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いつもの“シシャモ”は、“本当のシシャモ”じゃなかった!?

2020/11/30 05:54 ウェザーニュース

“シシャモ”は値段も手ごろで1年中出回っている手軽な焼き魚として親しまれています。ところがこの“シシャモ”、実は“本当のシシャモ”ではないといいます。詳しい話を船橋地方卸売市場の株式会社山末・本部長の内海貴久さんに伺いました。

本当のシシャモはごく少数

“本当のシシャモ”は回遊魚で、キュウリウオ科シシャモ属の魚です。

「成魚の体長は10~13cmぐらいで、旬はごく短く10~11月のわずか2か月です。しかも獲れる場所は北海道の太平洋沿岸の一部。漁獲量も少なく、年間1000~1500トンぐらいで推移しています。一時は絶滅の危機すらありましたが、資源保護活動が進んで漁獲高も増えてきたそうです。しかし、今でも入荷はごく少なく、うちでもほとんど扱いがありません。

一方、一般的に“シシャモ”として売られているのは、同じキュウリウオ科ではありますが、カラフトシシャモ属のカラフトシシャモといい、英語名はカペリンという魚です。つまり“本当のシシャモ”とは違う魚なのです。北太平洋と北大西洋の広い地域で獲れ、漁獲量も本物より格段に多く年間約200万トンです。面白いことに“本当のシシャモ”が獲れる北海道沿岸にはほとんどいません」(内海さん)

私たちがスーパーでよく見かけるのは“本当のシシャモ”ではなく、カラフトシシャモだったのです。

シシャモとカラフトシシャモの違い

ではシシャモとカラフトシシャモはどこが違うのでしょうか。

「シシャモは値段が大きく違うので、すぐわかります。カラフトシシャモは10匹で300円前後ですが、シシャモは10匹で3000円以上はします。またカラフトシシャモはパックのラベルに『カラフトシシャモ』と明記されているはずですから、それでも分かります。産地も北海道以外であれば間違いなくカラフトシシャモです。

見た目の違いは、シシャモはウロコと口、目が大きく、身体が赤っぽく、ふっくらと丸みを帯びています。カラフトシシャモは、顔が小さく、細身でシュッとしています。

味は、シシャモはぷりぷりとしていて、上品な脂と身がさくっとした食感で、なんとも言えないおいしさです。一方、カラフトシシャモは脂ののりはシシャモほどではなく、全体的にあっさりとした感じです。ただ、カラフトシシャモはお手頃な値段の割にはおいしい魚なので、たくさん食べていただきたいですね」(内海さん)

今の時季だけ、北海道勇払(ゆうふつ)郡などでは生のシシャモを刺身で味わうことができるそうです。機会があればぜひ食べてみたいものですね。

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