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蚊の活動開始!? 第一世代が羽化する今の時期だからこそやっておくべき対策

2021/04/27 05:54 ウェザーニュース

夏のイライラ、悩みのタネの蚊。気温が25〜30℃になると活発に活動するとされています。最近は気温が高い日も続いたこともあり、徐々に「刺された」という人も増えてきているようです。

4月21〜22日にかけて、ウェザーニュースで蚊に刺されたかどうかアンケート調査をおこないました(全国8590人が回答)。結果を見ると、沖縄ではすでに6割近くが、九州・四国では2割近くの人が蚊の被害にあっていることが分かりました。
また、「刺されてないけど見た」という人を含めると、東海で34%、近畿で23%、関東で22%など、すでに多くのエリアで蚊が活動を開始していることが分かりました。

まだ被害が少ない春のうちから対策をしておくと、活動が本格化する時期の被害を減らすことができるといいます。虫ケア用品大手・アース製薬研究部の専門家に教えていただきます。

条件が揃うと爆発的に繁殖

日射しが明るく風も爽やかな時期は、蚊のことなど考えたくないものです。しかし、今の時季だからこそしておくべき効果的な対策があるといいます。

「カギは、蚊の生育サイクルにあります。日本で“蚊に刺された”というときの蚊は、ほとんどがアカイエカとヒトスジシマカ(通称ヤブ蚊)の2種類です。アカイエカは、成虫の形態で越冬し、3〜4月の気温の高い日に人の血を吸って、水に産卵します。ヒトスジシマカは卵で越冬し、3〜4月に雨水が溜まると孵化(ふか)して、水の中で成長します。

幼虫から蛹(さなぎ)になり、羽化(うか)しますが、成虫の寿命は1か月程度。成虫になった後は花の蜜などを栄養源として過ごし、メスは産卵の前に人や犬猫などの哺乳類、鳥類、両生類から吸血します。

4月下旬から5月は、ヒトスジシマカ第一世代の成虫が羽化する時期です。今から、蚊の幼虫・ボウフラが育つ環境をなくしてしまえば、成虫となる蚊を減らせるのです」(アース製薬研究部・有吉立さん)

蚊の幼虫が好む“水”の環境とはどういうことでしょうか。

「ボウフラは、水中の有機物やバクテリアを餌として成長します。体が小さくて泳ぎはあまり得意ではなく、流水では流されてしまうため溜まった水を好みます。それは例えば、池や浄化槽、側溝、枯葉などで詰まった雨樋、植木鉢の水皿やバケツなどです。

例えば、アカイエカは1回に100〜200個も産卵します。気温25~30℃なら、アカイエカで7〜10日、ヒトスジシマカで10~14日ほどの、わずかな期間で成虫になります。庭に水やりのためのジョウロを3日間放置していただけで、ボウフラが大量に湧いていたという研究部員もいました」(有吉さん)

空き缶やビン、古タイヤ、ブルーシートのたるみなど、ほんの少し溜まった水でも発生源となるというので、油断はできません。

蚊の発生を防ぐには?

今の時期に気をつけたいのは、気がつかないぐらいの水溜まりだといいます。

「まず、水が溜まってしまうような場所をつくらないことが大切です。そして側溝のような場所は、できるだけ流れを阻害しないようにすること。かつて町内会などが行っていた排水溝のドブさらいには、水の流れをよくして蚊の発生を防ぐ意味もありました」(有吉さん)

雨水ますや防火用水などは薬剤で対応できます。

「ボウフラ駆除剤には、ボウフラを直接殺虫するタイプ、幼虫から成虫にさせないタイプがあります。また、植物にやさしい水性スプレー、液剤、錠剤、粒剤があるので、使う場所に合わせて選ぶといいでしょう」(同研究部・浅井一秀さん)

家の周囲を蚊の好む環境にしないことも大切です。

「ヒトスジシマカの成虫は、草むらに潜んで人が近づいてくるのを待ち伏せています。庭木や生垣、不要な雑草をこまめに刈るなどして、蚊が潜みにくい環境にしましょう」(有吉さん)

また、環境を整えたうえで、虫ケア用品を併用するとしっかりガードできるといいます。

「成虫に対しては、庭木周りや茂み、地面にまくだけで、蚊を2週間いない空間にするスプレーや、人体用虫よけなどが効果的です」(浅井さん)

この時季にしっかり蚊対策を行って、蚊に悩まされないシーズンにしたいものです。

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