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七十二候「霜止出苗」 油断した時にやってくる「忘れ霜」に注意

2021/04/30 11:37 ウェザーニュース

今日4月25日からは七十二候「霜止出苗(しもやみてなえいずる)」。朝晩の厳しい冷え込みは緩んで、放射冷却によって霜が降りなくなる季節です。

植物にとっては好しい季節に入りますが、実はまだまだ油断ならない時期でもあります。

忘れた頃にやってくる!?

2021年4月24日 長野県軽井沢町
今年の二十四節気「穀雨」は4月20日〜5月6日までですが、その終わり頃の5月2日は雑節の「八十八夜」があります。
夏も近づく八十八夜…と歌で聞いたことはありませんか?

この八十八夜は、春から夏に移行する節目とされており、気候もだいぶ安定していきます。
そのため、茶摘みや水稲の籾撒き(もみまき)などが行われます。

しかし、過ごしやすい気候になったな…と油断していると急に気温が下がって霜が降りることがあるのです。

油断できない時期

気象庁のデータ(2010年3月〜5月の静岡市の日ごとの最低気温)をもとに作成
上のグラフは、3月~5月までの静岡市の最低気温の推移を表したものです。
3月の青いグラフに注目すると、29日〜31日が3℃以下を示しています。30日に至ってはなんと0.2℃まで下がりました。

多くの茶園では、霜対策として防霜ファンやスプリンクラーが設置されているのですが、この2010年3月末は急激に下がってしまったため、きちんと霜対策が行われていた茶園でも大きな被害が及びました。

また、4月の緑色のグラフを見ると、25日に4月の中で最も低い4.8℃となりました。
気温が5℃以下だと地表付近の温度は氷点下になる可能性が高くなり、霜が降りやすくなります。

八十八夜の頃に降りる霜は「忘れ霜」と言われ、茶園の方に限らず、農家の方も警戒しています。とても厄介な存在ですが、実は八十八夜の別れ霜という別名も持っており、これ以降は霜が降りないと言われています。

手間暇かけて作られたものへの感謝を

当たり前のように飲んでいるお茶や当たり前のように食べている野菜、お米はこうした天候による影響が大きく、一瞬ですべてダメにされてしまうこともあります。
様々なところに神経を使い、手間暇かけて作られているという背景を知ると、何気なく口にしていることが申し訳ないような気もしますね。
頂く前にはぜひ感謝の気持ちをお忘れなく。
» 10日先までの天気・気温

おさらい七十二候

1年を春夏秋冬の4つの季節に分け、それぞれをさらに6つに分けた24の期間を「二十四節気」といいます。

そしてこれをさらに初候、次候、末候の5日ずつにわけて、気象の動きや動植物の変化を知らせるのが七十二候です。

二十四節気と七十二候は、その日だけではなく、二十四節気であれば15日間、七十二候であれば5日間の期間も指しています。

次回は、穀雨の末候「牡丹華(ぼたんはなさく)」についてご紹介します。
» ウェザーニュース記事一覧

参考資料など

【引用元】
気象庁HP「過去の気象データ(2016年3月〜5月の静岡市の日ごとの最低気温)」https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php?prec_no=44&block_no=47662&year=2015&month=11&day=&view=p1
気象庁HP「霜に関する用語」https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/kori.html
【参照・参考元】
伊藤園HP「茶園の1年」https://www.ocha.tv/how_tea_is_made/cultivation/yearly_schedule/
伊藤園HP「茶畑日記」https://chabatake-itoen.jp/diary/35.html
住まいと生活の視点から。『びお』「今年もやってきました、新茶の季節!」https://www.bionet.jp/2010/04/shincha/

写真:ウェザーリポート(ウェザーニュースアプリからの投稿)mimipinomamaさんteruさん