葉高木です。街路樹に用いられるのは実(ギンナン)のできない雄の木で、秋には黄色く色づいた葉が通りを美しく染め上げます。名所として神宮外苑、丸の内東京駅前が知られています。

▼第3位・サクラ類:
日本には数百種類のサクラがありますが、街路樹に用いられるのはソメイヨシノ、ヤマザクラ、サトザクラなどが一般的です。ソメイヨシノは「東京都の花」にも指定されていて、学校、公園、川岸など都内各地に名所があります。

▼第4位・トウカエデ:
「唐楓」とも書くように、中国原産の落葉高木です。枝の同じ位置から左右対生の葉を茂らせ、秋には美しく紅葉します。都内では新青梅街道の田無から青梅までの区間が名所で、多摩地区の都道にも多く植栽されています。

▼第5位・ケヤキ:
ニレ科の落葉高木で、成長するとほうき状の雄大な樹形になります。春は新緑、夏は緑陰、秋は紅葉、冬は裸木と、四季折々の表情が楽しめるのが魅力です。都内では原宿の表参道、新宿副都心のほか、多摩地域で多く見られます。


1年を通して楽しめる街路樹ですが、やはり新緑が一番!お出かけの時は顔を上げて、緑色に染まった街路樹を眺めてはいかがでしょう。
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