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住宅火災の最多は「コンロ」、使い慣れているのに火事になるワケは?

2020/12/01 13:21 ウェザーニュース

火災が多い季節になりました。

冬はストーブなど暖房機器に気をつけたいですが、実は年間を通して出火原因の最多は「コンロ」なのです。使い慣れている「コンロ」でなぜ火事になるのでしょうか。

使い慣れているから油断する?

東京消防庁によると、2019年の住宅火災の出火原因は「コンロ」が最多でした。

・1位/「コンロ」344件
・2位/「たばこ」279件
・3位/「放火」126件
・4位「ストーブ」/103件

この順位は過去10年同じです。どこの家庭も毎日使っている「コンロ」が出火原因のトップになる理由は、どんな状況で「コンロ火災」が発生したかを見ればわかります。以下は2019年の「コンロ火災」の発生状況です。

・1位:「放置する・忘れる」37.5%
・2位:「可燃物が接触する」17.4%
・3位:「誤ってスイッチが入る」9.6%
・4位:「接炎する」8.7%
・5位:「過熱する」7.8%
・6位:「考え違いにより使用を誤る」7.0%
・7位:「引火する」5.2%

やはり、「コンロ」をつけたまま「放置する・忘れる」ケースが多いのです。使い慣れているから油断するのです。コンロに火がついているときは、絶対にコンロのそばを離れないでください。

接触・接炎・引火の違いは?

「コンロ火災」の発生状況にある「接触する」「接炎する」「引火する」の違いは紛らわしいのですが、こう区別しているそうです。

・近くに置いたまな板が倒れて、コンロの火がついたら「接触する」
・コンロの火が鍋の底を這って、近くのまな板に直接火が当たって出火したら「接炎する」
・コンロの近くでスプレーを噴射して火がついたら「引火する」という違いがあるそうです。

「誤ってスイッチが入る」は、ワンルームマンションに多い「小型キッチンユニット用電気コンロ」のスイッチに体がぶつかって知らぬ間に点火して火災になったケースです。

「考え違いにより使用を誤る」は、たとえば電気ポットをやかんと思い込んだままガスコンロに置いて点火したため火災が発生した事例があったそうです。

高齢者が多い「コンロ火災」の犠牲者

2017〜19年の3年間、「コンロ火災」で10人が亡くなっています。うち7人が65歳以上の高齢者でした。コンロを使うのは全世代にわたりますが、高齢の犠牲者が多いのです。

「コンロ火災」で亡くなった10人のケースは何に着火したのかを調べたところ、半数の5人が「着衣」でした。着衣着火を防ぐポイントを東京消防庁があげています。

・調理中は、マフラー・ストールなどは外し、すそや袖が広がっている服を着ているときは、特に炎に接しないように注意しましょう。
・コンロの周りは、整理整頓をしましょう。
・鍋などの底から炎がはみ出さないよう適切な火力に調整しましょう。

住宅火災を防ぐ「住宅用火災警報器」

「コンロ火災」に限らず、住宅火災を防いでくれるのが住宅用火災警報器です。東京消防庁はこんな事例を紹介しています。

【事例】住宅の居住者(男性60代)が台所で鍋を火にかけたまま別の部屋で寝込んでしまった。鍋が加熱され、鍋の食材とコンロ周囲の可燃物に着火して火災となったが、台所に設置された住宅用火災警報器が火災を検知して鳴動した。居住者は119番通報と初期消火を行い、火災の延焼を防いだ。

あなたの住宅には火災警報器が設置されていますか。電池式の住宅用火災警報器は1台1000〜2000円で、自分で設置できます。大きな被害を出す火災を未然に防いだり、小火(ぼや)ですませることができます。ぜひ火災警報器を設置してください。
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