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週刊地震情報 2020.11.22
18日(水)東海道南方沖の地震で異常震域

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2020/11/22 11:02 ウェザーニュース

この1週間で、国内で観測された地震回数は前週と同様に少なくなっています。震度3以上の地震は発生していません。全体の地震回数が少ないこともあり、目立って発生しているエリアも見られません。(11月16日~11月22日10時の集計)

国内:東海道南方沖の地震で異常震域

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東海道南方沖の地震
18日(水)10時01分頃、東海道南方沖を震源とするマグニチュード5.1の地震が発生し、東京都千代田区と栃木県宇都宮市、茨城県日立市で最大震度1を観測しています。

この地震は震源の深さが約394kmと非常に深い深発地震です。震央により近い、静岡県や三重県などで震度1以上の揺れを観測していない一方で、それよりも遠い東京や宇都宮で揺れを捉えています。深発地震に特徴的な「異常震域」と呼ばれる震度分布です。

今回の地震は太平洋プレートの深い所で発生したと見られ、プレート境界で発生する「南海トラフ巨大地震」とは別のメカニズムです。
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異常震域とは?

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異常震域とは?
多くの地震では震央から同心円状に揺れの強い地域が分布しますが、今回の地震では地震波が伝わりやすい太平洋プレートに沿って遠方の地域に揺れが伝わる「異常震域」と呼ばれる震度分布となりました。

三重県南東沖から東海道南方沖、鳥島近海にかけては同様の深発地震が発生することがしばしばあり、数年に一度M6以上の規模の地震も発生します。一方、一度の地震での余震がほとんどないことも特徴です。

1984年1月1日には三重県南東沖でM7.0の地震が発生し、東京都千代田区や横浜市で震度4を観測しました。こうした地震は津波の発生こそないものの、大きな揺れを伴うことがあるため、注意が必要です。

世界:フィリピン・ミンダナオ島でM6.0の地震

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世界のM4.5以上の地震(USGSホームページ引用/ウェザーニュース加工)
アメリカ地質調査所の解析によるマグニチュード6以上の地震は1回発生しました。日本時間の16日(月)にフィリピン・ミンダナオ島の東部沿岸で発生したマグニチュード6.0の地震です。

この地震は震源の深さが約43kmと推定されています。揺れはそれほど大きくならず、震源付近でも改正メルカリ震度階級でV(日本の震度階級では3程度)と見られ、この地震による被害は報告されていません。

ミンダナオ島東部はフィリピン海プレートがユーラシアプレートに潜り込んでいる領域で、プレート境界型の地震が多く発生しています。今回の地震のメカニズムは東西方向に圧力軸を持つ逆断層型と解析され、この地域に多いパターンです。

今回の地震付近では1989年にマグニチュード7.6、1991年にはマグチュード7.0の地震が発生した記録があり、さらに範囲を広げると、マグニチュード8クラスの地震も起きています。日本と同じように、プレート境界型の巨大地震のリスクは大きく、津波が発生した場合は比較的短い時間で陸地に到達するため、要警戒と言えます。
» ウェザーニュース記事一覧

参考資料など

※日本国内の震源・震度の情報は特に記載が無ければ気象庁より。海外の震源情報は特に記載が無ければアメリカ地質調査所(USGS)より。発表機関により震源情報に差が生じることがあります。

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