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巣ごもり正月についやりがち!? 皮膚科医がアドバイスする肌に悪い習慣とは

2020/12/29 10:07 ウェザーニュース

冬の肌トラブルのもとは、あったか〜い暖房器具や使い方の習慣にあるかもれません。注意点や肌を守る使い方を野村皮膚科医院(横浜市神奈川区)院長の野村有子先生に教えていただきます。

カサカサ肌を招く行為とは

今年は、家で巣ごもり年越し&正月という人も多いのではないでしょうか。日頃の忙しさを忘れてゆったり過ごすのもよいものですが、気をつけておきたいことがあります。

「暖房器具の使い方です。ただでさえ冬は肌に厳しい環境ですが、使い方を間違えると悪影響となることがあります」と野村先生は注意を呼びかけています。

例えば、巣ごもりの友とも言えるこたつは、長時間熱にさらされることで肌が乾燥します。さらに注意したいのが、床暖房やホットカーペットです。心地よい温かさに裸足で過ごしたり、床の上でくつろいだりしがちですが、ふとんがないぶん乾燥しやすいといいます。

「熱源のすぐ近くや真上で長時間過ごすのは、干物を作っているようなものです。肌が乾燥してカサカサするのは、見た目だけでなく健康を害します。

肌は水分を保持するだけでなく、細菌などの異物の侵入や外部の刺激から身体を守っています。肌が乾燥するのは、まさにバリア機能を壊すはじめの1歩です。バリア機能が低下すると異物の刺激に弱くなり、かゆみを感じやすくなって引っ掻いて、さらにバリア機能を破壊するという悪循環に陥ってしまいます。

こたつや床暖房だけでなく、エアコンの温風やストーブなどに直接長時間あたるのもよくありません。仕事中に机の近くに小型ストーブを置いていたり、就寝時に側で使ったりしていないでしょうか。暖房器具を使うときは、部屋がある程度温まったらスイッチを切る、近過ぎない位置で使う、加湿器を併用するなどして、乾燥を防ぐことが大切です」(野村先生)

火だこや低温やけどの危険も

暖房器具によっては、肌の乾燥だけに留まらないこともあります。

「気づいたらできているのが、火だこ(温熱性紅斑・おんねつせいこうはん)です。電気ストーブに長時間、あるいは繰り返し至近距離であたっているうちに皮膚に近い血管が拡がって、皮膚が網目状に赤くなります。

色が薄い軽傷のものは、電気ストーブに当たるのを控えれば自然に治りますが、ひどいと色素沈着を起こしてシミのようになったり、かゆみでひっかいて悪化したりすることもあります。似た症状の他の疾患の可能性もあるので、様子がおかしいときは皮膚科を受診しましょう」(野村先生)

エコで使い心地もよいと、近年使用者の増えている湯たんぽも注意が必要です。

「就寝時に体に触れるように使うと、『低温やけど』の原因となります。熱いものに触れるやけどと違って、低温やけどは気付きにくく皮膚の深い位置まで壊死(えし)してしまうことがあります。湯たんぽを抱えて寝るのはもってのほか。就寝前にふとんを温めて寝るときには外すなど、体に触れさせずに使うようにしましょう」(野村先生)

乾燥を防ぐ工夫で肌を守ろう

今年は新型コロナウイルス感染症対策で換気を行いながら、暖房を強めにして使うことが増えています。

「換気により乾燥した外気を入れるため、室内が乾燥してしまうことが多いようです。加湿器や湿度計を使い、湿度を50-60%に保つようにしましょう。

サーキュレーターを併用して室内の空気を循環させると、暖房の利きがよくなります。室内に濡れタオルや洗濯物を干しておくと、加湿にもなりますね。

オフィスなど環境を変えられない場合は、小さな加湿器を使うといいでしょう。紙製や陶器など自然気化式で電源を必要としないものもあります。デスク周りを加湿することで顔や喉の乾燥を防いで、ウイルス対策にも役立ちます」(野村先生)

皮膚の乾燥は健康にも影響します。暖房器具と加湿器を上手に使って、肌も健やかに年末年始を過ごしたいものです。
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