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もし暴風雪に遭遇したら? 知っておきたい緊急時の心得

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2021/01/29 15:59 ウェザーニュース

この冬も高速道路上での長時間にわたる車の立ち往生など、暴風雪による被害が全国で多発しています。被害は道路上にはとどまらず、日々の生活にも大きな影響を及ぼす場合があります。

暴風雪はどのようなときに発生しやすく、どんな被害が起こるのか。さらに暴風雪に遭遇してしまった場合の安全な対処法などについて、独立行政法人土木研究所寒地土木研究所(札幌市)の研究発表をもとにまとめました。

天気が急変した時に特に多く発生

「暴風雪とは雪を伴った強い風が吹くことで、降っている雪と積もっている雪も風で巻き上げられるため、視界が真っ白になります。また、風で運ばれた雪が建物や車などでさえぎられた場所にたまる、吹きだまりが発生します。

暴風雪による被害は、晴天から悪天へと天気が急変した時に特に多く発生しています。発達した低気圧の通過や強い冬型の気圧配置の時に暴風雪が発生することが多く、天気図では等圧線の間隔が狭まっています」(寒地土木研究所)

風は強いが晴れている時でも、雷を伴って暴風雪に変わることもあり、地形が急に開けた場所では風の強さや見通しが急激に変化するのも大きな特徴です。

暴風雪による被害の特徴

暴風雪による被害の特徴は、次のようなものがあります。

(1)吹きだまり
とくに車の運転が危険になります。道路にはまわりの土地より高い「盛土道路」と、低い「切土道路」があり、一般に「盛土道路」に比べて「切土道路」のほうが、吹きだまりが発生しやすい傾向にあります。

道路の吹きだまりが深くなると、車の発進や走行が困難になることがあります。実験では深さ20センチで発進ができなくなった事例もあるそうです。

一般の住宅でも吹きだまりが生じたことにより、室外から燃焼に必要な空気を吸気、燃焼後に排出するFF式暖房器の給排気口がふさがれ、一酸化中毒を引き起こす可能性があります。家の玄関が雪でふさがれて、開かなくなることもあります。

(2)暴風や視界不良による歩行困難
何かにつかまらないと立っていられないような強い風が吹き、まっすぐに歩くことが困難になります。雪で数メートル先さえ見えなくなって方向感覚を失い、自分の位置がわからなくなることもあります。体温が奪われて、低体温症にかかる恐れもあります。

車の運転者も視界不良となって歩行者が見えにくくなるため、歩行者側にも危険の可能性が高まります。

(3)暴風による飛散物
看板や屋根、そのほか思わぬ物が飛んできてけがをすることがあります。

(4)停電
電線への着雪や強風、飛散物などによって切れることで停電が発生し、照明や暖房が使えなくなることがあります。天候が回復するまで復旧作業が行えず、停電が長期化することもあります。

暴風雪に遭遇したときの対処法

【歩行中など屋外で遭遇した場合】
外出時に暴風雪に遭ってしまった際は、どのような対応法があるのでしょうか。

「外にいるときに天気が急変して暴風雪になったときは、安全な場所で収まるのを待ちましょう。近くのお店やコンビニ、家などが安全です。自宅へも連絡しておきましょう。歩くときには目立つ色の服を着て、できるだけ複数で行動してください」(寒地土木研究所)

【家の中で遭遇した場合】
家の中にいる時でも注意する点があり、日ごろの備えも重要です。

「暴風雪が発生している時はもちろん、気象情報に注意して、暴風雪が予想されている時は外出を避けましょう。

停電に備えて懐中電灯や携帯ラジオ、防寒具、ポータブルストーブや灯油、非常食、飲料水などを準備しておきましょう。FF式暖房器を使っている場合は、給排気口の近くが雪でふさがれないよう注意してください」(寒地土木研究所)

【車を運転中に遭遇した場合】
やむを得ず車で外出する時は立ち往生を想定して、防寒着、長靴、手袋、スコップ、けん引ロープなどを車に用意し、十分に燃料があることを確認しておくことが必要です。それでも運転中に暴風雪に遭遇してしまった場合、どのように対処すればいいのでしょうか。

「運転時に遭遇した場合は、そのまま運転を続けずに、歩行時同様コンビニや道の駅などで天候の回復を待ち、気象情報や道路情報を確認しましょう。

道路上で立ち往生してしまった時は、後続車から追突されないようハザードランプを点滅させ、停止表示板を置きます。そのうえでロードサービス会社、近くの商店や人家に救助を求めます。避難場所や人家がない場所でしたら、警察・消防に連絡して救助を求めましょう。

救助を待つ際は原則エンジン停止。防寒着や毛布、新聞紙などで体温の低下を防ぎましょう。

防寒のためやむを得ずエンジンをかける場合は、確実に排気管出口を大気に開放し、再埋没に注意しましょう。排気ガスによる一酸化炭素中毒への注意も必要です。風向きなどによっては窓を開けていても、絶対安全とはいえません」(寒地土木研究所)

暴風雪との遭遇は、生命にもかかわりかねない危険な状況です。暴風雪が予想されることがわかったら、家では最新の気象情報や道路情報を十分確認し、外出した際の遭遇時には身を守るための方法を心得ておきましょう。
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参考資料など

土木研究所寒地土木研究所・北海道開発局・札幌管区気象台・北海道リーフレット「できていますか暴風雪への備え」「楽しい雪とあばれる雪―暴風雪は危険がいっぱい」、防災ミニノート「できていますか暴風雪への備え」

写真:ウェザーリポート(ウェザーニュースアプリからの投稿)
sienaさん

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