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【震災10年実態調査】被災地とその他地域で“現地の今”の認識に違い 若い世代ほど震災の記憶残らず #あれから私は

東日本大震災から10年 減災調査2021まとめ

2021/03/08 13:13 ウェザーニュース

未曾有の被害をもたらした東日本大震災から10年を迎えます。

震災の教訓を後世に繋げるために様々な取り組みが進んでいますが、この10年で避難や備えなどの意識がどのように変化しているのでしょうか。ウェザーニュースではその変化を把握し、今後の防災・減災に繋げていくために、毎年調査を継続して行っています。

調査期間:2021年2月18日〜21日
有効回答数:8,101人

【非常食の備え】コロナ禍で、備蓄の意識が加速

非常食を何日分備えているのか毎年調査を行っています。東日本大震災以降は横ばいが続いていましたが、ここ数年で「約1週間分」が増加し、「用意していない」が減少する傾向が続いています。


また、平均備蓄日数で見ると2019年以降、年々増加していきています。2019年台風19号などたび重なる台風被害の教訓や、新型コロナウイルス流行による備蓄の意識が高まったものと考えられます。

【災害情報の入手方法】インターネットの割合が年々増加

災害時における情報入手方法に関して、時系列で見ると、「インターネット」の割合が年々増加してきており、「テレビ・ラジオ」の割合が年々減少傾向になっています。



都道府県別を見ると、ほとんどの都道府県で「スマホ」が過半数を占めていますが、「岩手県」では「テレビ」と「ラジオ」で過半数を占める結果になっています。北日本では東日本大震災以降も「ラジオ」が貴重な情報源になっていることが今回の調査から伺えます。

また、西日本を見ると、「防災無線」の割合が東日本よりも比較的高くなっています。これは台風や大雨災害等の経験から、「防災無線」が貴重な情報源だったことも伺えます。

【現地の今】被災地とその他地域で認識の違い

東日本大震災から10年経っての被災地の状況について伺った所、被害の大きかった地域にいた人と、そうでない人で、被災地の状況の感じ方に違いが生じていることがわかりました。

被害の大きかった地域にいた人に関しては、「震災発生直後と変わっていない」と回答した人が全体の13%。被害の大きかった地域にいなかった人に関しては「震災発生直後と変わっていない」と回答した人が全体の29%と、大きく差が出る形となりました。


また、5年前と比較してみると、被害の大きかった地域では、「震災発生直後と変わっていない」という回答の割合は変わらないですが、「震災以前の生活に戻っている」との回答の割合が大幅に増えました。


被害が無し、もしくは小さかった地域では、「ほぼ震災以前の生活に戻っている」と想像している回答の割合が大幅に増えました。

【震災発生時の記憶】若い世代ほど記憶残らず

災害発生時の記憶について聞いた所、年齢の若い層ほど、東日本大震災の記憶が薄れていることが明確に分かる形となりました。

今現在10歳未満の震災を経験していない子どもたちにとっては、学ぶ機会がなければ、記憶に残らないのも当然の結果と言えます。そのため、震災の教訓を後世に繋げるための工夫が、今後一層必要であると再認識させられる結果となりました。

震災の教訓を今後の減災に

今後、いつどこで災害が起こるのかわかりません。避難場所までのルート確認や、非常持ち立ち袋の定期的なチェック、家具の補強など、日頃の備えを大切にしていきたいですね。
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