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新ジャガイモ、皮ごとゆでれば栄養が逃げない?

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2021/04/10 05:02 ウェザーニュース

皮が薄く、コロッとした新ジャガイモが出回る時季になりました。普通のジャガイモと見た目が異なりますが、味も調理法も新ジャガイモならではの特徴があるといいます。詳しい話を管理栄養士の柴田聡美さんに伺いました。

皮が薄く水分が多い新ジャガイモ

新ジャガイモは、九州産が3~6月、本州産が5~8月、北海道が7~11月に収穫期を迎えます。

「種類は普通のジャガイモと同じですが、完熟する前に収穫するために、皮が薄くみずみずしいという特徴があります。大きさも普通のものよりも小ぶりなものが多く、しかも皮が薄いので、皮をむかずに水洗いで泥を落とすだけで、簡単に丸ごと調理に使えます。水分が多いので煮物などに向いています」(柴田さん)

皮ごとゆでるとビタミンC残存率アップ!

皮ごと調理すると皮をむく手間がなくなるだけでなく、栄養面でもよい点があるのです。

「新ジャガイモだけでなく、ジャガイモ全般にいえることですが、栄養面ではビタミンCが豊富です。また、果物などに含まれるビタミンCと比べて熱に強く壊れにくい性質があります。ジャガイモのでんぷんがビタミンCを熱や水分による破壊や流出から守っているためです。といっても、細く切ったり皮をむいて調理すれば、4~5割のビタミンCは失われてしまいます。

そこで、皮をむかなくても食べられる新ジャガイモは、その特徴を生かしてそのまま調理しましょう。皮に近い部分にポリフェノールの一種で抗酸化作用のある『クロロゲン酸』が含まれるため、皮ごと調理すればムダなく摂ることもできます。

さらに、ゆでる場合は必ず水からイモを入れるようにします。沸騰した湯に入れると中側は生なのに外側だけ急激に火が通り、中側まで火を通そうとすると外側にあるでんぷんが煮えすぎでくずれ、栄養が流出してしまいます」(柴田さん)

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新ジャガを丸ごと使って作る「せいだのたまじ」
山梨県の郷土料理に小ぶりの新ジャガイモを皮をむかずに丸ごと甘味噌で煮る『せいだのたまじ』という料理があります。新ジャガイモの栄養分を逃すことなく、おいしく味わえるのでおすすめです」(柴田さん)

長期保存には向かない新ジャガイモ

新ジャガイモは、普通のジャガイモと比べて保存法などに違いはあるのでしょうか。

「新ジャガイモに限らず、ジャガイモは湿っていると腐りやすいので、買ってきた時のポリ袋などから出して、新聞紙にくるんでから冷暗所に保存します。ただし、低温に弱いため冷蔵庫でなく常温で保存します。ただし、新ジャガイモは普通のじゃがいもと比べて水分量が多いので、長期保存には向きません。買ってから1週間程度を目安に食べきるようにしてください」(柴田さん)

今だけ味わえる新ジャガイモ。小ぶりな姿が愛らしいイモをそのまま丸ごと味わって、春を感じましょう。

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