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「積雪」「降雪」の使い分け 「予想される降雪量120cm」の正しい意味は

2020/12/30 19:15 ウェザーニュース

冬になると天気予報やニュースで「降雪量が◯cmと〜」「積雪深が◯cmに〜」などという表現をよく耳にします。

日本語としては、降雪は雪が降ること、積雪は積もった雪のことを指します。

では「予想される24時間降雪量は、多いところで120cm」と聞いた場合、どう測った数字が120cmと予測されているのか正しく理解出来ますか?

「積雪深」は測れるが「降雪」は直接測れない

本来の意味での「降雪量」を観測するのは困難なため、積雪の増加差分を「降雪量」としている
「積雪深」はある時点での雪の深さの値です。気象観測ではレーザー光などを使って地面から雪面までの高さを測定し、積雪深の記録としています。

期間の概念を含まない表現ですので、「〜時の積雪深は◯cm」「最大積雪深は◯cmに達し」など、ある時点での値として報じられます。

一方で、本来の意味での「降雪」は直接的に測る手段がないため、一定時間の積雪深の増加差分のある期間における累積のことを、気象観測では「降雪量」と呼んでいます。少しややこしいので例を挟みつつ解説します。

積雪深は圧縮されて自然に減る

「積雪深」「降雪量」と積雪増加量のイメージ
降雪量の説明の前に、積雪深の時間変化の特徴を考えねばなりません。雪が降れば積雪深は増えるのですが、積もった雪は融解や昇華で消失したり、雪自身の重みで圧縮されることにより、深さが自然に減るのです。

つまり、雪が弱まると積雪深の差分がマイナスになるため、雨量のように単純に時間ごとの差分で累積計算してしまうと途中で減算され、降った量の統計としては正しいとは言えません。

そこで気象観測では、1時間ごとに積雪深を観測して差分を比較し、増加した分だけを累積計算して「降雪量」として記録するわけです。

例えば、図の棒グラフは毎正時の積雪深の観測値を示します。緑の枠で囲まれた部分が「1時間前からの増加分」です。減少した分は考えません。この増加分を加算したものが、この時間の「降雪量」というわけです。

降雪量は統計に向くが、イメージしづらい

ウェザーニュースの積雪増加予測
このように「降雪量」は降った雪の量の統計を示すのには向いているのですが、数値がそのまま積雪の増加となるわけではないので、一般市民からはイメージが難しいという問題があります。

例えば2020年12月30日現在、気象庁は「1月1日18時までに予想される24時間降雪量は、北陸地方の多い所で80〜120cm」との情報を発表しています。24時間にわたり雪が降り続けて減少に転じなかった場合には「降雪量」がそのまま積雪増加量となります。ただ、雪の降り積もるペースよりも雪の圧縮されるペースが上回った場合には積雪深が減少に転じるため、「降雪量」よりも実際の積雪増加は小幅となります。

ウェザーニュースの記事では主に、独自のロジックで雪の圧縮を加味した「積雪増加予測」を用いて表現していて、より直感的でわかりやすい指標として活用いただいています。
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