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ほうれん草は冬採りが無敵? 栄養素も甘みも格段にアップ

2020/12/07 06:01 ウェザーニュース

冬に収穫される、冬採りほうれん草が出回り始めました。夏のほうれん草は茎が細く、葉も小ぶりでどちらかというとひ弱な感じですが、冬採りほうれん草は1株が大きく、深緑色の葉もたくましくなっています。夏採りと冬採りのほうれん草、実は見た目だけの違いではないそうです。詳しい話を野菜ソムリエプロの吉田謹子さんに伺いました。

冬採りほうれん草はビタミンCが3倍

「ほうれん草は1年中出回っていますが、これから冬にかけて収穫されるほうれん草は確かに、茎が太くてたくましく、また根の赤い部分も鮮やかになります。葉も緑が濃く、厚みを増してきます。また、冬採りほうれん草は、夏採りほうれん草に比べてビタミンCが3倍に増加します。見た目だけの違いではないのです」(吉田さん)

甘み9倍でおいしさが格段にアップ

夏と冬の違いは栄養価だけではないようです。

「冬のほうれん草で、寒気に当てたほうれん草(寒締めほうれん草)は、夏採りほうれん草に比べて糖の含有量が9倍に増えると言われています。ほうれん草の食味に最も影響する項目は『甘さ』と言われていて、糖分が多いほうれん草はおいしいと評価されます。そのため、冬のほうれん草のほうがぐんとおいしく感じるのです。

特に根元の赤い部分には糖分が集中していて、ミネラルも豊富なので、ぜひ赤い部分も捨てずに調理していただきたいです」(吉田さん)

ビタミンCは9日で70%失われる

この栄養素やおいしさを逃さないようにするにはどうしたらよいでしょうか。

「せっかく増したビタミンCも、生のまま冷蔵庫に保存しておくと、9日間で70%も失われます。そこで、すぐ食べないなら、下ゆでしてから冷凍しておきましょう。下ゆでするとビタミンCは減少しますが、冷凍することで最長1か月は保存することができます」(吉田さん)

寒さがつのると甘みが増して一段とおいしくなるほうれん草。体調をくずしやすいこれからの季節は、ビタミンCたっぷりのほうれん草を積極的にいただきましょう。

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参考資料など

文部科学省「食品成分データベース」、農研機構「寒締めほうれんそうに含まれる糖含量と簡易測定法」