facebook line twitter mail

大雪時の「チェーン規制」 2018年に標識新設、規制の条件は

2020/12/25 09:49 ウェザーニュース

国土交通省は2018年に、大雪時にタイヤチェーンを装着していない車の通行を禁止する道路標識を新設し、チェーン規制の明確化を開始しました。

大雪時にこの規制が開始されると、スタッドレスタイヤなどの冬用タイヤを装着した車両でも、チェーンを装着していなければ当該区間を通行できなくなります。

どのような区間で、どのような雪の時に規制が実施されるのかを解説します。

チェーン規制の対象となりうる区間は

チェーン規制調整箇所(国土交通省の資料を基に作成)
対象となる区間は、勾配の大きい峠部で、これまでに大規模な立ち往生などが発生した区間から、高速道路と一般国道の計13区間が選ばれ、国土交通省から公表されています。

◆高速道路の規制区間(7区間)
 上信越道 信濃町IC(長野) 〜 新井PA(新潟)
 中央道  須玉IC(山梨) 〜 長坂IC(山梨)
 中央道  飯田山本IC(長野) 〜 園原IC(長野)
 北陸道  丸岡IC(福井) 〜 加賀IC(石川)
 北陸道  木之本IC(滋賀) 〜 今庄IC(福井)
 米子道  湯原IC(岡山) 〜 江府IC(鳥取)
 浜田道  大朝IC(広島) 〜 旭IC(島根)

◆一般国道の規制区間(6区間)
 国道112号 山形県 月山道路
 国道138号 山梨県山中湖〜静岡県須走
 国道7号 新潟県村上市 大須戸〜上大鳥
 国道8号 福井県あわら市 石川県境〜坂井市
 国道54号 広島県〜島根県 赤名峠
 国道56号 愛媛県 鳥坂峠

チェーン規制の実施タイミング

これらの区間でのチェーン規制は、「大雪特別警報」や、国土交通省から「大雪に対する緊急発表」が行われるような異例の降雪時に、チェーン規制が実施されます。

※施行前の2017年の冬には「大雪に対する緊急発表」が3回ありましたが、この標識が新設されて以降には2年連続で少雪が続いたため、これまでに緊急発表は一度もありませんでした。
チェーン規制の運用イメージ(国土交通省資料を一部加工)
従来の大雪時には、通行止めにしないことで立ち往生が発生して大規模な車両滞留が生じてしまうパターンか、これを防ぐために長時間の全面通行止めを実施するパターンに分かれていました。

新方式のチェーン規制では、従来であれば全面通行止めとなるような状況において、「タイヤチェーン装着車のみを通行可能」として、通行止めの期間を短くしようという意図があります。

スタッドレスタイヤ等を着けていても立ち往生してしまう場合があるため、冬用タイヤ装着車両でもタイヤチェーンをしていない自動車はチェーン規制中に通ることはできません。

豪雪地方ほど低いチェーン所有率

2018年11月16日(金)調査
ウェザーニュースは2018年11月16日(金)に、スマートフォンアプリ内でチェーンの所有状況についてのアンケート調査を実施しました。7796人の回答者のうち、全国ではおよそ25%にあたる1951人がタイヤチェーンを持っていると回答したものの、豪雪地帯と呼ばれる地域ほど所有率が低いことがわかりました。

雪国ではスタッドレスタイヤを装着することが一般化しているため、それに加えてチェーンを所有する人は少ない可能性があります。先述の通り、スタッドレスタイヤを装着していても、大雪時には坂道などでは立ち往生をしてしまう場合がありますので、注意が必要です。

国土交通省は、大雪が予想される2〜3日前から、通行止め実施の可能性がある旨について事前広報を行い、不要不急の外出を控えることや、広域迂回、物流車両の運行計画の見直しなどについて、地域住民や道路利用者に周知するとしています。

ウェザーニュースでも、このような状況が予想される場合はなるべく早めに状況を解説し、国土交通省からの情報周知にも協力をさせていただきます。
» 今後の積雪予想を確認(会員限定)
» 路面凍結予報(会員限定)

参考資料など

国土交通省 チェーン規制 Q&A http://www.mlit.go.jp/road/bosai/fuyumichi/tirechains.html
全日本トラック協会 https://www.jta.or.jp/info/chain2020.pdf